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029⚫️空を行く翼

これは「世界線をこえて」(第1部、とはしていなかったころですが)ep.99 番外話002⚫️「世界線をこえて」第1部へ 未来からのメッセージ で予告した本編です。( https://ncode.syosetu.com/n7021lz/99/ )


操縦席に収まると、計器盤の針が順に立ち上がる。

電圧、推力、姿勢、各系統温度。すべてが許容範囲内である。

電気駆動ゆえ機体は静かだが、内部アクチュエータの微振動が、

機械が確かに稼働していることを伝えてくる。


操縦桿を軽く倒すとサーボが即応し、反力が正確に返る。

出力を投入するとゼロ号は滑らかに前進する。

加速に伴い揚力が増し、速度計の針が離陸域へ入る。

操縦桿を引くと前脚が抜け、続いて主脚が離れた。

上昇姿勢に移行し脚格納レバーを操作する。

電動スクリュー式の格納機構が作動し、主脚が機体内へ収まる。

格納完了灯が緑に変わり、空気抵抗が一段減る。

高度計が上昇を示す中、軽く右へ操舵する。

ゼロ号は遅れなく応答し、滑らかな旋回を描く。

推力を追加すると電磁ユニットが静かにトルクを増し、機体はさらに加速する。

青空がキャノピーいっぱいに広がる。

ゼロ号は静粛で精密な翼として、雲一つない大空を行く。

視察に訪れたロイ、ウィル、ヴァルター、アリス、マギ、ガイ、ケイト、ヤハチ、マンジらが息を呑む中、ゼロ号は見事な宙返りを描いた。


着陸後、操縦席から降りたジンが、ユリを抱き下ろしながら声をかける。

「こわかった?大丈夫かなあ?」

「平気!きっもちいい!もう終わりなの?また乗せてね!」

抱き合うふたりに、皆は目のやり場に困る。

少し咳払いをしながら視線を空へ戻した。


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