084⚫️慌てて見る鏡
「わたしは’檻の中のライオン’ではな〜い!出撃させろ〜!」
バーバラ、よ〜く分かるよ。わたしだって、ちょっと太っちゃたもの。
「マチルダあ!いくら停戦協定が結ばれたとは言えだなあ、こんなんでいいのか、我々わあ?!」
「その気持ち、理解している。わたしも少し体が鈍ってきたと感じている。だが、何の作戦命令もでていない。いいではないか、軍人や軍備が不要な時代になるのだからな。」
模範的回答だな、我ながら。
「ちょい、ちょい!顔に’ユキカゼ’で航海に出たい!’と書いてあるぞ!」
むっ!司令もそんなことを言っていたな。あのタヌキ親父め。いや、バーバラ、あなたにもわかるのか?!
「あ〜あ・・・。お前、オカにあがってから、ちょっと雰囲気、変わってないか?ボビーとなんかあっただろ?」
くっ、こやつ鋭いな。まさか、プロポーズのことを・・・。いや、知るはずがない。
「何もない。あるはずがなかろう。」
ここは強く否定しておくに限るからな。バーバラ、言いふらすからな。
「そうかなあ〜?なんか最近、綺麗になってるぞお!」
このお!じゃあ、言ってやるぞ!
「何を言うのやら。貴官こそトーマスと出歩いているではないか。」
「うぇ!なあぜ、そのことを!」
どうだ、図星だろう。
「ふん。顔に楽しい、嬉しい、幸せだ、と書いてあるからな。」
慌てて鏡を見るバーバラ。
いつもの行きつけのバーである。
相変わらず酔いが回るふたり。
もうすぐボビーとトーマスが迎えにくるだろう。
だが、翌朝、出撃の指示が出ることを知っているのは、この世界線では司令部のお歴々と、’タヌキ親父’のみである。




