第106話 ひなの報告2
唐突に方向感覚が狂う。空が上か下かわからない。
地上に引き寄せられるように落下していく中
すると今度は子供のような笑い声が辺り一面から響いてきた。
とてもいやらしく、ひなをあざ笑う。
青かった空が紫に染まる。
深い緑と茶色い土の大地が、黄色くうねり狂う中
聴覚を突き抜けるような笑い声
きゃはは ははは ははは ははは ははは ははは
どんどん大きくなるその笑い声が恐ろしくて
ひなは最大火力で火を吹いた。
全力を出し切って周囲一帯をすべて荒地へと変える。
ドラゴンは本来着火燃料を体に溜めており
全火力を使い切ると魔力も消費する。
だがそれほどに恐ろしかった。
心の隙間に忍び込む恐ろしい音だった。
荒地に落ちたひなは人間の姿に変えて身を縮め、魔力の消費を避けた。
それでも体はボロボロで近くで燃え尽きて炭になった木々に
すがりつくように立ち上がると ビタビタと異様な音が
目の前に聞こえてきた。
焼けただれた姿で、それでも徐々に治っていくのに
醜い姿は変わらない。紫色の人の形をした何か。
体中から汁を垂らし、きっと笑顔を浮かべているであろうソレは
真っ暗な洞穴のような目でこちらを見る。
「ワだぢ、ショウコっでいゔの ドモダチになろオ?」
とっさに人型の体から、ドラゴンの尾を出し
全身を振り抜いて弾き飛ばして逃げた。
恐ろしい、醜い、とてもじゃないけど耐えられない。
こんなものが敵なら私は近づけない・・・そう思った。




