懐かしき同期よ
「懐かしいな」
男は、勇者パーティーから送られてきた報告書を見て言葉をこぼす。歳は20代後半、生まれは教会の孤児、しかし、今では枢機卿の地位までにも登り着いた傑物。平民であり貴族のいざこざから助けた事から勇者パーティーのメンバーやその本人と良好な関係を築けている。なので、平民出身というどこの派閥に属していなくとも、己で、平民中心で派閥を作り上げた故、平民から絶大の信頼を置かれており、他の枢機卿より強い権力を有している。そんな彼だからこそ、今後とも勇者パーティーとは良い関係を続けていきたい故、彼本人が勇者からの報告書を確認するようにしている。
その報告書に書いてあるのは、ヴィルゲートつまり聖女の育ての親が、アンデット化してしまったという報告であった。本来出会ったら、聖女の気持ちを汲んで悲しむなり、同情するなりしたが、
「はあっはあはっハハはハハh」
出てきたのは、思わぬ友人との再会に対する笑いだった。
この枢機卿も、ヴィルゲートも同じ孤児院出身であった。
しかし、魔王の誕生で教会はとある孤児院で強力な駒を作るための実験をした。それが、彼らのいた孤児院だった。私達は名前がなく、ヴィルゲートは187、私は、227だった。
「今でも覚えている。あの飯をともにした仲間同士で、裏切りあい、殺し合い、蹴落とし合う毎日。毎日、毎日、訓練と称しての実践。毎日が死と隣り合わせだった。」
その中でも、187と227は不動の1位と2位だった。
常にヴィルゲートは1位、私は2位だった。
毎日自分は必死だと言うのに、透かした顔で毎日を暮らしていたのが許せなかった。しかし、それは私の勘違いだった。
それは、暗殺部隊として敵四天王バラロイの暗殺のときだった。
敵が敵だ。
教会は、孤児院の人員を総出で暗殺に取り掛からせた。
ある者は、奴隷に扮して、
ある者は、死体の下で紛れて、
ある者は、魔族の皮を剥ぎ取り被って、
暗殺を試みた。
結果、暗殺は成功した。
バラロイは、毒を盛られ衰弱し判断が鈍ったところで、家族を眼の前で一人ずつ殺すことで、心も折った。最終的に、涙を流しながら腹を切って、自殺を選んだ。
今でも、標的の目を覚えている。
一切揺らぎのない純粋な目でひたすら、死してなお目そらずにコチラを見ていた。
結局、四天王は唯で死んだわけではなかった。
暗殺を試みた暗殺者全員に強力な暗示が掛けられていた。
暗示は至極単純なものであり、この作戦の関係者を見かけると無差別に殺す殺人鬼になるものだった。
私も、彼も同期全員が、殺し合い、中央の協会関係者も悉く殺された。
その中で、意識を取り戻したのは私達二人のみだった。
私達が、気が付いたときは満月の夜、帝都を燃やす光りに照らされる、安い布一枚の服が肌が真っ赤っかに染まったお互いの姿。しかし、すぐに状況を眼の前にいる計画の首謀者、教皇の死体を見たことで理解する。
【自由だ!!】
それを理解し、お互いの顔を見た時、187の涙を流す姿を初めてみた。その時、理解した。コイツは、俺と同じでやはり苦しかったのだなと。
初めてアイツと共感をしたときだった。
「お前はどうする。」
187が自分に話しかけた。その時私は、
「俺か、せっかく自由になれたんだ。これからも誰にも縛られ無いように天辺、教皇になってやる。」
「そんなら、コレをうまく隠さないとな」
187が茶化す、
「そんならお前はどうするんだよ。」
「田舎で静かに過ごすとするよ。多分、もう一生には十分すぎるほどの苦しみを味わったから・・・・」
「そうだな。そういえば、お前、名前どうする。」
「俺か?ズヴェズダー・ヴィルゲートとでも名乗ろうか、それでお前はヴィソーカヤ・ヴィルゲートというのはどうだ。」
「お前は星で俺は崇高か、良いセンスじゃねか気に入った。しかし、お互い同じ地獄から這い上がった兄弟だ。バレるのも不味い。氏はお互い隠そう。」
「そうだな。」
まあ、実際は教団の神官がどれだけしがらみだらけかは、後になって知り、ズヴェズダーは言いづらいから、間違えて戸籍にヴィルゲートと書いたせいで、名前は一生御蔵入りに成ったんだが、、、
「お前は、自分の言ったことを実行したみたいだな。」
今度は私の番だ。
堕ちてしまった聖人の討伐。
これに成功すれば、今まで認めたくなかった者達も私を認めざるをえなくなる。
教皇の地位は決定的になるだろう。




