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ウィーンの歌姫は来世の自分と共謀して邪教祖を断罪する ~魂の管理人 人生を書き直す1789年の復讐~  作者: チャイ猫


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火刑台のカテリーナ(2)

 絶望がカテリーナの心を蝕む。


(何一つ復讐できないまま死ぬなんて……。どうして、今まで気付けなかったの?)


 

 マリアはいつも聖女の如くふるまった。

 

 そう。すべて見せかけだ。


 誰もが魅了(みりょう)される作り笑顔。

 三文芝居(さんもんしばい)のような見栄(みば)え重視の善行(ぜんこう)。

 悩み苦しむ者たちの思考や言動を否定せず、共感し、慰(なぐさ)め、希望を与えるが、それも演技だ。


 それらは耳ざわり良く薄っぺらな言葉で彩(いろど)られていた。


 そうやって信頼を得てから、時に厳(きび)しく、時に優しく接して相手の心を操(あやつ)る。


 自分の言いなりになる信者を得るために。

 

 神の教えを金儲(かねもう)けに利用しただけでなく、マリア自身を信仰(しんこう)の対象にすり替えたのだ。



 信者は人生すべてを支配され、最期は全財産と命を奪われる。


(私も、その一人よ)



 マリアのせいで、今までどれほどの人々が破滅したのか?

 

 マリアが生きている限り、被害者は増え続ける。

 悪魔の所業(しょぎょう)だ。

 

 悪魔が人間に化けた姿がマリアなのか、人間のマリアが悪魔になったのか……?


 

 カテリーナはマリアの姿を目に焼き付け、誓った。

 

 我が魂の存在する限り、必ず復讐すると。

 そして、己(おのれ)の魂と体からすべての力を振り絞り、声なき声で絶叫した。



「誰でもいい。私に力を貸して! マリアに復讐する力を!!!」



 そう叫んだ瞬間、目を開けていられないほど白くまばゆい光に視界が満たされ、体の感覚が消えた。



(何が起きているの?!)

 

 とまどうカテリーナを優しく包み込むように、白光は次々と金色の光の欠片(かけら)に変化する。

 そして、この無音の白い空間の四方八方に満ちあふれ、霧散(むさん)した……

 と思ったが、新たに金色の光が生まれては霧散する。


 その繰り返しだ。


 煌(きら)めく欠片は勢い良く回転しながら、どこかへ流れ込んでいくようにも見える。



「私でよろしければ、お手伝いいたします」


 光に呼応(こおう)するように響く女性の声。

 

 全方位から聞こえたその声を、カテリーナは耳ではなく全身で聞いた気がした。

 己の体を構成する細胞の一つ一つにまで共振(きょうしん)する感覚。


 それは、眩(まぶ)しすぎる白と金の光が消え、この何もない白い空間に静寂(せいじゃく)が訪れるまで続いた。


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