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喪失

 きっかけは突然だった。



 家の庭で自主練していたら、突然辺りが突風に包まれ木やら窓やらが吹き飛んだのだ。

 その時近くにいた姉や近所の人たちは竜巻が起こったのかと大慌て。

 俺も原因が自分だとは思わず一緒になって困惑していた。



 原因を知ったのは翌日のこと。

 あのアリスみたいな女が訪れて、俺を魔法刑法第119条に違反したとかで逮捕するとか言い出した。

 詳しく聞くと、魔法禁止区域で魔法を出したことが法律違反らしい。



 最初は子供の冗談かと鼻で笑ったが、いつものほほんとしてる両親の青ざめた顔ですぐに事態の重さを悟った。

 魔法使いは存在する。両親と女が両手から土や水を出したことですぐに信じさせられた。



 そのあとはあっという間だった。

 自分の両親が元魔法使いなこと、俺が逮捕されないためには安全な魔法使いであることを証明すること、そのために魔法学校に行って魔法を学ぶ必要があること、そんなことを淡々と説明された。



 その時は困惑と僅かな期待感があるだけだった。

 でも女が次に口にしたことは俺の生きがいを奪うことだった。



「魔法学校を卒業して私が和成さんは安全な魔法使いだと判断するまで和成さんは魔法使い以外の関係を全て絶ってもらいます」



 意味はそのまま。

 魔法学校にいる3年間、俺は今までの人間関係を全てまっさらにしなければならない。



 テニスは相手がいなければできない。

 しかも魔法使いの世界では非魔法使い(おれたち)がやってるスポーツはほとんどおこなわれていないらしい。

 つまり、俺は唯一の才能かつ大好きなソフトテニスを禁止にされたも同然なのだ。



 最初は全力で抗議した。

 でも何を言っても法の前では無意味。

 それに偶然とはいえ法を犯したのは俺。

 親以外誰も擁護してくれない。



 そうして理不尽に俺は魔法学校に入学し魔法を学ぶことになった。

 魔法学校に、魔法を知らなかった赤子の俺が入ることになってしまった。



「入学先は北の風魔法高等学校。北海道にある過ごしやすい学校ですよ」



 そう言って女は悪魔のような優しい笑みを浮かべた。


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