五丈原で目覚める(下)
諸葛亮は私が長く黙っているのを見て、その表情が幾度も変わるのを認めた——驚き、呆れ、そして言いようもない慈しみのようなものが浮かび、目に悪意はなく、慌てもせず、軽く眉を寄せた。
「此地は北伐の本営、戒備厳重なり。そなた、一介の布衣、来歴明らかならず、我が臥榻の脇で気を失って卧すとは、まさか魏陣から遣わされた間者か?」
間者。
私は翻騰から引き戻された。首を横に振り、胸腔の内の翻江倒海を押し下げ、諸葛亮の眼底をまっすぐに見つめ、一字一句:
「丞相、私は間者ではありません。」
「私は千年の後から来ました。丞相の命数が尽きんとすることを知り、五丈原の秋風に星が墜つることを知り、北伐がついに絵餅に終わることを知り、さらに知っている——蜀漢のその後、降魏して亡ぶと。」
語り落とさぬうちに。
倦色重かった諸葛亮が、ふと目を上げた。
病気の気に曇っていたその両眼が、俄かに抜剣の如く鋭くなった。
天幕の内の気圧が一つ沈み、病弱はすっかり褪せ、残ったのは十余年军政を執った鉄血の威厳だけだ。
「妄言!」
一声、高からぬながらも天幕の壁を震わせるかと揺るがせ、「妖言をもって軍心を惑わす!」
天幕の外の親兵が声に動いた。
鏘——
利刃が鞘を抜け、二つの甲冑の影が帳前に迫り、刀の刃が私の喉元を指した。
諸葛亮の一言があれば、私は即座に身首二つになる。
しかし私は動かず、また恐れもせず。
その私を見通そうとするような眼に、底にある極り深く、極り重いものを見つめた——天命に背けぬ無念、大業未だ成らぬへの不満。
私は深く息を吸い、字字が槌のように:
「丞相が私を斬るのは、手を挙げるより易いこと。」
「だが丞相、自ら問うてみよ——甘んじますか?」
「六出祁山、食少なく事煩わしく、半生の心血、ことごとく秋風に委ねることを?」
「先帝の三顧の恩、白帝の託孤の重、死ぬまで返せぬまま、先皇に、漢室に、申し訳なく思わぬと?」
「蜀中の百姓が流離し、漢家の旗印が人手に渡り、四百年の山河、再び中興のないことを、見ていられますか?」
一句、また一句。
字字が諸葛亮の心の最も柔らかく、最も触れられぬところを叩いた。
彼が扇を握る指が激しく震え、指節が白くなった。瘦せこけた顔が瞬時に血の気を失った。彼は必死に歯を食いしばり、喉元まで涌き上がった咳を硬く吞み込み、胸が激しく起伏するのに、目は私に釘付けだった。
天幕の内、死のような静寂。
ただ灯芯がぱちぱちと、外の風が過ぎるばかり。五丈原の夜空は低く人を圧し、星は冷たく白く、原野は暗闇の中に空漠と広がり、虫の声さえ絶えていた——大営全体が息を呑んだように、何か切実なものがゆっくりと冷めていくのを待っていた。
親兵は刀を構えたまま、息を殺していた。
久しく。
諸葛亮はゆっくりと手を挙げ、帳前に向けて虚しく押さえ、声は平静だが譲れぬ:
「退け。」
「丞相!」親兵は焦った。
「退け。」
もはや半分の転換の余地もない。
親兵は顔を見合わせ、ついに剣を鞘に収め、身を屈めて退き、帳簾が下りて外界を遮った。
帳の中、残ったは私二人のみ。
一つ古く、一つ今。一つ消えかけ、一つ命に逆らう。
諸葛亮は臥榻に凭れ、目を閉じて長く息を吸い、再び目を開けた時、鋭さはすっかり褪せ、骨の髄までの疲れと、一筋の極り淡く、極り微かな希いだけが残っていた。
彼は私を見つめ、風の中の一縷の残煙のように軽い声で:
「そなた……本当に後世から来たのか?」
「後世、如何に我を論ずるか知っているか?」
「知っているか……我がこの命、本当に——改め難いものか?」
その口調の中のもがき、憧れ、絶望が、熱く私の胸に迫った。
私は眼前の蜀漢のために一生を燃やした人を見つめ、その眼底の消えかけの星火を見つめ、懐の薬箱を軽く持ち上げ、深く一揖した。
「後世千年、お名を臥龍と称し、千秋仰ぎ奉り、敬せざる者なし。」
「だがお命は、天の定めではありません。」
「漢室の運も、また定数ではありません。」
私は顔を上げ、うす暗い灯りが私の眼底に落ち、一片の決然を映した。
私は薬箱を軽く叩き、一字一拍:
「来た。」
「この箱を抱えて。」
「お命を続けるために。」
帳の外、秋風はなお蕭としていた。
帳の内、灯の炎はなお跳ねていた。
だが千年を圧していた死の気は、すでに緩み始めていた。
五丈原の最後の一灯、まだ滅びていなかった。
諸葛亮は静かに私を見つめ、低く言った。「さほど帳外の親兵らの囁き、ことごとく聞こえた。満営が疑い、そなたを間者か野人かと言うばかり。」彼の眼底に一筋の極り淡い笑いが浮かんだ。「だが我が見たのははっきりしている——そなたの眼底には医者の慈しみがあり、手には脈息への熟練がある。満営の見た慌てと疑いは、そなたを身近く寄せた時、我がわざと見せた破綻に過ぎぬ。そなたらの来歴不明と思ったのは、まさにそなたらに見せたかったもの。そして我が本当に重んじたのは、この千秋の恨みを改めようとするそなたの胆识——この一着は、そなたが帳中で気を失っていたその刻より、我がすでに算え尽くしていた。」
私の心に一震。
なるほど、最初から、諸葛亮はすでに見抜いていたのだ。満営が私を疑い、惧れ、殺さんと欲し、ただ諸葛亮のみが、微かに人を見たのだ。
私は心を転じ、乗じて諸葛亮の手首を握り、人差し指と中指で橈骨動脈に当てて心拍を数えながら、朗らかにこの病の根由を一言で破った。「丞相の病、決して天命尽きんとするものにあらず。おんみは長年にわたる透支、気血の耗竭、心脈の衰えが極みに達している——長年の不眠、労神、力の消耗による心血管の虚弱です。我が薬箱の中身は後世の救命の物:強心、利水、律を穏やかに、内を養う、咳血を止め身を安定させるばかりか、今回の北伐を凌がせ、無事に成都へ帰還させられます。」
私の心底は極り明らかだ。薬石は血管を医せても、「心労」は医せぬ。この病の根は、臓腑にあるのではなく、肩に一国を乗せ、眼に天下を収めたところにある——昏睡の中でさえなお祁山の軍図を握りしめ、呼吸の中はすべて「漢賊両立せず」の沈鬱だ。私の続けるのは命、治すのは彼の卸そうとしない重荷だ。彼が一日でも手を放さねば、この身は一日でも全快しない。他人は神医妙手が春を回したと言うだろうが、真の薬引きは、彼自らがその荷を半分この足元の地に分けようとするか否かだと、知る由もない。
この一言、字字が現代の医家のみが持つ通透明澈だ。帳外のその刀を抜いた親兵はもと半信半疑だったが、この時帳布越しにはっきり聞き、思わず眼を見開いた——来歴の知れぬ野人が、丞相の沈痾を一目で看破し、随軍の老医官でさえ言い当てられぬ病巣を、私が二つ三つの言葉で清らかに指し示したのだ。満営がさきほどまで私を間者と疑い、野人と罵っていたのが、この時は揃って啞然とし、冷たい息を吸い込んだ。
帳の中、諸葛亮も微かに動容した。彼は長患いゆえ自ら知っており、この青年の言うことは、彼の暗裏の感じと分毫も違わなかった。「そなた……本当に医せるか」「医せる。」私は身の脇の薬箱を軽く叩き、アルミの冷たい光が一閃、「これを持っていれば、丞相の命を続けられよう。」
帳簾の外、さきほど刀を抜いて向かった親兵は手を垂れて侍り、帳中の一挙一動をはっきり聞いていた。諸葛亮が彼に退けと令じた時、彼はもと満身の不服だった——丞相は何ゆえ来歴の知れぬ野人を庇うのか? だがこの時、帳布越しに、彼は丞相のその「丞相の命を続けられよう」という一言を聞き、さきほどの私が脈を探った時の沈着、天命を語った時の決然を思い出し、胸のその一点の疑忌が、いつしか嘆服に変わっていくのだった。
彼は黙って剣を鞘に収め、帳中の私のその青衫の影に向けて、極り軽く一揖した。
諸葛亮は私を見つめ、その眼底の消えかけの星火が微かに一つ明るくなり、ふと問う。「そなた、千年の後から来たと言うが、我がまだ知らぬ——そなたの本名は何と申す?」
私は一瞬呆けた。千年の後で呼び慣れた本名が、この時口をついても、幾分か生臭かった。「それがしの本名は小林弘正と申す。」
「小林……弘正。」諸葛亮は軽く一遍復唱し、ゆっくり頷いた、「良い名だ。我が門に入れば、身内だ。なれば、これよりそなたを弘正と呼ぼう。」
彼は言葉を休め、眼底に一筋の極り淡い笑いを浮かべた。「弘正。この世の道は昏く沈んでいる、正に人を要す、天下のために一份の正道を弘めんとする者を。」
「弘正……」私は低く一遍復唱し、胸の内ふと一つ熱くなった。千年の前、死なんとする名相が、かくも郑重に、私の名を、二遍も呼んでくれたとは。
この一度、歴史の筆は、私が薬箱を抱えてこの軍帳に踏み入ったこの刻より——
書き改められる。
私は司馬懿が今この時、何を考えているかをよく知っている。
魏の陣の中、彼が間者の密報を受け取ったその刻、指節が力ゆえに白くなった——緊張ではなく、歓びだ。
密報には記されていた。孔明病重く、血を吐き止まず、食少なく事煩わしく、すでに軍務を理し難しと。
「天、我に助く!」私には彼が机を一拍し、笑って目尻まで皺が寄る姿が見えるようだ、「孔明、この有様、今秋は凌えまい。戦わずして勝つとは、なんと我が司馬仲達の手に落ちようとは! 天命は魏に在り、この戦わざる定まるの功、すなわち我が仲達平生素晴らしき一局!」
彼は即刻書をしたため、間者に昼夜蜀営の動静を死んだように見張らせ、孔明が息を引き取るや否や、すぐに本営へ飛報させ、大軍を立てて掩殺させた。
帳中の諸将は山のように「大将軍神機」と呼ばわり、彼はただ五丈原の方角を望み、すでに蜀漢北伐の大軍が土崩瓦解するのを見ているかのようだった。
彼がどうして狂喜せぬことがあろう? 百日の死守、ついにこの臥龍を熬ぎ殺したのだ——彼は正にそう思っていた。
ただ彼は知らぬ、蜀営の中に、ひそかに一人増えており、彼のこの美夢を、生きながら引き裂こうとしている。その人こそ、私だ。
帳簾が下り、粗麻の重みが外の風の音、蹄の音、甲の軽く触れ合う鋭い音を隔てた。広大な丞相の軍帳の中、ひと時はただ二人の浅い呼吸と、銅灯の灯芯が時折弾く一星の軽い音だけだった。




