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五丈原にて諸葛亮を救い、その義子となる  作者: ほしかわ さとる
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命を受けて都に入る(上)


そしてこの時、五丈原の軍中で、一つの流言がひそかに蔓延していた――これこそ黄皓が駅報に細工をした結果である。「蜀軍の大勝、糧草の充足」が「蜀軍の久戦、兵疲れて糧欠く」と改められ、この風声は糧を運ぶ人夫や通りすがりの商人を伝って、ひそかに軍営へ忍び込んだ。

「聞いたか。後方の糧車がまた遅れたそうだ、蜀中が凶作で、倉の糧が足りぬのだと」

「丞相が前で命を張っているというのに、後方ではいったい何をやっておるのだ」

何人かの火頭軍が竈の辺りで罵り合い、下級の軍官も眉をひそめて不平を言った。「この調子でまた延ばせば、糧が切れたら、我々は何を頼りに長安を討つというのだ」

流言はますます奇怪になり、真面目な兵士までが首をひねり、新たに補われたばかりの少年の卒までが目を赤くした。営中の怨みは暗火のように、一つ一つの営塁を忍びやかに焼き抜けていった。

誰も知らぬ、この火が本来自より黄皓が背後に点したもので、ただ蜀軍の心を乱すためだけだったと。

そして成都の宮中で、黄皓は独り密室に座し、密使が期日を過ぎても帰らぬ報を聞くと、口元にゆっくりと冷やかな笑みを浮かべた。

「音信が絶えた? ならば、網に掛かったのじゃ」

彼は卓の上のその「蜀軍は糧を断たれ、日に日に自潰せん」とする偽報を指先で叩きながら、ますます穏当だと思い込んでいた――道の上の死士が斜谷の各口を塞ぎさえすれば、孔明のその鉄証は、末に陛下の御前の机に届くことはない。彼はすでに算段していた。孔明が死に、成都で再び誰も彼を制せぬ暁には、己が宮中で片手で天を覆えるほどだ、と。彼はすでに二通目の上奏をしたためており、ただ「蜀軍の潰乱」という「捷報」を待って、孔明に最後の一太刀を加えるばかりであった。

――彼の笑いは早すぎた。

二日後、中軍の大幕。

成都の密報、截り取った密使の自白、司馬氏の銅符が、すでに一つ一つ卓の上に並べられていた。黄皓の通敵の証――密書、自白、銅符――その一字一句が、明らかであった。費禕は全身が震えるほどに読み、机を叩いて罵った。

「小子! 姦党! よくも通敵叛国、わが軍の根基建を断とうとは! その心、誅すべきなり、その罪、誅すべきなり!」

諸葛雲も顔を鉄のように青くして言った。

「丞相、お命じを! 臣は直ちに軽騎を率いて成都へ帰り、黄皓を捕らえ、挫て粉にせねば!」

諸葛亮は手を挙げて二人の怒りを押さえたが、振り返って私を見た。

「お前は、彼がこの手を打つことを、とうに予め測っていたな」

私は指先で密報の上の「糧断」の二字を点し、重い声で言った。

「黄皓というこの閹竪、よくもわが前線の糧を断ち、ひそかに司馬と通じた――この一着、私は彼が狗のように窮まって飛び上がることをとうに測っていた。漢中のひそかな糧、秦嶺の古道、皆すでに布いてあり、彼の動く一足ごとが、皆私が彼を現れさせるための糸なのだ。彼は自ら下したのが必殺の手だと思い込んでいるが、実は、彼自らが首を縄の輪に伸べたのだ」

「いかに応じたらよい」と費禕が急いた。

「彼が断つなら、こちらは運ぶのだ」と私は淡く一笑した。「諸葛雲、漢中、剣閣に潜伏させておいた第二の影の隊を起せ――万が一に備えたあの『ひそかな糧』だ。成都の駅路は通わず、秦嶺の古道を辿り、白毦兵が自ら送り、神も気づかぬうちに五丈原へ運び込めば、半年は十分に支える。半年もあれば、成都へ帰師して君側を清むるに足る」

費禕は冷やかな息を飲んだ。

「軍師……その一着まで、あらかじめ布いておかれたのですか」

私は諸葛亮を見た。

「この道を前もって塞がずば、丞相がたとえ戦場で十度勝とうと、後方に引きずり倒される一度がある」

諸葛亮は軽く嘆息して言った。

「お前がおれば、わしは後顧の憂えなし」

彼はすぐに諸葛雲に向き直り、顔を正して言った。

「雲、もう一つ、より要なることがある――密使が網に掛かった今、黄皓は必ず事の漏れを知ろう。この鉄証は、軍中に寝かせておくわけにはいかぬ。お前と軍師、成都へ赴き、陛下に面に呈せ」

諸葛雲は拳を抱いて言った。

「臣、命に従わん」

私は半歩進み出で、重い声で言った。

「丞相、この成都へ赴くに、弘正はなお一つ後手を布くつもりです。永安の羅憲、孤城を守るに巧み、軍を治むること鉄のごとし。その部下の永安軍は当世きっての守城の師なり。長安を一度び攻め落とせば、必ず曹魏の反撃の焦点とならん。門戸を鎮めるに、囲城を死守し得る勁旅が座せねばならぬ。私は丞相に、陛下へ面奏していただきたい。一道の特詔を下していただきたい――羅憲に永安を棄て北上するよう特に詔し、率いる所部を速やかに成都に集結させよと。永安は雖ども呉蜀の衝を扼すれど、今呉はすでに我と連じて魏を伐ち、東顧の憂えはひとまず解けた。正にこの勁旅を抽いて北上させ用いるべき時なり。弘正、快馬を永安へ馳せて遣わし、羅憲に所部を率いて速やかに成都に集結せよと宣する――大軍が長安を抜く暁、まさに彼らにその城門を支えさせるのだ」

諸葛亮は軽く頷き、陛下の親ら署した空白の特詔に記して渡し、私の手に置いた。

「許す。この符の至る所、亮の親ら臨むに等しく、永安の軍は悉く調遣を聴け」

私は直ちに白毦兵の快馬を一人呼び、特詔と親らの手書を与え、昼夜を駆して永安へ走らせ、特詔を宣りて羅憲に城を棄てて北上せよと召せり。この使者が幕を出てのち、私は諸葛雲と共に振り返った――この一子の駒、この盤上の最も要なる門戸に置かねばならぬ。

「赴くは便を送るのでなく、命門を送るのだ」

諸葛亮の声は極めて低かった。

「黄皓がもし密使の截られしと鉄証の在るを知らば、必ず人を遣わして道中に截殺せしめん。卿ら二人、軽騎を簡び、斜谷の小道を辿り、昼は伏し夜は行き、必ず証を無事に陛下に呈せよ。陛下がこれらを見れば、黄皓に再び身を翻す日はない」

私は鄭重に頷いた。あのアルミ製の薬箱は私から離さぬ――この旅、それは丞相一人を救うものにあらざるやもしれぬ。

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