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新たな相棒

 次の日の放課後。信介と一緒にコートの中に入ると、フェンスの近くで(かたまり)になっている部員を見かける。紅玉はまた1人寂しく魔法無しのサーブ練習中だ。



「まだミーティングの時間じゃなかったよな?」

「なんだろう?」



 近づくと、みんなが俺たちの方を見た。というか、俺を見ている。



「和成、お前にプレゼントが届いてるぞ」

「プレゼント?」



 眞壁(まかべ)がフェンスの方に指をさす。そこにはラケットケースが立てかけてあった。



「誰から?」

「わかんない。コートに来たら立てかけられてた。テープで貼られた紙に和成の名前が書かれてたから、多分和成へのプレゼント。それと雑誌も」



 ラケットケースについてる紙と下敷(したじ)きになってる雑誌を手に取る。

 確かに俺の名前。雑誌の方はこの前ポストに入ってたものと同じ会社のものだ。これもかなり読まれていて、状態が酷い。



「中開けてみてよ。どんなラケットが入ってるか気になるから」



 みんな雑誌よりもラケットが気になるらしい。

 なんで俺以上にワクワクしてるんだろう。

 ファスナーを開けて、中にあるラケットを取り出す。

 赤と黒の稲妻(いなずま)のような模様。



「これ、和成が借りてたやつと同じだね」



 眞壁の言う通りで、汚れや傷が消えただけで、前と全く一緒。握り心地や重さも同じだ。

 ラケットに見惚(みほ)れていると、さっきからずっと紅玉を見て黙ってた信介が口を開いたと思ったら物凄い棒読(ぼうよ)みで言ってきた。



「良かったなー。お前ずっと古いの借りてるだけだったからちょうどいいじゃないかー」



 何かわかっているかのような信介の表情。



「信介、お前……」

「んー。なにー?」



 わかりやすっ! こんなの誰でもわかるだろ。



「……いいのかな? 貰っても?」



 こんな高価なもの、友達からタダで貰うのは気が引ける。



「貰っとけー。新品を倉庫に入れとくのもかわいそうだろー」



 引きつった笑み。コイツ演技ヘタすぎだろ。



「わかった。じゃあ、ありがたくもらうよ」



 信介を見ながら俺は言った。



「早速試し打ちといこうぜ」

「ああ」



 手から伝わる感触からして、試し打ちなど必要がないのはわかる。それほど俺はこのラケットを使っていたんだ。


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