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037⚫️この王はこんなヤツ
「どうした、ウワバミ! ’軍団’を離れて、腕がなまったか!」
イイスギの鋭い一撃が、身重で動きの鈍いウワバミを追い詰める。
「くっ・・なぜ・イイスギ・・・」
「この程度も躱せぬか。ふん、落ちたものだ。お前さえ、お前さえ消えれば、陛下の御心は再び私に戻るはず。喰らえ!」
殺意を込めた手裏剣が、ウワバミの脇腹を裂いた。
「・・わ、私を・・・ここで殺しても・・あなたに益など・・ないわ・よ・・。」
「往生際の悪い戯言を。とどめだ!」
「陛下には・・キキスギちゃん以外にも・既に・三人のお子が・・おられるの・・よ。」
イイスギの動きが止まった。
「・・何だと? 嘘を吐くな!」
「いいえ。・・あなたは・外の情勢には・・詳しいでしょうけれど・・・宮廷の内情は・・・今の私のほ・うが・よく・知ってい・・るわ・・・。」
イイスギは呆然と立ち尽くした。
王を独占しているという自負、キキスギが唯一の希望であるという妄執。
その拠り所が、一瞬にして砂の城のように崩れ去る。
彼女の手から、最後の一撃を放つはずの手裏剣が、
カランと虚しい音を立てて地面に落ちた。




