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快楽転  作者: よるとば
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第108話 滞在

「あの子の心、真っ暗だった。

なにもないの。引きずりこまれる感じで

一緒に落ちていく感じがしたの。

体の感覚だけじゃなくて、心が。」


みんなで顔を見回す。なにもない相手なんて余計に対処できない。

それからやっぱり中途半端だけど解散する流れとなった。

とてもモヤモヤした。結論が出ない。

敵が見えないってやっかいだ。神も、転憑依者も。

いっそのこと私だけで会いに行こうかな。

でもあの印象は本当に引きずりこまれるようで

たぶん私一人で行ったら生きて戻って来れない。

生に縋り付いてるわけではないけど

なんとなくひなちゃんを放置したくもないんだよね、今。

今回の交流で少しでも転憑依者への恐怖が消えるといいな。


女子同士だと少しは大丈夫みたいで

意外なことにショタ姉さんがこの町オススメの服屋へ

連れてってくれるそうだ。

リュウくんを起こして機嫌をよくしてくれているおかげだって。

そういえば一切発言してないじゃん、生贄りゅうくん。


町は日々の喧騒で賑わい、全員がこの町に今夜は泊まることになった。

温泉場にある宿泊施設に泊まってもらうのだ。

お酒好きはさらに宿で呑んでいたし

ショタねえさんとブラコンひなはショッピングを満喫したようで

私に買った衣類を見せてファッションショーをしてくれた。

なにこの和気藹々の仲間感。

これも、前の世界になかったな。

人と違うことが個性、そんな当たり前のことが

あっちの世界では異常扱いされることがある。

日本はとても豊かだったけれど

そして情報も豊富だったけれど

心が豊かだったかといえばそうでもなかったように思う。

世界幸福度ランキングというものがあって日本は低かったもの。


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