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五丈原にて諸葛亮を救い、その義子となる  作者: ほしかわ さとる
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療法を立て本を治す(上)

語りつつ、諸葛亮は一言も漏らさず記していた。一つ一つがことごとく病根を指し、利尿・強心・内養い、心脈を固く護る。彼が以前飲んだあの毒薬とは、天壌の差。最後まで聞き、諸葛亮の眼に一閃の驚嘆が浮かんだ。この一連の方だけ見ても、病根を直撃し身を固く護る後世の医道と知れる。まさに彼が今この時、最も必要とするもの。


最後に私は付け加えた。


「この方は日々見張らねばなりません。薬の量は体の変わりに応じて随時調整し、一成不変としてはならぬ。また、今日より後、丞相の食事は淡白少塩、十分な睡眠を保ち、夜を徹して軍務を理くことを許さず、事あるごと自ら行うことを許さぬ。」


「わずかでも背けば、薬の効は大きく減じ、ひいては前功尽きる。」


口調は厳しく、半分の相談の余地もなかった。諸葛亮は微かに笑み、眼に満ちる慰みを浮かべた。


「よい、わしはすべてそなたに従おう。」


天から降る神託を待つでもなく、誰かに道を示されるでもなかった。ただ手を側にあるあのアルミ製の薬箱の冷たい棱角に置いた。一人の王医官など、氷山の一角に過ぎぬ。五丈原の夜の色の中に、さらに多くの見えぬ眼が潜んでいる。


帳の外の漆黒の夜を見やる。秋風が唸る。あたかも無数の眼が、暗がりからこの丞相の軍帳をじっと見つめているかのよう。殺機は、決して遠ざかったことがない。


目を収め、諸葛亮を見て、眼差しは固く言った。


「丞相、今夜より、我らの路は、一歩一歩氷の上を履むがごとくならねばなりません。」


「ですが、あなた様に誓います。」


「私がいる限り、必ずお生き延びになります。」


「蜀漢は、必ず滅びぬ。」


灯の光が揺らぎ、二人の固き面影を映していた。五丈原の長夜は、今まさに始まったばかり。そして三国の歴史を逆転させる第一の碁石は、すでに密かに打たれていた。


三日後。


王医官は新たに調えた内服薬を捧げ、例のごとく丞相の帳の外で命を待った。だが三日続き、彼の差し入れた薬を、丞相は「服する暇なし」とばかりに手をつけなかった。それなのに、もとより日ごと衰えるはずの体は、血色に一日ごとに潤い、咳も減り、足取りさえ以前より逞しくなった。


王医官は胸でぱくりと跳ねた。これはおかしい。彼のあの長年心と肺を削る毒薬が、理の上ではとっくに孔明の心肺機能を少しずつ引き垮していたはず。どうして逆に回復しようか。


彼がはたと疑う折、目尻の余光がふと帳外の廊柱の後ろに、二つの黒甲の影が鉄塔のように立ち、眼差しは重く、一瞬として彼に注がれているのを瞥見した。白毦兵。諸葛雲が自ら仕込み、丞相の密令のみを聞く親衛。なんと彼を監視しておる。


王医官は背筋にぱっと冷汗が走った。先ほどの「孔明必死」の冷笑は、今やことごとく顔に凍りついた。彼は忽ち悟った。己が天衣無縫と思った催命の薬はとっくに見抜かれ、己が勝ち握ったと思った碁は、向こうが将計就計で、逆手に喉を絞っていたのだ。毒薬は補薬となった。彼は籠中の獣となった。


そして、かつて王医官を力援し、私の「素人が軍の薬に妄りに口を挟む」を嗤った随軍医官どもが、数日後、白毦兵が王医官を取り囲み、一歩も離れぬよう密かに見張るのに出くわし、ようやくはっとした。己らが神のように崇める老医官が、なんと丞相の薬碗の傍らに潜む豹狼だったとは。数人は思わず冷気を吸い込み、当の日、私への軽蔑を思い出して顔がひとしきり焼け、恥じ入るやら後怕するやら。全営が疑いから服いへ、今度こそ、真に真実に服したのだ。


次に当たるは、司馬懿。よくもこの手に応えよ。


帳内の銅灯の灯花が「ぱち」と跳ね、二人の影を帳の壁に投げ、長く重々しく引き伸ばした。帳の中、私は一領の青衫、頭に方巾を結び、眉目は疏朗、神清骨秀、肅殺の軍帳の間にひとり風流倜儻の清気を備えていた。先ほどの弁が落ちて、帳の中はしばし静まり、帳外の唸る秋風さえ、この忽然と張り詰めた雰囲気に幾分か低く押し込まれたかのようだった。


諸葛亮はゆっくりと手首を収め、指先をそっと胸に当てた。長く抑え込まれていたむせる咳が、何か無形の力に押し下げられたようだった。彼は私を見つめ、眼差しにはもはや初めの審視と疑忌はなく、一種の托付に近い厳みがあった。出山して先帝を輔けてより、彼はすべてを算り尽くし、独りで危局を支えることに慣れきっていた。だが今、千年の彼方から来たこの異郷の青年を前に、彼は初めて「誰かがわが半壁の江山を分かち負える」との念を起こした。


「弘正。」と諸葛亮は忽然として口を開き、声を低くした。「そなたは後世千年の風雲を知るという。この度の北伐、司馬懿の外に、わしの最大の隠患は、いったいどこにあると知るか。」


胸中ぴりりと凜とした。分かっている。孔明のこの問いは私を試すものではなく、確かめんとするものだ。私が戦場よりも凶とき朝堂と人心を見抜くことが、本当にできるかを。


迷いなく、声を潜め、一字一句明瞭に言った。


「丞相の最大の隠患は、もとより魏軍にはなく、三か所にあります。」


「第一は、軍中に。魏延は勇猛だが、性が高慢、楊儀と水火のごとく、二人とも重権を握り、一文一武、互いに相容れぬ。丞相が在らばなお抑えられましょう。丞相に一度不測あらば、軍中に必ず内乱が生じ、長城を自ら毀つことになりましょう。」


「第二は、朝中に。益州本土の士族は、もとより北伐を喜ばず、荊州一系の長きにわたる権握りを望まぬ。彼らは表向き従うが、陰で絶えず休戦撤兵の言を流し、軍心民心を蚕食する。一旦北伐が長引けば、朝中に流言必ず起こり、後方を揺るがす。」


「第三は、陛下の御側に。黄皓は次第に寵せられ信ぜられ、小人がその志を得れば、必ず君臣を離間し、賢臣を排して疎んじ、ついに朝堂の内外を離心させ、蜀漢は戦わずして自ら弱る。」


三つの言葉、句句心を誅し、字字蜀漢の最も致命的な三か所の死穴を指した。諸葛亮は目を閉じ、長く嘆き、再び目を開けば、眸の中は満ちる渋みがあった。


「そなた……わしよりもなお深く見ておる。この三か所、わしとて知らぬではない。ただ長年外にあり、此を顧みれば彼を失い。わしは、ただ自ら一日支えれば、蜀漢は一日安きなりと思いし。だが知らずや、大厦将に傾かんとす、一木もって支うべからずとならん。」


「丞相、知らぬではなく、ただあまりに労し、事ごと自ら為し、かえって根の上の隠患を見落としたので。」と私は言った。「今、私がいます。私は未来の禍いがどこから起こるかを知るゆえ、我らは事前に塞げる。魏延と楊儀の対立は、ただ押さえるのみならず、疏かにせねばならぬ。朝中の士族の言は、ただ塞ぐのみならず、導かねばならぬ。陛下の御側の小人は、ただ除くのみならず、防がねばならぬ。」


諸葛亮は微かにうなずいた。


「そなたの言うこと、まさにわしの欠けるところ。わしの一生、あまりに安きを求め、あまりに法を重んじ、そなたのような……病巣を直指する胆力を欠いておった。」


心中で悟る。諸葛亮この一生「鞠躬尽瘁、死して後に已む」こそ、彼の最大の弱点だった。事あるごと自ら行うは、一見周到に見えて、実は自らを使い潰し、また部下の成長を圧え、なおさら小人に隙を与える。そして私の為すべきは、少しずつ諸葛亮を「自らを累ねて死ぬ」の死循環から引き出し、同時に、あの暗がりに潜む毒腫を、一つ一つ掘り出すことだ。


「丞相、方はすでに認め置き、今夜にもあの毒薬を替えねばなりません。」と私は言った。「だが薬を替える件は、絶対に信頼できる者が経手せねばならぬ。煎じ薬から送薬、口に至るまで、一歩ごと第二の人の手を経てはならぬ。」


「軍中の薬煎りは、もとより医官と親兵が共に理く。もし忽然としてわが親衛のみで為ると改めれば、あの王なる医官の疑いを招く。」


「まさに彼に疑わせるためです。」と私は冷笑した。「我らは彼に、丞相がすでに彼を疑い始めたと思わせ、しかし暴かず、彼の心神を乱し、外へ消息を急ぎ渡させようとする。彼が動けば、我らは把柄を摑める。」

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