そもそも、魂とは何ぞや……?
ライセは声のトーンをやや落とし、真顔で語り始めた。
「復讐をお手伝いする件についてお話しする前に、まずはこの世界の基礎知識をお教えしたいのですが」
「そのほうが私も理解しやすいわね」
「はい。なので、少し説明が長くなります。何度か休憩を入れながらお話ししますね」
まずは大前提として “魂” の話から。
カテリーナは半信半疑で耳を傾ける。
「人間は……もちろん私とあなたも、この世界の始めに存在した大きな魂の末裔なのです」
ライセは両手でやっと抱えられる大きさの球体を出現させた。
それは陽光のようにキラキラ光り、羽もないのに浮いている。
いったいどういう仕掛けなのだろうと、カテリーナは球を凝視する。
「この大きな球。これが最初に存在した大きな魂で、あなた方の言う “創造主” のような存在です。これを “A” と呼びますね。
そして、このAがいくつかの魂を作りました。それを “B” と呼びましょう」
大きな球Aの中から、四分の一ほどの大きさの球Bが現れた。
「私は視界が雑然とするのが苦手なので、一つしか出しませんが……
この魂Bたちから、さらに小さな魂たち “C” が数えきれないほど生まれました。
まあ、厳密に言うと、生まれるというのは少し違うようだけど」
球Bから、その十分の一ほどの大きさの球Cが一つ、ポンと飛び出た。
「そして、これら魂Cたちそれぞれが、たくさんの魂Dたちを生んだのです。私とあなたは、ある一つのCから生まれた魂Dたちです」
球Cから豆粒ほどの球Dたちが、パッと見で数えられないほどたくさん出ると、
ライセはその一つを指し示し「例えば、このDが私の魂。その隣のDがカテリーナさんの魂」と説明した。
「魂Cたちには1人ずつ魂の管理人が存在します。私は、私とカテリーナさんも含む小さな魂Dたちをまとめる役割……つまり、私たちが属するこの魂Cの管理人をしております」
カテリーナの視界に大、中、小、極小の球がふよふよと浮いている。
今までは茫然と話を聞くだけのカテリーナだったが、少しずつ状況が整理され、物事を考える余裕が出て来た。
「それのどこが、200年後に生まれ変わった私があなただという話になるの? 私の復讐と何の関係があるのかしら?」
「そうあせらずに。今は、それを理解するために必要な知識をお話ししているので」
だが、カテリーナは気になって仕方ない。
「ライセさん。魂世界と人間世界の調和を図るため私の人生を書き直したいと言ったわね? つまり私の復讐は、あなたにとっても利があるということよね?」
「はい。互いにお得な話です。ご満足いく結果になるかは、お約束できませんが」
「最初にその話をしてほしいわ。気になることを抱えたままだと、説明が頭に入らないもの」
「なるほど。では……まずは、それを理解するのに必要なお話を……根本原因からご説明しましょう」




