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五丈原にて諸葛亮を救い、その義子となる  作者: ほしかわ さとる
1/45

五丈原で目覚める(上)

私は鈍い痛みに促されて目を覚ました。

余震ではない。鉄筋が肋骨に食い込む音でもない。頭の中に焼けた砂を詰め込まれたような、一粒一粒がこめかみを削る痛み。うめき声を漏らし、重い瞼を開こうとしたが、細い隙間をこじ開けるのにずいぶん時間がかかった。

最初に見えたのは空ではなかった。天幕の裏地だった。

粗く織った麻布は洗い古されて灰白色になり、縁がほつれている。柱に掛けた鉄灯が豆粒ほどの炎を揺らし、人影を歪めて長く伸ばしていた。空気には二つの匂いが絡み合う。鼻を刺す強い薬の匂い。当帰に草の青臭さが混じる。もう一つは天幕の隙間から忍び込む、秋風に乗った野営地の土と馬糞の匂い。乾いて冷たく、鼻の奥を刺す。

天幕の隙間の外、五丈原の夜は濃く黒い。風が枯草を渡り、ざわざわと鳴る。暗がりで誰かが刃の背で地面を削り続けているようだ。遠く渭水の向こう、魏陣の冷たい白い灯が幾つか浮かぶ。濁った波の腥さに黄土の乾いた冷たさが混じり、隙間から骨の髄まで沁みてくる。

ぼんやりと眼球だけを動かした。

身の下は担架でも、崩れたコンクリートの床でもない。硬い木の板に薄い布団が一枚。背中が痛いほど当たる。掛け布団は粗布で、白っぽく、紙やすりのように硬い。

ここは……おかしい。

だが、手に握っているものだけは、懐かしいほど見覚えがあった。

うつむくと、胸に抱いた一つの箱が見える。アルミの外枠は磨り減って光り、角にはいくつもへこみがある。表面にはマーカーで乱雑に書かれた薄れた文字。かつて海外で医療に従事していた頃、何気なく残した印だ。

私の薬箱だ。

成都近くのあの夜、倒壊した寮から三人目の子供を引き出した時、胸に抱えていたのはこの箱だった。

記憶が一気に甦る。昨夜――まだ昨夜と呼べるなら――成都近くの中学校の廃墟は煙を上げ、私は中国の救助隊に混じって中へ入り、懐中電灯を口に咥え、薬箱を肘に掛けていた。一人の少女がプレハブの下敷きになり、私は割れたガラスの上に膝をついて止血し、下手な中国語で必死に叫んでいた。「寝ちゃダメ! お姉さんがすぐ行くから!」……その後、鈍い音がして、暗闇。

故郷の姿が、この暗闇でかえって鮮やかになる。九州南部の海辺の小さな町。父の書斎にはいつも一冊の『三国志』が開かれていて、「この人たちを読めば、乱世の人の心が読める」と言っていた。私が医学を学んだのは、もともとこの刀光剣影から少しでも離れたかったからだ。まさか地球の半分を回って、最後に最も深い乱世へ真っ逆さまに落ちるとは。

どうして目を開けた瞬間、ここにいるのか。

私は司馬懿が今この時、何を考えているかをよく知っている。

渭水の対岸、魏陣の本営。彼は軍図の前に立ち、届いたばかりの密報に指先を当てている。そこには八字だけ――孔明、血を吐き、食少なく事煩わし。口元が抑えきれずに上がり、低く笑う。丸一秋分蓄えた快哉が、その笑みの奥にある。「百日の死守、果たして効を奏した。孔明、命は風前の灯火、必ず死す。蜀軍は主心の柱を失い、戦わずして崩れる。天、我に味方す。」

彼はすでに令を下していた。兵を動かさず、蜀陣を死んだように見張り、孔明が息を引き取るのを待つ。それこそが大軍で掩殺する時だと。彼は疑いなく信じ切っている。この一局、勝ちを得たと。

だが彼は知らない。この夜、私が来たことを。

「そなたは何者だ。なぜ我が薬帳の中で気を失って臥している?」

天幕の中に声が響いた。低く、沈み、抑えきれない疲れを帯びながらも、どっしりと。

全身がびくりとした。

この声は聞いたことがある。教室のスライドの中で。成都の武侯祠の額の下で。あらゆる講史音声の冒頭で。温かさの中に威が宿り、静けさの底に憂いが沈み、虎符を握り千軍を指した者だけが持つ底力だ。

私は苦労して首を横に向けた。

灯りの落ちる中、一人の男が寝台の脇に座っていた。素色の葛の袍は古びて襟がほつれているが、洗い張りは整っている。体つきは痩せこけて異常に細く、明らかに長患いで食が細い。顎の下の三本の長い鬚は一本も乱れていない。眉と目の間には烽煙に慣れきった後の静けさがあるが、その両眼は――

明るく、しかし消えかけた翳に覆われている。

諸葛亮。

この三字が私の脳裏に叩き込まれた。

蜀漢の丞相、武郷侯。先帝の三顧を受け、白帝の託孤を負い、鞠躬尽瘁したあの諸葛孔明。生きて、私の三歩先に座っている。

薄暗い灯りの下、彼は静かに私をうかがっていた。一方の頭巾を結い、洗い古した青衫を着て、眉目は朗らかで、臥病の狼狽はあるものの、それでも幾分かの風流倜儻とした清俊の気を隠しきれない。どこか読書の先生のようで、陣中の者たちの粗野さとは違っていた。

私の呼吸が止まった。私は医学を読み、また歴史を読んだ。建興十二年、五丈原、秋風一度起これば、星墜つことを知っている。それは私という日本人留学生が、三国を開くたびに避けて通れない一つの嘆きだった。

無意識に脈を探りにいった。左手はまだ薬箱を握り、右手の人差し指と中指はすでに彼の手首の橈骨動脈に触れていた。

指の下の脈は細く速く、律は乱れて章法なく、強かったり弱かったり。明らかに心脈が乱れ打ち、気血が脱け去ろうとする徴だ。

私のものではない。寝台の上のその人から伝わってくる。

私ははっとして、いつしか身を乗り出していたことに気づいた。指の下に当たっているのが、なんと諸葛亮の橈骨動脈だと知った。しかも諸葛亮は避けようともせず、ただ微かに目を垂れて私を一瞥しただけで、目には怒りはなく、ただ極度に疲れ果てた疑いが一筋あるだけだった。

この一触れで、私はふと何かを悟った。

私は勢いよく薬箱の蓋を跳ね開けた。

アルミの枠が弾け、内側のウレタンにはめ込まれた薬瓶と消耗品が並ぶ。ニトログリセリン錠、プレフィルド式アドレナリン・ペン、強心注射剤、留置針と輸液チューブ、無菌ガーゼと包帯、さらに数本の鉄剤と栄養補助剤、数本の注射用広域抗生物質……皆、私が四川の最前線で奔走して蓄えた持ち物だ。灯りに当たると、ガラス瓶が冷たく鋭い光を反射した。

私の手が微かに震えた。

八年の修練が告げる。この細く数えるような脈、この息切れで臥せない姿、この血の糸を引く咳――何かの運命が尽きようとしているのではない。心脈が衰え、気血が両虚の極みに達し、体が一身の重荷に耐えかねているのだ。

だが私はまた知っている。薬箱の中のその一本の強心剤が、この人の灯りをまず安定させられることを。ただこの箱は仙丹ではない。急を救うもので、本を救うものではない。強心続命の剤は一息を繋ぎ止められても、長年の透支で欠いた体を満たすことはできない。抗菌についても、箱の中に押し込んであるのは数本の注射用抗生物質だけで、災地で創口の感染を防ぐために蓄えたものだ。来る時にはもうわずかしかなく、一太刀の深手、一縷の穢気が、いつでも命を奪いかねない。中の瓶々は、私が四川の最前線で奔走して蓄えた持ち物で、一本使えば一本減る。一時を凌ぐには足りても、一世を支えるには足りない。真にこの人の運命を書き改めるのに頼るべきは、決して薬ではなく、彼に一国を己が肩に乗せ続けさせないことだ。

他人が私が千年後の来訪者だと知れば、史書を握り、勝ちを確信しているに違いないと言うだろう。時を超えた者が歴史の予知を借りて乾坤を逆転させるのは、もともと最も痛快な俗なお決まりの芝居だ。だが私は誰よりもよく知っている。予知こそ、最も当てにならぬ頼みだ。史冊が記すのは誰が勝ち誰が敗けたかだけで、関中の夜雨も、軍中の疫病も、人の心の揺らぎも記さない。私にできるのは、決して本をなぞって結末を読み上げることではなく、この身の後世の医道をもって、傍観者として清き頭で、彼らに一線の生機をもう一つ勝ち取ってやることだ。医は命を続けられても、運を改められない。真の勝算は、謀にあり、薬にあらず。ましてや「我、結末を知る」という妄りにもない。この夜、私はまず己に一線を引いた。天書に倚りかからず、ただ手の中のこの箱の薬と、脳中のこの一局の碁のみに。

時を超えた? 薬箱も一緒に来た? 私ごとき留学生が、どうして千古の名相を救えようか?

脳裏にふと母国の言葉が浮かんだ――「やってみなきゃ、わからない」。それは父がいつも口にした言葉だった。やってみなければ、どうしてわかろう。よし、来た以上は、やってみるか。

歴史の軌跡は、まさに古い道を辿っている。そして寝台の上のその人は、すでに油尽き灯枯れんとする涯にある。

天幕の外、秋風がふと一層強くなった。原の草はまた半寸枯れ、風の中で柔らかく倒伏し、何かに最後の息を吸い尽くされたようだ。

諸葛亮は軽く二つ咳き、袖を上げて唇を掩った。一つの重い咳の後、私にはっきり見えた。その袖口の内側に滲み出た一筋の目を刺すような紅。

ただ一瞬、何事もなかったように掩われた。

だがその紅が、針のように私の眼底に刺さった。

私はこれが何を意味するかをあまりに知っている。この年の秋、五丈原、星隕つ。その後姜維孤影、後主魏に降り、四百年の漢の祚、二世にして亡ぶ。

「師未だ捷せずして身先ず死し、長く英雄をして襟を涙に沾らしむ。」

私が武侯祠で暗誦した詩が、今は眼前の人の危篤の姿となり、重々しく圧し掛かってきた。

天幕の外、二人の当直親兵が声を潜め、天幕の布越しにささやいていた。

「寝台のあの奴はどこから来た? 丞相の薬帳の中で気を失って臥して、面も見知らぬようだが、まさか魏陣から遣わされた間者か?」

「あの青衫頭巾の身なりを見よ、我が軍の者らしからず。丞相、よくも彼を身近く寄せ、脈まで探らせた……もしや野人か、奸細か、これはどうしたことだ?」

「しっ、小声に! はっきり言って、来歴の知れぬ他所者を、丞相が信用するとは」

二人は顔を見合わせ、ともに疑念に満ちていた。陣中にはすでにこっそりと広まっていた。丞相の寝台の脇に、来歴の知れぬ野人が一人増えたと。夜回りの親兵から炊事の者に至るまで、一夜の密語が絶えず、皆、丞相は病に心乱れてか、見知らぬ他所者を寝台の脇に置くとは、もしや本当に間者なら、全軍がろくでもない目に遭うと言っていた。

私が目を覚ましたのは、鈍い痛みに突き動かされてだった。

余震でもなければ、鉄筋が肋骨にめり込む鈍い音でもない。頭の中が、焼けた砂を詰め込まれたように、一粒一粒がこめかみを

私の薬箱だ。

成都近くのあの夜、倒壊した寮の建物から三番目の子供を引きずり出した時、胸に抱えていたのはこの箱だった。

記憶が一気に湧き上がった。昨夜——もしそれをまだ昨夜と呼べるなら——成都近くの中学校の廃墟はまだ煙を上げていて、私は中国の隊の者に混じって中へと潜り込み、懐中電灯を口に咥え、薬箱を肘にかけていた。一人の少女がプレハブの下に押し潰され、私は割れたガラスの上に跪いて止血し、下手なながら必死に明瞭な中国語で叫んでいた。「寝ちゃダメ! お姉さんすぐ行くから!」……それから? それから鈍い音がして、暗闇。

故郷の姿が、この暗闇の中でかえって鮮明になった——九州南部の海辺の小さな街、父の書斎にはいつも一冊の『三国志』が広げられていて、「この人たちを読み解けば、乱世の人の心が読み解ける」と言っていた。私が医を学んだのは、もともとこれらの刀光剣影から少しでも遠ざかりたかったからだ。まさか地球半ばを回って、最後には最も深い乱世に真っ逆さまに突っ込むことになろうとは。

どうして目を開けた瞬間、ここにいるというのだ?

私は司馬懿が今この時、何を考えているかをよく知っている。

渭水の対岸、魏の陣の本営。彼は軍図の前に立ち、届いたばかりの密報に指先を当てている——そこには八字だけが記されていた。孔明、血を吐き、食少しく事煩わし。口元が抑えきれずに上がり、低く笑い、丸一秋分蓄えた快哉が笑みの奥にある。「百日の死守、果たして効を奏した。孔明、命風前の灯火、必ず死す。蜀軍、主心の柱を失い、戦わずして崩れよう——天、我に助く。」

彼はすでに令を下していた。引き続き兵を動かさず、蜀の陣を死んだように見張り、孔明が息を引き取るのを待つのみ、それこそが大軍掩殺の時だと。彼は疑いなく信じ切っている。この一局、勝ちを得たと。

だが彼は知らない、この夜、私が来たことを。

「そなたは何者だ? どうして我が薬幕(やくまく)の中で気を失って卧している?」

天幕の中に声が響いた。低く、沈み、抑えきれない疲れを帯びながらも、どっしりと。

全身がびくりとした。

この声は聞いたことがある。教室のスライドの中で、成都の武侯祠の額の下で、あらゆる講史オーディオの冒頭で。温かに包まれた中に威がこもり、静けさの底に憂いが圧し、虎符を握り千軍を指した者だけが持つ底力だ。

私は苦労して首を横に向けた。

灯りの落ちる中、一人の男が臥榻の脇に座っていた。素色の葛の袍、古びて襟がほつれているが、洗い張りは整っている。体つきは瘦せこけて異常に細く、明らかに長患いで食が細い。顎の下の三本の長い鬚、一本も乱れていない。眉と目の間には烽煙に慣れきった後の静けさがあるが、その両眼は——

明るい、しかし消えかけた翳に覆われている。

諸葛亮。

この三字が私の脳裏に叩き込まれた。

蜀漢の丞相、武郷侯、先帝の三顧を受け、白帝の託孤を負い、鞠基尽瘁したあの諸葛孔明。生きて、私の三歩先に座っている。

うす暗い灯りの下、彼は静かに私をうかがっていた——一方の巾を結い、洗い古した青衫を着て、眉目は朗らかで、卧病狼狽してはいるものの、それでも幾分かの風流倜儻とした清俊の気を掩いきれず、どこか読書の先生のようで、陣中の者らの粗野さとは違っていた。

私の呼吸が止まった。私は医を読み、また史を読み、建興十二年、五丈原、秋風一度起これば、星墜つことを知っている。それは私という日本の留学生が、三国を開くたびに避けて通れない一つの嘆きだった。

無意識に脈を探りにいった——左手はまだ薬箱を握りしめ、右手の人差し指と中指はすでに彼の手首の橈骨動脈に触れていた——

指の下の脈打ちは細く速く、律は乱れて章法なく、強かったり弱かったり、明らかに心脈が乱れ打ち、気血が脱け去らんとする徴だ。

私のものではない。臥榻の上のその人から伝わってくるのだ。

私ははっとして、いつしか身を乗り出していたことに気づき、指の下に当たっているのがなんと諸葛亮の橈骨動脈だと知った。しかも諸葛亮は避けようともせず、ただ微かに目を垂れて私を一瞥しただけで、目には怒りはなく、ただ極り疲れ果てた疑いが一筋あるだけだった。

この一触れで、私はふと何かを悟った。

私は勢いよく薬箱の蓋を跳ね開けた。

アルミの枠が弾け、内側のウレタンに一列に卡められた薬瓶と消耗品:ニトログリセリン錠、プレフィルド式アドレナリン・ペン、強心注射剤、留置針と輸液チューブ、無菌ガーゼと包帯、さらに幾本かの鉄剤と栄養補助剤、それに数本の注射用広域抗生物質……皆、私が四川の最前線現場を奔走して蓄えた持ち物だ。灯りが当たると、ガラス瓶が冷たく鋭い光を反射した。

私の手が微かに震えた。

八年の修練が告げる。この細く数えるような脈、この息切れで臥せない姿、この血の糸を引く咳——何かの運命尽きんとするのではなく、心脈が衰え、気血が両虚に達した極み、体が一身の重荷に耐えかねているのだ。

だが私はまた知っている、薬箱の中のその一本の強心剤が、この人の灯りをまずは安定させられることを。ただこの箱は仙丹ではない——急を救うもので本を救うものではない。強心続命の剤は一息を繋ぎ止められても、長年の透支で欠いた体を満たすことはできない。抗菌については——箱の中に押し込んであるのは数本の注射用抗生物質だけで、災地で創口の感染を防ぐために蓄えたもの、来る時にはもうわずかしかなく、一太刀の深手、一縷の穢気、いつでも命を奪いかねない。中の瓶々は、私が四川の最前線現場を奔走して蓄えた持ち物、一本使えば一本減るもので、一時を凌ぐには足りても、一世を支えるには足りない。真にこの人の運命を書き改めるのに頼るべきは、決して薬ではなく、彼に一国を己が肩に乗せ続けさせないことだ。

他人が私が千年後の来訪者だと知れば、史書を握り、勝ちを確信しているに違いないと言うだろう——穿越者が歴史の予知を借りて乾坤を逆転させるのは、もともと最も痛快な俗なお決まりの芝居だ。だが私は誰よりもよく知っている。予知こそ、最も当てにならぬ頼みだ。史冊が記すのは誰が勝ち誰が敗けたかだけで、関中の夜雨も、軍中の疫病も、人の心の揺らぎも記さない。私にできるのは、決して本をなぞって結末を読み上げることではなく、この身の後世の医道をもって、傍観者として清き頭で、彼らに一線の生機をもう一つ勝ち取ってやることだ。医は命を続けられても、運を改められず。真の勝算は、謀にあり、薬にあらず、ましてや「我、結末を知る」という妄りにもない。この夜、私はまず己に一線を引いた。天書に倚りかからず、ただ手の中のこの箱の薬と、脳中のこの一局の碁のみに。

穿越? 薬箱も一緒に来た? 私ごとき留学生が、どうして千古の名相を救えようか?

脳裏にふと母国の言葉が浮かんだ——「やってみなきゃ、わからない」。それは父がいつも口にした言葉だった。やってみなければ、どうしてわかろう。よし、来た以上は、やってみるか。

歴史の軌跡は、まさに古い道を辿っている。そして臥榻の上のその人は、すでに油尽き灯枯れんとする涯にある。

天幕の外、秋風がふと一層強くなった。原の草はまた半寸枯れ、風の中で柔らかく倒伏し、何かに最後の息を吸い尽くされたようだ。

諸葛亮は軽く二つ咳き、袖を上げて唇を掩った。一つの重い咳の後、私にはっきり見えた、その袖口の内側に滲み出た一筋の目を刺すような紅。

ただ一瞬、何事もなかったように掩われた。

一筋の目を刺すような紅、針のように私の眼底に刺さった。

私はこれが何を意味するかをあまりに知っている。この年の秋、五丈原、星隕つ。その後姜維孤影、後主魏に降り、

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