エルシア
彼女の想い人、彼は、教会最年少で司祭にまで上り詰めた天才だ。
そんな彼が何であんな田舎に居たのかは知らない。
けど、私は、あの人に救われた。
スラムの孤児でパン一切れを奪い合って、2日でパン一つぶん手に入れればマシな方で、夜、気を抜くと人身売買や変質者に連れ去られる可能性すら有りました。毎日が奪い合いで、幸せという言葉の意味すら理解ができなかった。
そんな中、
「お嬢さん、君はラッキーだね。僕の視界に入った。僕は、神官だ。神官は人の祈りを神様に届けて希望を授ける。君何か困ってること無い?」
いかにも怪しそうな神官格好の子供が私の前に来て手を差し伸べてきたのです。
その時は私も子供だったんですが、私は、「アホか、コイツ」と思いました。誰も信じてないこのスラムでこんな少年の話を信じるはずがない。
だけど、何故かその時「家族が欲しい」と口に勝手に出してました。
そう言うと少年はゆっくりニッコリと笑って、
「君、名前は?」
「アッシュです…」
「その名前は、好き?」
「嫌い」
「そうか、じゃ、今日から君はエルシアだ。僕が名付け親に成ったから今日から僕と君は家族だ。」
その時、私はアッシュという卑しい名前から解放され、生活の安寧が約束されました。そして、そのまま、為すがまま、私は彼が担当する教会に連れ去られ毎日、快適な生活を過ごしました。
私は彼を警戒してましたが、彼は私に何もせず。ひたすら家族のように接してくれました。
そんなある日、
アッシュはどこだ!!
悪魔の声が聞こえました。私の実の父です。彼は、所謂、DVもちで母があの悪魔に殴られ死んでしまったのを今でも覚えています。そんな時、
「誰ですか貴方」
私の騎士様が来たのです。
彼は、そのまま男を一人で拘束して憲兵に明け渡しました。
多分、きっと此処で私は彼に惚れたのだと思います。
その後、私は聖女だと発覚して、彼は王都で何不自由なくマナーなどを私に教えた後で王都まで送ってくれました。
その御蔭で、平民出身という事で下見られることは無く、どちらかと言うと庶民なのにマナーがキッチリとしているとして尊敬すらされました。彼のお陰で、私の白い世界は、色に染まりました。楽しくない、生きるだけの地獄は、楽園と変化しました。
そして、彼には魔力が感じられない代わりに、王都の司祭に匹敵するほどの神気を漂わせてもなお、神気を抑えているように見えました。今考えると、もしかしたら異端審問官序列上位に匹敵するかもしれません。
まあ、それは言い過ぎかもしれませんが、、
取り敢えず、私は強かった彼の死亡の報告を受けた時、一瞬報告を理解することができませんでした。十日後に行った葬式で彼の死を実感し、一週間、部屋に籠もって、泣いて、泣いて、泣きまくって、もう、こんな世界どうかなっちゃえとも思いました。
だけど、私は、前に進むことにした。死ぬかもしれない魔王討伐の勇者パーティーに参加し、悲しんでいる人を手当たり次第、助けました。
だって、貴方は何時もそうだったから。
私は、多くの善行を積みました。だから、神様、一度だけ、一度だけでもいいからヴィルゲート、私の恩人に、合わせてください。
エルシアは、強く女神像の前で手を強く握る。しかし、返答はない。
「わかってましたよ。貴方は試練を与えますが、人の願いは叶えない。」
ヴィルゲート
貴方のお陰で私の人生は完璧に変わりました。しかし、私は何も返してない。
返したくても
彼はもう居ない、しかし、彼の記憶は私の中にある。
この記憶が、劣化していくのはもっと嫌だ。
だから、あの人との思い出の地を取り返す!!!!




