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神試合(3)

「和成、しっかりしろ―ッ! まだ試合は終わってねえぞ!」



 遠のく意識の中、信介の(かつ)が聞こえる。



「全部出し切れよ! 紅玉のように!」

「しん、すけ……」



 そうだ、まだ試合は終わっていない。俺はまだ全てを出し切れていない。

 しかしどうすればあの巨人のような男を倒すことができる? 紅玉ですら倒せないのに、俺はあと何ができる?



「目を開けろ! 立って戦え!」



 め……。



 信介は言ってくれた、俺は目の強化が上手いと。

 魔法もスポーツと同じで得意不得意がある。勝ちたいのなら得意なものを伸ばす方が成長は早い。俺がソフトテニスでトップ打ちを誰よりも練習していたように。



 もし俺が紅玉を上回れるとすれば、多分目の強化しかない。信介に言われてからは漠然(ばくぜん)とそう考えていた。

 何かないか? 俺の得意とすることで、この状況を(くつがえ)す一手は。



「練習を思い出せ! お前なら勝てる!」



 練習……俺が信介とした練習。



 …………魔眼。目の強化からさらに一段階上の領域の魔法。



 魔眼が1つあれば、戦争の勝敗すら変えられる切り札。



 そういえば信介との魔眼の特訓中、使おうとしていない魔眼があったっけ。名前は……神眼(しんがん)だったか。

 神が持つ目、全てを見通す神の視点。それしか本には書かれていなかった。

 魔法の世界では神は人間として存在している。強大な力を持った魔法使い、それこそが神なのだと。

 神が人間なら、俺にもできるんじゃないか。神の持つ目を俺に宿(やど)すことは可能なんじゃないか。



「やって、やる」



 どんな能力があるかはわからない。でもどうせ負けたらテニスはできなくなるんだ。悔いが残らなくなるまで抗うべきだ。

 目に全ての魔力を込める。あまりの圧に魔力のパイプが大きく膨らんでいくのを感じる。破裂しそうなほど痛い。



 まだだ、こんなものじゃ足りない。破裂させるんだ。脳が拒否しようと体で流し込んでやる。

 目を(つぶ)っているのに視界が赤い。生暖かい血液が涙となって溢れてくる。



 勝つ……勝つ、勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ勝つ。



 今考えるのは、それだけでいい!




「そこだ!」

「しまった⁉」



 息切れの紅玉の隙を狙った右サイドへのトップスピン。手を伸ばすも、紅玉のラケットはギリギリでボールに届かなかった。

 俺は起き上がり、一息もせずボールへ走る。そしてラケットを大きく振り上げボールを天高く打ち上げた。

 誰も予想していなかった俺の介入に全員が驚愕(きょうがく)する。



(追いついた⁉ 私が追いつけなかったボールを和成が打ち返した⁉)



 紅玉の心の声が見える。



 ……なんだろう。目に入るもの、万物の情報が脳に入ってくるのを感じる。筋肉の動き、血の流れ、魔力の量、そして思考さえも。あまりの量に脳が焼けそうだ。



 これが神眼、全てを見通す神の視点、なのか。



 相手に視線を向ける。

 高く上がったボールなのに高橋幸(たかはしさち)蒼葛(あおいかずら)もスマッシュをする気配はない。誰も追っかけようとしない。

 みんな、俺の変化に目が離せないんだ。



 気分が高揚(こうよう)する。全国大会決勝の舞台が思い浮かぶ。



(アイツの雰囲気、明らかにさっきとは別物。ここで終わらせないと敗北すると俺の完璧な脳が警告している)



 それでも試合の真っ最中。最も経験豊富な蒼葛が一番に気持ちを切り替えた。



「幸下がれ! 『(あま)誘引(ゆういん)』、最大出力‼」



 相手のコート全体が膨大な魔力で覆われる。高橋幸は蒼葛よりも後ろへ大きく後退する。蒼葛は全て自分で打ち返すつもりだ。



「(魔力が跳ね上がった⁉ ここに来てまだ上があるの⁉) 『火蛇(かじゃ)石茲(せきじ)』!」



 紅玉も残りの魔力を込める。絶対に点を与えないために。



「喰らえーッ‼」



 蒼葛のトップ打ち。狙いは俺ではなく紅玉だった。



 ベースラインの角ギリギリに入ったボールに紅玉は追いつき回転をかけて打ち返す。サービスラインにバウンドしたボールは、蒼葛のフォアの位置に吸い寄せられるように軌道を変える。



 さっきまでと吸引力がまるで違う。バウンド後の速度の方が明らかに速くなっている。これじゃあ回転によるタイミングをずらす技は効かない。まるでブラックホールだ。



 蒼葛がまた紅玉へ打ち返す。それに紅玉も何とかついていく。

 今までで一番速いラリー。でも、なんだか、とても遅く感じる。まるで未来を見たかのように、次の動きが予測できているから。

 紅玉の動きが遅くなる。でもまだ動く時じゃない。神眼を手に入れても身体能力が上がったわけじゃないから、今間に入れば紅玉の邪魔になる。



 待つんだ。敵が油断するまで。必ず俺がポイントを取ってやる。



 ボールがサービスラインにいた紅玉の右頬を横切る。紅玉に限界が来た。



(無理よ……どう打っても吸引され打ち返してくる鉄壁の魔法、それに正確無比の速球。『火蛇の石茲』を使っても追いつけない)



 誰もが相手の勝ちを確信する。誰もあのボールには追いつけないと思ってる。

 だけどまだ負けじゃない。

 打ち返される前から紅玉の後ろへと走っていた俺は軽々と追いつき蒼葛の前でバウンドするようにラケットを振る。回転をかけて。



(追いついただと⁉ だが無駄だ。『甘の誘引』の前ではどんなボールも無意味。必ず俺のもとへ跳ね返る)



 知ってる。充分知ってる。しかしこの神眼は全てを見通せる。そして紅玉の今までの行動からその魔法を(やぶ)る答えは出ていた。



 気になってたんだ。どうして紅玉のカットサーブは高回転で軌道を変えるだけの力技なのか。どうしてほとんどのストロークがスピンなのか。



「な、なにッ⁉」



 蒼葛は信じられないという顔で自分の足元を見た。なぜなら、吸い寄せられたボールがラケットに当たった瞬間、真下に落ちたから。



「こ、紅玉・鈴木ペアのポイントです!」



 主審の声でギャラリーからは歓声が上がる。

 声とは真逆に蒼葛が静かに俺を睨む。



「お前、まさか気づいたのか」

「ええ、全部わかりましたよ」



 『甘の誘引』の最大の弱点。それは無理矢理ボールの軌道を変えること。

 本来、ボールは回転している方向に跳ねる。だけどお前の魔法はボールを回転させたまま自分の(ふところ)へ吸引している。



 昔遊びでカットサーブをボレーで返した時、狙った方向とは全然違う場所にボールが跳ねたことがあった。回転量の多いボールは、打ち返す時もかなりの力で打たないとコントロールは難しいんだ。



 お前は、それを恐れていたんだろ。だからわざわざウチの学校まで来て紅玉を挑発し、試合をした。紅玉が想定内の回転量しか出せない実力であることを確かめるために。

 だから勝ちを確信した。紅玉ですら想定内の回転量しか出せないのだから、もう大丈夫と思い込んでいた。



 だけどここに、お前の想定をも上回る回転を出せる者が現れた。だから返せなかった。

 紅玉、ありがとう。お前のおかげでこの正解を導き出せた。



「どうします? その魔法を使い続ければ、次で終わりますよ」



 すでにこちらは6ポイント。次取れば勝ちだ。



「……チッ」



 『甘の誘引』が閉じられていく。しかしそれはこちらも同じ。紅玉も限界が来て『火蛇の石茲』を閉じた。



 つまり、次は真正面からの力と力のぶつかり合いになる。それで勝負は決まる。



 でも、実はそれが一番マズい。俺も紅玉も魔力、体力ともにほとんど残っていない。対して蒼葛にはまだ少しばかり余裕があり、高橋幸は十分に魔力が残っている。しかも次は蒼葛のサーブを俺がレシーブしなければならない。あえて打ち返さずに体力が回復する時間を稼ごうにも、神眼は常に俺の魔力を消費するため残り時間がもう少ない。



 もし次、俺たちがポイントを取れなければ、そこで負けが確定する。



 紅玉もそれがわかっている。だからこの形勢逆転に見える状況でも喜べずにいる。



「紅玉、弱気になるな。お前が打てなくても俺が打ち返す。だからお前も俺のサポートをしろ。俺たちはペアだ。2人なら勝てる」



 紅玉を見つめる。一度大きく息を吸った後、紅玉も俺を見つめ返した。



「ええ、その通りよ。2人ならどんな相手にも勝てる」



 ラケットを構える。次で終わらせるつもりで力強く。



「3―6」

「「「「ハイ‼」」」」



 蒼葛の渾身のサーブ。それを俺は全力でクロスで返す。

 今度は紅玉にボールが迫るが、それも全力で返す。



 お互い一歩も譲らない展開。だけど、こういう時こそ前衛が厄介。



 紅玉がクロスで打ち返すと、センターに来た高橋幸が思い切りボレーで返した。紅玉は何とか追いつきノーバウンドのロブで返すが、それがマズかった。



「ぐッ⁉」



 紅玉の手首、いや骨が悲鳴のような音をたてた。

 神眼からは紅玉の骨はひび割れているように見える。幸い折れていないが、もうラケットを振るのは不可能だ。



「かずなり‼」



 瞬時に自分の状況を理解した紅玉が俺の名前を叫ぶ。



「私の全て、あなたに(たく)したわ‼」



 紅玉の手の平から光の玉が飛んできた。俺の腕にそれが当たると、全身から力が溢れてくる。

 紅玉の今残ってる全魔力が俺の体に入ってきた。



「魔力の譲渡か。だが2対1ではこちらが圧倒的有利。……幸、お前もコートを出ろ」

「……いいの?」

「このまま勝っても胸は張れない。最後は俺が決める」

「じゃ、私も抜ける」



 そう言ってなんと高橋幸が自分から帰宅するようにコートから出て行った。

 不利な状況がほんの少しだけ(かたむ)く。

 蒼葛の強者だからこその行動に俺は感謝した。



「認めよう。もうお前は素人じゃない」



 紅玉の高く上げたボールがゆっくりと蒼葛のもとへ落ちていく。



「これが最後のラリーだ。勝敗はどちらが相手より多く返せるか」

「そうだな」



 もう俺はギリギリ立っていられるような状態。ここで俺が失点すれば試合を続けることはできない。

 蒼葛がミスをするようなプレーヤーじゃないこともこれまでから充分すぎるほどわかっている。

 本当に、どちらがより多く打ち返せるかの気力勝負!



「楽しかったぜコノヤロウ!」



 ボールが蒼葛の頭までバウンドした瞬間、凄まじいトップ打ちが襲い掛かる。

 サービスラインでバウンドしたあと、俺の頭の高さまで来た時俺もトップ打ちで返す。



「オラア‼」

「くたばれえ‼」



 ただただ全力でトップ打ちを続ける。



「うおおおおおおっ‼」



 ネットを恐れるな。アウトを恐れるな。もう決勝の時の俺じゃない。1位を倒すんだ。



 押せ! 押せ押せ押せ! 倒すんだ、腕が壊れようとも!



 そう念じながら、俺は別の感情に包まれていた。



 今俺は、目の前の男とテニスをしている気がする。

 楽しいのだ、今の戦いが。

 ただ全力で打つ。勝利に向かって。

 そうだ、テニスとはこれだ。

 たとえ魔法があろうと、自分のやりたい形でやれば、それはテニスとなるのだ。



「クソがあッ‼」



 蒼葛の咆哮(ほうこう)とともにボールが高く打ち上げられた。



 ロブ⁉ ここに来てロブ⁉



 魔力が足りなくなったんだ。紅玉との高速ラリーで向こうにも限界が来てたんだ。



 蒼葛は紅玉と違ってきちんとしたフォームではない。誘導魔法無しで打てばボールのコントロールなど不可能。つまり、今がチャンス!

 回復する時間は与えない。ボールはギリギリコート内に入ることは勘でわかっている。落ちるまで待たない。このままジャンプしてスマッシュを打つ!



 大きく跳躍し、蒼葛の前に目掛けてボールを打ち返す。



「喰らええ‼」



 だが蒼葛は諦めず魔力無しで最後の力で打ち返した。真っ直ぐに、センターに。



 紅玉のフォームを見よう見まねで再現しやがった!



 ボールはサービスエリアでバウンドした。でもまだ空中にいる俺には届かない。

 ここに来てやられた! 蒼葛の策にハマったのか!

 このままじゃボールを取れず蒼葛の得点になってしまう。もう後がないのに。



 ……いや、まだ負けじゃない!



「負けて、たまるかあ‼」



 全魔力を足に込める。空に向けて足を突き出すと、俺の体はボールへ、地面に向けて放たれる。







「勝つのは俺たちだあ‼」







 頭から地面に直撃する寸前、魔力切れの腕でラケットを思い切り振った。



 ボールはネットを越え、反応できない蒼葛の顔すれすれで通り過ぎ、ベースラインでバウンド。そしてそのまま2バウンドした。



 取った……俺が蒼葛からポイントを取った!



 声に出して喜ぶ暇はない。もう地面との距離が眼前まで迫っている。このままじゃ頭蓋骨粉砕(ずがいこつふんさい)どころじゃない。



 くそお、せっかく勝ったのに……。



「和成ッ‼」



 地面に当たるすれすれで紅玉の声とともに顔面が(やわ)らかいもので包まれた。そしてコート外へ吹っ飛ばされた。



「げ、ゲームセット……」



 気力、体力、魔力全てを使い果たし、意識が薄れゆく中、主審の声が耳に入る。



「……マジ?」

「空中を蹴って、俺のボールを……」



 もう相手2人が何を言っているのか、俺にはわからない。ただ、これだけはわかる。



「勝った……」



 そうだ。勝ったんだ。



「和成ッ!」



 抱いていた紅玉の腕に力が入る。そうか、紅玉が落ちる俺を抱いて助けてくれたのか。



 泣いて喜んでいる、あの紅玉天河が。



 嬉しい、すごい嬉しい。



 でもヤバい。骨が折れそう。力入れすぎ。



「ごめ、もうちょっと優し——」

「うおおおおおおおおおおおおおお勝ったあッ‼」

「蒼葛に勝った‼」

「北風が東法に勝ったぞおッ‼」



 俺の必死の声はウチの部の歓声によってかき消された。

 俺、ここで死ぬのか? せっかく勝ったのに? このまま紅玉の胸で圧死するのか?



「あ、ごめんなさい!」



 口から何かが出てきそうなところでやっと紅玉が俺を抱き殺しかけていることに気づき、力を抜いてくれた。



「ゲホッゲホッ! すまん、肩貸してくれ。立てないんだ」



 紅玉に(かつ)がれながらネットに向かう。テニスは握手をしてコートを出るまで試合は続く。



「2対1で紅玉・鈴木ペアの勝利です」

「「「「ありがとうございました」」」」



 お互いマメで赤くなった汗まみれの手で握手をする。

 紅玉は怪我していない左手で握りながら蒼葛と目を合わせる。



「素晴らしい試合だったよ。俺の完敗だ。良いペアに会えたな、紅玉」

「当たり前よ。この私が認めたんだから」



 負けたが、蒼葛の表情は(くも)っていない。むしろ満足そうだった。



「負けたな。次頑張れ、先輩」

「そうだな」



 俺の右手を握りながら反対の手で蒼葛の肩に手を置き(なぐさ)める高橋幸。



 俺は蒼葛が完全に敗北したとは思えない。

 高橋幸の退場、蒼葛の魔力切れ。どちらかでもなかったら負けていたのは俺たちだった。



「悪いな。俺のせいでこの男をスカウトできなくなって」

土壇場(どたんば)での機転や力の引き出し方、そして魔眼も備わっていることがわかった。これからスカウトすればいい。なんなら卒業後でも可」



 マジかよ。諦めるかと思ったらさらにやる気を出してやがる。



「勘弁してくれ」

「やだ」



 高橋幸から手を離すと、今度は蒼葛が右手を差し出してきた。



「素人と言って悪かったな。お前は間違いなくマジックテニスプレイヤーだ」

「……ありがとう」



 俺も右手を出してその大きな手を握る。

 すると蒼葛は顔を近づけて俺の耳元で紅玉たちに聞こえない声量で(ささや)いた。



「これで父親との件は解決だな」

「え?」

「驚くことでもない。噂というのは広がるものだ」



 それは体験からよく知っている。

 しかし他校にまで伝わっているとは考えてもいなかった。

 誰が流したんだ。紅玉? 信介? それともマジックテニス部の誰か?

 いや、それよりも聞かなければならないことがある。



「じゃあ、さっきの試合は……」

「安心しろ。最後の方は本気だった。本気でお前と打ち合い、俺は負けた。お前の熱意の方が強かったんだ」



 ……どこまでも底が知れない男だ。



 今の話を紅玉が聞いたらもう一試合しろと怒号(どごう)が飛ぶに違いない。



「中学と高校では世界が違う。お前や幸のように、新しい()が生えてくる。紅玉はまだそのことを知らない。だから、お前たちが教えてやれ。強くなった姿が見れるのを全国大会で待ってるぞ」



 そう言うと蒼葛は離れた。

 2人がコートを出たあと、俺たちも反対側から出て行く。すぐに部員に囲まれ、盛大な拍手が贈られた。



「和成お前凄いよ! 俺最後にセンター打たれた時は負けたって思っちまったのによ!」

「ありがと信介。でもおかげでボロボロだ。しばらくは筋肉痛やらなんやらでまともに動けないな」



 今も足に力が入らない。骨は折れてないと思うけど、痛みも半端じゃない。

 目も負担を掛けすぎたのか視界がぼやけている。



名誉(めいよ)の負傷だ。胸張っていいんだよ」



 信介は俺の空いた方の肩を担ぐ。



「紅玉、お前も疲れてるだろ。和成は俺に任せてお前も治療してもらえ」

「ありがと。でも運ばせて。ペアである私の義務だから」



 2人にベンチまで運んでもらった後、先生から治療を受けた。


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