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出兵


 教会に報告した後、直ぐ様、教会から呼び出しを食らい枢機卿の所に、エルシアとユングが向かった。ヴァルドは、重症のためしばらく医務室で居残りを食らった。しかし、正直に言うとユング達は驚きに包まれていた。何故なら呼び出しがその日の内に行われたからである。確かに緊急事態といえど相手は動かない魔物、そんな相手に此処までの警戒心を持っていることに彼らは衝撃を覚えた。

「今回のアンデットの討伐、我が協会が請け負おう。」


 勇者パーティーメンバーは、枢機卿のその言葉に言葉を失い憤慨した


 「あの故郷は、エルシアの故郷です。私達は、魔王を討伐したのですよ!どうして取り戻すのに私達を使わないのですか!ヨルナが死んでいるのですよ!」


 勇者ユングは、恩人である枢機卿相手にも関わらず怒声を上げる。エルシアは奥歯を噛み締た。その態度に枢機卿は青筋を立てて、


 「結局、負けたではないか!しかも惨敗、今、魔王という恐怖が消えて民が有頂天となっている間に度重なる重税を誤魔化さなければいけないのに、もうすでにパーティーのメンバーの一人は死んで、タンクも重体、お陰で極秘輸送しても尚、民は情報を知り大混乱だ。貴様らを向かわせられるか!」


 「条件とは」


 エルシアは、奥歯を再び噛みしめる。何故なら知ってえいるからです。勇者パーティーを送れば、またそれほどの脅威が残っているのだと民は震え、負ければ恐怖すらしてしまう。そして、その原因が聖女エルシアの養父のヴィルゲートであれば、教会の信頼はガタ落ちだ。そのリスクを取ってしまうほどの条件、きっと厳しいものなんでしょう。それでも、故郷を失ったこの空虚な気持ちを埋めたい。


 「条件とは、勇者ユングとエルシアお前が結婚することだ。」


 「「へ?」」


 「理由は単純だ、お前らが実を結べばコチラは君等を抱え込みやすくなる。そして、一応言っておくがヴィルゲート生かす選択肢は無い。アイツは一線を越えた。」


 無表情なまま淡々と伝えられる事実。一瞬、パーティー全員が混乱したが、エルシアはすぐにその後の言葉で正気に戻る。


 折角、これからも会えると思ったのに、、、、、、、、、、、、、、、、、、


 だけど、理屈はわかった。

 「了解しました。」


 「俺の意思は考慮されないの?」

 ユングは、頬をかきながらエルシアを見る。


 「私が嫌なの?」

 そう言うと、ユングは直ぐ様、頬を赤くして反対側に顔を向ける。


 「では良いということかな?」


 「「はい」」


 「兵力は大体2万でいいだろう。」


 「「二万!!」」

 その言葉に、驚き。


 「因みに、私も行く。」


 その言葉が一番驚きだった。

























 「開門!!!!!!!!!!!!!」


 ラッパとともに二万もの徴兵され得た民兵や騎士が進軍する。

 本来なら、魔王が討伐されたのにと士気が下がるのだが、勇者一行のおかげか、兵士の顔は皆明るかった。


 「この量の徴兵、一体全体どうするんだろうな?」


 「知らん!」


 そう、此処の民兵は行き先が聖女の故郷とも知らない。道や方角を見れば分かるのではって?それは、無理だ。農民は皆王都周辺で徴兵されている。村にとっては川を跨げば異国だ。聖女の生まれ故郷の方角は詳しければ知っているかもしれないが、基本王都近くの農民は村を出るのは、襲撃された時、村で孤立して冒険者の道を選んだ時、王都に出稼ぎに行く時だ。そんな農民が、聖女の生まれ故郷というド田舎、しかも魔王領を訪れることはない。地図も、非常に高価な品物である、なおかつ戦略的兵器だ。貴族連中が平民に渡すことはまず無い。幸い、エルシアの故郷の近くにヨルナの遠縁の貴族が居たお陰で支援はしてくれるようだ。

 昔、仲が悪かった故、この支援でしがみつこうとしているらしい。如何にも、男爵風情がしそうなことだ。相手は、ヨルナが死んでいるとは知らんらしい。好都合だ。


 しかし、後で支援物資を切られるのは困るので、兵站の管理はしっかりしている。


 「到着までどれくらいか?」

 枢機卿が呟く、


 「はっ、斥候によると後2日はかかると、」


 「わかった。エルシアを呼べ。」



 男は手を強く握りしめる。

























 「何ですか、私を天幕に呼び出して、こんな夜中に、、あまり褒められたことでは有りませんよ。」


 「ああ、そうだな。しかし、君だけには伝えたほうが良い真実があると思って、アイツは、言わずに死ぬことに成りそうだからね。」


 エルシアは更に不機嫌になる。

 「アイツとは、ヴィルゲートのことですか?何か馴れ馴れしすぎませんかヴィルゲートと枢機卿は、知人同士ですら無いですよね。」

 強く睨む。


 「ああ、そうだな。ヴィルゲートと私は、知人でも、友人でも、親友でもない。しかし、187のことなら良く知っている。」


 「何ですかその番号?」

 エルシアが睨む。


 「しゃべりすぎたようだ、端的に言おう。ズヴェズダー・ヴィルゲート、それが君の養父の本当の名前だ。」


 「いえ、ヴィルゲートが・・・」


 「それは、家名だ。」


 「それでは何処の家名だ。」

 エルシアが怒鳴る。鬼のような形相だ。しかし、一言で黙る。


 「ヴィソーカヤ・ヴィルゲート、それが、私の名前だ。アイツとは同じ孤児院からの付き合いだ。私は、お前がアイツの本当の名前を知らずにいるのは余りにも惨めに見えた...それだけだ。因みに、云わずもがなだろうが、他言無用だ。」


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