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第42話 朝比奈小春は気付いている。

 休日。


 朝比奈小春はベッドの上で寝転がっていた。


 スマホを持つ。


 写真フォルダを開く。


「へへへ」


 思わず笑う。


 昨日の写真だ。


 ショッピングモールの写真スタジオ。


 五人で撮った写真。


 どれも楽しかった。


「また行きたいな〜」


 誰に言うでもなく呟く。


 画面をスワイプする。


 灰原。


 尚哉。


 玲奈。


 六花。


 みんないい笑顔。


 小春も笑っている。


「うんうん」


 満足そうに頷く。


 その時だった。


「あれ?」


 指が止まる。


 一枚の写真。


 六花が笑っている写真だった。


「……?」


 小春は首を傾げる。


 笑っている。


 間違いなく笑っている。


 楽しそうだ。


 でも…


 なんだろう。


 少しだけ引っかかる。


 何がとは言えない。


 上手く説明もできない。


 だけど。


 少しだけ。


 無理しているように見えた。


「気のせいかな?」


 小春は写真をもう一度見る。


 やっぱり笑っている。


 いつもの六花だった。


「…だよね」


 自分で納得する。


 そしてスマホを操作した。


     ◇


【またみんなで遊ぼ〜!】


 送信。


 数秒後。


 既読が付く。


 そして。


【うん】


 短い返事。


 いつもの六花だった。


「よし!」


 小春は満足そうに笑った。


 やっぱり気のせいだ。


 そう思うことにした。


     ◇


 翌日。


 学校。


「六花ちゃんー!」


 小春が手を振る。


「おはよー!」


「おはよう」


 六花も笑う。


 いつもの笑顔だった。


 変わった様子はない。


 授業を受ける。


 休み時間に話す。


 一緒に昼ご飯を食べる。


 何も変わらない。


 本当に。


 何も変わらなかった。


     ◇


 昼休み。


 小春はジュースを買いに行こうとしていた。


「六花ちゃんも行く?」


 そう聞く。


 返事がない。


「六花ちゃん?」


 振り返る。


 六花は窓の外を見ていた。


 校庭。


 遠くの空。


 何を見ているのか分からない。


 ただ。


 少しだけ寂しそうだった。


「……六花ちゃん?」


「あ」


 六花が振り向く。


「ごめんごめん」


 笑う。


 いつものように。


「どうしたの?」


「え?」


「なんかぼーっとしてた」


「ああ」


 六花は少し困ったように笑った。


「なんでもないよ」


 そう言って。


 また笑う。


 いつもの六花だった。


 なのに。


 小春は少し違和感を感じる。


 昨日の写真。


 さっきの横顔。


 気のせいかもしれない。


 本当に気のせいかもしれない。


 でも。


 なんとなく。


 少しだけ気になった。


 朝比奈小春はまだ理由を知らない。


 ただ。


 親友の笑顔に小さな心配をしていた。

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