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106⚫️電文

〈みなさんに感謝します。もう、十分です。どうか退出してください。〉

「なんや?!誰や?!」

〈わたしはM035。ご迷惑をおかけしました。みなさんのお気持ちを伺い、落ち着きました。〉

「落ち着いた?ねえ、M035、それでこの問題は決着するの?」

「マリカさんの言う通りだ。F042を停止することができるかもしれん。わたしたちが手助けしようか。」

〈いえ、マチルダ准将・・・。F042なしでは、わたしは動けません。〉

「だあが、それではお前は辛いのではないか。」

〈何とかやってみます。今、F042も小康状態ですしね。〉

「うぅん、でもやっぱり根本解決にはなっていませんよ。」

「ボビーが正しい。・・・だが、正しいことが一番寄り添っていることなのか、だな・・・」


8人はそれぞれの艦に戻る。

マチルダとグレッグは握手し、全員が別れを惜しんだ。

そして・・・

’エンターサプライズ号’から観測されていた’幽霊船’は突然、姿を消した。

’ユキカゼ’が見つめる洋上の’幽霊船’はゆらりと揺れると、忽然と視野から消えた。


ただ、消失寸前、両艦に入電がある。M035からであった。

それは以下のような電文であった。


〈それでもね うごくよ錆びたこのからだ こころは今も大空をとぶ〉


宇宙の片隅で、大海原の果てで、今、ひっそりと’幽霊船’はその存在を隠した。

それは、いつかどこかに、またあらわれるののだろうか。

グレッグは窓から何もない宇宙空間を見ている

自分も心と体が不調となる日がくるかもしれない。

その時、社会は弱者を守ってくれるのだろうか。

ルナがグレッグの手を握る。

ふたりの未来は、星の瞬きのように明るく、ボイド宙域のように暗い。


同じ頃、マチルダも同じ感慨に耽っている。

ボビーが飲み物を持ってくる。

その眼は暖かくマチルダを見守っている。

すぐ横では、バーバラがもっとうまいコーヒーをもってこい、と

トーマスを困らせている。


日常が戻る。だがそれは、決して平穏と平坦な未来を意味してはいない。

時空の連続、世界線の交錯。

物語はまだ続くのだ。


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