医を査ね毒を見抜く(下)
「わしに言わせりゃ、むしろ後営で薬の帳へ飯を運び続けてる炊事係の老周を調べるべきだ。この数日、うじうじして、医官を見れば首を縮める。心に鬼でも抱えてるんじゃねえか。」
一人が声を潜めて言った。
「校尉はとっくに調べておる。ただ医官に食事の粗密を咎められるのを怖がっておっただけ、取り越し苦労じゃ。」と先の者は嗤った。「火を焚き飯を炊く粗野な奴が、何の波を起こそうか。」
数人がどっと笑った。誰も、彼らが日々挨拶をし、神のように崇める王医官に心を向けようとしない。全営の目は、あの「来歴の知れぬ部外者」と、あの「怪しき炊事係」に釘付けで、かえって最も漏らしてはならぬ一人を取りこぼしていた。彼らは知る由もない。彼らが神のように崇める王医官が、今まさに冷汗びっしょりとしていることを。だがその冷汗が滲み出るのは、いささか時を置いてからのことだ。
「事、遅るべからず。」諸葛亮は顔を引き締め、丞相の威厳を取り戻した。「直ちに命を伝え、腹心の親衛統領を帳に入れ、密かに監視の件を配置する。この事は機密、決して漏らすでない。」
私はうなずいた。
「くれぐれも、絶対の忠誠、口の堅さ、誰にも買収されぬ者を選んでください。親衛統領は、丞相が自ら抜擢し、絶対に信頼できる腹心でなければなりません。」
「わしの胸中、すでにその人あり。」と諸葛亮は声を沈めて言った。「この者はわしに多年従い、南を征ち北を戦い、忠勇に並ぶなし。」
そう言い終え、手を上げて寝台の傍らの小さな玉玦を取り、軽く三度叩いた。
澄みきった玉の音が、帳内にゆらりと響いた。これは丞相の帳における最高機密の伝訊の法、最も核心の腹心親衛のみが解する。
やがて、帳の外から極めて軽く、極めて穏やかな足音が聞こえ、続いて低く力強い声が外で響いた。
「配下、丞相に拝謁つかまつる。」
「入れ。」
帳の戸が軽く開く。一筋の凛とした影が音もなく滑り込んだ。玄の色の身に密着した暗甲が清痩で敏捷な体を包み、髷は高く結い上げられ、一本の素銀の束環が灯の下で微かに光った。彼は二十ばかりに見え、体つきは長身で、眉目は夜の色と鎧に際立って冷峻、一双の眸は静かで鋭く、寒夜に凝り固まった二つの星のよう。笑わぬ時、その人全体が鞘に収められた一振りの利剣のように、静かだが、人に逼り見ることを許さぬ。挙手動作に一片の音もなく、足元に綿を踏むがごとく、息さえ極めて軽く斂めている。
この人こそ、諸葛亮が養子として迎えた諸葛雲。彼は丞相府の密偵と白毦兵を執掌し、監察と諜報を専らとし、諸葛亮が最も信頼する眼と耳であり、またこの五丈原の大営における最も隠密な一太刀でもある。外の者は白毦兵の統帥が寡黙で顔を見せぬとばかり思うが、その統帥が実は丞相の養子であるとは知る由もない。
諸葛雲の入るのを見て、宙吊りだったこの胸は、密かに半ば下りた。この人ありてこそ、医官を監視し間者を捕える件は、半ば成ったり。
諸葛雲が入ると、まず目を諸葛亮に据え、義父に変わりなきを確かめてから、ほんのわずかに目を斜めにやり、私を一瞥した。その一瞥には初め警戒があり、次に計りがあり、最後は動じぬ収斂に帰した。一介の布衣がどうして丞相の帳にあろうか。だがこの人は神色沈着、妄りな人には見えぬ。彼の指節が身側でほとんど察せぬほど一瞬止まり、また解けた。それは隠刃の収と放の半瞬だった。眼に一閃の驚きが走った。それは普通の下士を品定めするのではなく、忽然として生じた一つの変数を審しているのだ。彼は多く問わず、ただ微かにうなずき、声を清く冷ややかに落ち着けて言った。
「義父、なにかご命令は。」
諸葛亮の声は低く、半分の感情も帯びずに言った。
「雲児、今日より、お前は一切を差し置き、全力で一つの機密の大事を務めよ。」
「丞相、お命じください。」
「帳外のあの随軍医官、王なる老者を、直ちに人を遣わして、昼夜絶えず密かに監視せよ。」と諸葛亮は一字一句明瞭に言った。「彼の一挙一動、一言行、誰と接触し、どこで消息を渡すか、たとえ一名の平凡な兵卒と語ることであっても、一字違わず、一事漏らさず記し、わしに報せ。」
「覚悟せよ。」と諸葛亮の眼が厳しくなった。「監視のみ、蛇を驚かすな、行方を露わすな、彼に半分の察しを与えるな。もし半分の消息を漏らせば、軍法に処す。」
「配下、承知つかまつる。」
「下がれ。」
「はっ。」
諸葛雲は再度一礼し、身を翻して帳外へ退いた。動作はきびきびと、無駄がない。
帳内、再び静寂に帰す。諸葛亮は私を見て、神色厳かに言った。
「これよりは、そなたにわずらわねばならぬ。わしのために新たな処方を立ててもらう。」
私はうなずき、神色粛然と言った。
「丞相、ご安心を。必ず最も穏当な方を下し、まずお体を押さえます。ただ……一つ、事前にお断りしておかねばならぬことが。」
「わが医道は後世より来たり、当世の法と大いに異なる。薬を用いる法、他人の目には奇異に映るやもしれぬ。」と声を沈めて言った。「その折、もし誰かが疑いを抱けば、どうか丞相、一身にその責をお負いください。さねば、方は推行され難く。」
これは必ず事前に敷いておく伏線だった。後世の薬を用いる法は、当世の経験頼りの方立てと大いに異なる。もし他人に把柄を握られ、私が薬を軽々しく用いたと指弾されれば、面倒は小さくない。諸葛亮の自らが保証してくれれば、一切の抵抗は煙消雲散する。
諸葛亮ほどの透徹ぶり、即座に私の懸念を悟り、その場でうなずき、口調を固くした。
「この件、心配するでない。今より後、そなたの定めし用薬の案、そなたの申す起居と栄養の管理、いかなる医官との議りを経ることなく、直ちにわしの命として施行せよ。誰か疑わば、それはわしを疑うに等しく、軍法に処す。」
この一言が、私に最大の底力を与えた。胸中ひとしおになり、身を屈めて一揖した。
「丞相のご信任、感謝いたします。」
「我とそなたの間、謝など言うでない。」と諸葛亮は軽く首を振り、眼に複雑な期を帯びて言った。「そなたはわしを救わんがため、さらに蜀漢を救わんがため、天下の蒼生を救わんがためじゃ。このわしの命、今日よりそなたに委ねる。」
私は顔を上げ、諸葛亮の眼差しを受けた。薄暗い灯の下、この千古の名相の眼には、平時の疲弊と絶望はなく、新たに一つの星火が灯っていた。それは生への渇望、大業への執着、天を逆にして命を改めんとする信念だった。
胸中激り、私は厳かに口を開いた。
「丞相、ご安心を。わたくし弘正、ここに誓います。必ず全力を尽くし、丞相の命を継ぎ、蜀漢の江山を保ち、漢室の天下を興さん。決して丞相のお託けを裏切りませぬ。」
誓いは鏗鏘として、帳内にこだました。帳の外、秋風は相変わらず蕭条たり、しかしいくばくかの悲涼は減じ、幾分の凛冽なる戦意を増していた。
私は低い机の傍へ歩み寄り、目をその漆黒の薬碗に落とし、眼差しは冷たかった。王医官というわけか。司馬懿が据えた間者というわけか。お前たちはこの薬をもって、音もなく諸葛亮を害し、歴史を書き換えようとした。だが残念、お前たちの相手は私だ。今日より、お前たちの陰謀は破れた。お前たちの眼線は抜かれた。お前たちの布石は砕けた。五丈原の天は、もはやお前たちの思いのままには落ちぬ。諸葛亮の命は、もはや史書の軌跡のままには終わらぬ。
深く息を吸い、振り向いて諸葛亮を見た。
「丞相、どうか手首を差し出してください。まずお脈を診て体の状態を確かめ、それから精確に方を立てます。」
諸葛亮は微かにうなずき、ゆっくりと手首を差し出した。指先がそっと諸葛亮の脈に置かれる。脈は微弱だが、なお一片の屈せぬ粘り強さを帯びていた。まるで目の前のこの人が、明らかに命を風前の灯に懸けながら、なお運命に頭を下げようとしないかのよう。
心中ひそかに誓った。この世、私は諸葛亮を生かして五丈原を歩ませてみせる。私は北伐の大業を続けさせてみせる。私は「出師捷せずして身先に死す」の千古の遺憾を、完全に過去のものとさせてみせる。
脈をしばし診て、心中すでに見当がついた。丞相の身はとっくに打ち壊され、虚は極みに達し、なおその毒薬の慢性の侵食を重ねて、とっくに油が尽き灯が枯れるの縁にあった。古い経験任せのやり方では、もはや間に合わぬ。後世の方を投じ、直接身を押さえねばならぬ。
私は後世の心を養い命を保つベースラインの方を、一つ一つ諸葛亮に説いた。
「第一歩、静脈路を確保し、まず利尿による浮腫の軽減と喀血の停止。さらに穏やかな強心剤で心脈を押さえ、同時にカリウムを補給して内を養い、心の乱れ跳びを防ぐ。別に薬をもって血管を護り、不整脈を抑え、血栓を予防する。これらは皆、後世の治法。当世の経験頼りの方立てと大いに異なります。」




