魂の管理人とは、何ぞや?
冷めたお茶を取り換えながら、ライセは魂の管理人について話し始めた。
「魂の管理人とは、自身が所属する魂Cグループの魂Dたちを引率する教師や相談役、場合によっては医者や弁護士みたいな者で、
一つの魂Cの中に存在する多くの小さな魂Dたちの管理監督者……
人生をより良く生きるお手伝いをする存在です」
ここまでは理解できましたね? と、確認を求められてカテリーナは肯く。
「具体的には、肉体を持って生まれた魂Dが体験する様々なこと……例えば、人生観が変わるほど不幸な体験などですね。
その影響で生じた魂の傷や歪みを修復しつつ、生まれる前に作った人生計画書に沿った生き方に向かうよう、陰で手助けをするお仕事です……
なんだか求人広告みたいになったなぁ」
「人間ひとりひとりに魂の管理人がいるのね?」
「そうです。マリアにもね。まあ、あそこの管理人もたいがいですがねぇ。散々苦労したせいで性格が……おっとっと、言っちゃダメだぁこれ以上。セーフ?」
まるで誰かに見られているかのようにライセは再び天を見上げたが、青空が広がっているだけだ。
「私も苦労しましたよぅ。マリアの悪影響であなたの人生は予定外の出来事だらけ。何をやってもどん底状態から抜け出せなくて……私、ガチで泣いたよ」
「そ、そうなのね」
「というわけで、あなたのお手伝いをしながら業務上許される範囲で復讐……いえ、軌道修正したいなぁって♪」
ライセは先ほどから二度も “復讐” と言った。
他はともかく、復讐したい気持ちに嘘偽りは無さそうだ。
(でも、私の勘はあてにならないわ。マリアに騙されたくらいだもの)
何にせよ、通りいっぺん聞いただけで理解できる内容ではない。
「二つの世界の調和を図るのに、私が一番良い立ち位置にいると言ったわね。今までの話が嘘なら、それが発覚した時点で私はあなたに協力しないわ」
「それで良いです。あなたが私を疑い続けるのは、とっても良いことですから」
その答えは意外だったが、詐欺師はハッタリ上手だ。
時間をかけて騙すつもりかもしれない。
経験を積んだ悪人なら、過去に騙された経験がある者でも簡単に騙せる。
カテリーナに騙された経験が無ければ、ライセの話を素直に信じたかもしれない。
人は、荒唐無稽な話ほど騙されてしまうものだから。
(他人を信じるのも、裏切られるのも怖い……)
魂世界にも、マリアのような悪人がいるに違いない。
目の前にいる自称 “カテリーナの来世” で “魂の管理人” のライセが悪意を持っていないと証明できない以上、疑い続けて自衛するしかないのだ。
(でも、ライセの話は信じられる気がするわ……。いいえ! おバカさんね、カテリーナ。そういう甘い考えだからマリアに騙されたのよ。もう誰も信じてはだめ)
そう思ったが、それでも他人を信頼したいと渇望する心があると、カテリーナは自覚した。
次回 「”推し” とは???」




