雨が降る時は傘をさしましょう
わたしが学校に通う道には毎年、あじさいがさいているのです。びょういんのとなりの道はわたしのお気に入りになっています。
今は雨のきせつです。
毎日雨がふっているけれど、そんな日もわたしにとっては楽しいのです。雨がはじけてとんでゆく、いろんなリズムが聞こえます。
カエルもそのリズムにのるように、ケロケロと声を合わせています。
かさをくるくる回しながらわたしは帰ります。ピンクのかさはわたしのお気に入りです。
ちゃぷちゃぷ、わたしが歩くと水がはねておとになります。
あじさいがさいている道をわたしは歩きました。
わたしは少し立ち止まります。そこにはかさをさした女の人がいました。よく見ると、女の人はあじさいに笑いかけているようでした。
わたしはうれしくなって水のリズムをはやくしました。雨は暗いけど、楽しいです。晴れの日とおんなじ。雨と晴れでは楽しさがちがうだけのことなのです。
それから毎日、女の人を見ました。
ある日は、手をふって。
またある日は、話しかけていました。
またまたある日には、ケータイのカメラで写真をとっていました。
いつの日も雨でしたが、女の人は笑っていました。
あじさいもそのおかげなのか、雨の中、きらきらとさいていました。
今日も朝から雨がふっていたので、かさを持って家を出ました。
でも、帰るころになると雨は上がっていました。なんとなく、太陽が暑く感じ、むしむしとした感じがします。
わたしはかさをステッキのようにしていつもの道を帰ります。
すると女の人が今日もいましたが、その人は、あじさいに向かって泣いていました。
いつも笑っていた女の人だったのでわたしはどうしたのかと聞きました。
「……紫陽花がね、枯れちゃったから、かな」
そうでした、もう、きせつは夏です。
女の人の目の前にある、あじさいは元気をなくしていました。そのせいか女の人は泣くことを止めませんでした。
わたしは女の人にかさをさしました。
女の人はなみだを流しながら、ふしぎそうにわたしを見ました。
「はい、どうぞっ」
「……ありがとう」
なみだはまるでつゆの雨のように長くふりつづきました。
あじさいのきせつはもうおわりです。これから、新しいきせつの夏が始まろうとしています。
雨が降るときは傘をさしましょう
>Do you like purple?
梅雨が、夏がやってきますね。
2015/6 秋桜空




