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報告会


 王都帰還から4日後、聖女の故郷へと向かわせた冒険者が帰還した。帰還した冒険者は皆、満身創痍であり、三人の内、一人しか戻ってこなかった。冒険者によると、街は殆ど傷もなく、逆に10年経つというのに一切、劣化が見られなく、そこを占拠する魔族もたった一体のアンデットと言う報告だった。見た目は、長身長で、神官の服装らしい。肌は、死人の肌を代表するように一切赤みの掛かってない白色であり、変な言語も話すと報告された。

 

 この報告は、聖女にとってとても空虚なものだった。

 『私の想い人が必死に守ろうとした街を占領したのに、たった一人の魔族しか守っていないの?』彼らは、その地になにか価値を感じたからじゃないの?


 まさか、私の生まれ地、聖地だから…そんな程度の理由で攻められたの。

 聖女エルシアはかつて無い憤りを感じていた。煩悩を捨て去らなければいけない神官とはもう言えないほど彼女の内面は憤りで満たされていた。

 

 すべての魔族が憎い。


 しかし、彼女の理性はそれは不可能と知っている。だから、必ず私のあの人のあの人との思い出の地だけは守り抜く!


 「なんだ、たった一匹か、こりゃ今回の旅は楽勝だな。」


 グッ

 「正直言って仮にも聖女の故郷なのにね。なんか拍子抜けだわ。」


 グッッ


 「二人とも、エルシアを虐めるな、いくら汽車すら見ることのないドドド田舎でも人の故郷を馬鹿にしちゃ駄目だ。億が一に温泉が見つかって人気観光地になって発展するかもしれないじゃないか!しかも、報告を聞くからに彼の地は魔族にも放棄されているみたいじゃないか、今が取り戻す絶好のチャンスだよ。」


 グハッッ

 そこまで言わなくても…

 エルシアの憤りはすでに吹き飛びライフはゼロになった。


 「あ〜、エルシアが死んだ。この勇者の人でなし!」


 「正直言って、私達よりユングのほうが百倍酷かったと思うわ」


 「そうかな〜」

 勇者が、頬を苦笑いしながら掻くと、エルシアは口を膨らまして

 「私の故郷は田舎じゃないです。ちゃんと水車とか最低限の設備が整ってます。」


 「そうかよがははははは」


 「むきーーーーーー!」

 ヴィントが大笑いしている裏でヨルナがエルシアの肩を叩き

 「落ち着いた」

 と一言いった。

 「    、、はい」

 エルシアは、仲間の助力で理性を取り戻せた。






 トントン


 「はい、何でしょう。」

 ユングが、ドアに近かったので開けると、眼の前にさっき帰ったはずの冒険者がいた。

 「えっと、何かまだ様ありますか?」


 「あの〜、そういえば死んでしまった同僚から聖女エルシアにどうしても言わなければいけない伝言があったのを思い出しましてね。本人曰く伝えるのが遅くなって済まないと言ってましたが、」


 「誰からですか、教えてください。」


 「えっと、伝言の主は、司祭ヴィルゲート、でんご」


 「ヴィルゲート、あの人の伝言があったんですか、何故もっと早く、、、」

 エルシアが冒険者の胸ぐらをつかみ鬼の形相で睨む。冒険者はそれに怯えながらも、


 「エルシア様が、住民が避難したときにはもう王都を出発していたからではないでしょうか?本人曰く、今回の任務で司祭様の骨と一緒に伝えようと思っていたらしいのですが、残念ながら御本人は死んでしまいました。」


 「はい、それは残念ですが、そろそろ伝言を‥「此処で待ってる。」え…」


 「此処で待ってる。」


 「それだけですか」


 「はい」

 エルシアは、冒険者の澄んだ真っ直ぐな目を見て即決した。


 「皆さん、今から行きましょう。」


 「何処に?」

 ヨルナが茶化す。


 「それは当然、私の生まれの地です。もう、彼を10年も待たせているので、そろそろ墓参りをするべきだと思います。」


 エルシアのその笑顔は、勇者パーティーが魔王討伐時に見たどの笑顔よりも輝いていた。

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