11.ランプの力
ようやく手に入れたランプ。俺はそれをしげしげと覗き込んで……思わず小さく叫んだ。
「わっ、何だこれ」
よく見ると、ランプの中央から幾筋もの光が出ている。細いのや太いの、合わせて数十も出ているだろうか。
「魔力を索敵……サーチしてるのよ」
「どういうこと?」
「中央は、今いるところ。光の方向に、魔力を持った魔物が存在していることを示しているわ」
「ふーん。光の強弱は……」
「弱い光は弱い魔力、強い光は強い魔力」
「そういうことか」
だとしたら、魔王のいる場所は、明らかだった。一際強い光の筋が、ある一方向を指し示していたからだ。
「すごい魔力みたいだな」
「とりあえず、ここを出ましょう」
「ああ。……じゃあね、じいさん」
そう声をかけたが、髭のじいさんはずっとペモイの時計を愛おしそうに眺めていた。
俺は、じいさんのために時計の電池が永久に切れないことを祈った。
ランプの光を頼りに外へ出ると、もう暗くなっていた。空は満天の星だ。こんなのは初めて見た。それだけではない。オーロラが出ていた。
「うわあ、すげー!」
「この世界は、いつもこんな感じよ」
ポーティは言った。
「ふーん。ちょっと写真撮っとこう」
俺は夜空を写真に収めた。
そして俺は、この世界にはどうやら月が二つあるということに気づいた。
その景色にしばらくみとれてから、俺は言った。
「それで? 魔王はあっちみたいだけど」
俺が指さすと、ポーティは方向を確かめて、言った。
「ラテナ神殿のある方向だわ」
「神殿? そんなのあるのか」
「古代の遺跡よ。今ではもう、誰も寄りつかないけど」
「何で? 観光とかしないの?」
「うーん、ていうか、神殿、兼、墓地なのよね」
「墓地?」
「古代の人々の、死体が、安置されているの」
「はあ、なるほど」
俺が生返事をすると、ポーティは言った。
「じゃあ、宿へ戻りましょうか」
「え? そろそろ家に帰らないと、親が心配するんだが」
すると妖精は言った。
「それなら大丈夫よ。どうやら、時間の進み方があっちとこっちで大分違うの」
「どれくらい?」
「こっちの一週間が、あっちの一日、って感じ」
「じゃあ、三日こっちにいても、向こうでは半日にもならないわけか。こっちへ来たとき、あっちは日曜だったし、それなら大丈夫か」
「うん」
「まてよ。じゃあ、ポーティは俺の夢の中に、一週間おきに来てたわけ?」
「夢は、また別の進み方をするの」
「はあ」
分かったような分からないような説明だ。俺はまた生返事をした。
「じゃあ、戻りましょう。結界へ」
「うえ、またあれかよ」
俺は顔をしかめた。




