第34話:転移魔法を覚えたい。切実に。
なんとか今日中に書けました。
今日は終わりそうですが。
一応このダンジョンは基本階段で階層を行き来する。
どこかの城壁の中のような作りだったり、洞窟のようだったりといった階層とは違う、外みたいな景色が広がるところでは転移陣がある。この転移陣は一方通行で、上に行くのと下に行くのが今のところ各階層ごとにひとつずつだ。階層を移動するのにショートカットなどなく、もちろんエレベーターもない。ゲームのように途中から再開なんてできない。転移魔法を覚えたい。切実に。
まとめた情報をもとに色々なパーティがダンジョンに入っているが、階段や転移陣が移動しているという報告はないそうなので、とりあえず三十八階層までは道を覚えていれば帰れはするようだ。
一番上に登っているパーティは四十五階層にいるらしい。ヌフの中でも最大手のクラン『アルスラン』が最速攻略を目指しているそうで、主力メンバーがいちいち町に戻ることなく進めるようにサポートチームが存在している。ルークは『アルスラン』にも多少顔が利くようで、サポートチームのリーダーっぽい人からちょいちょい情報をもらってくる。
「四十三階にボスがいて、そいつの足元は光ってたそうだ。そんで四十四階は岩場のようになっているが高温の赤い海でかなり暑いらしい。ヴィントは行けそうか訊いてみたが、ここまで来れる馬なら平気だろうってさ。道幅は問題なさそうだ。」
「そうか。なら四十三まで行ってまた何かヒントみたいなものがあるかどうか確認して一旦帰るか。」
「「「「異議なし。」」」」
***
俺達は『アルスラン』のようにサポートチームがあるわけではないから、時々帰る必要がある。本当のところはアイテムボックスがあるからそのまま進めるのだが、あまりにも長期間滞在して全員がマジックバック持ちであることがばれると面倒だし、ギルドへの報告もあるし…ということで適当なところで切り上げている。
とりあえず四十三階層のボスを倒して、今は帰り道だ。それにしても。
「行きと帰りの道のりが…しんどい…。」
「アラタは体力ないからな。」
「そう言ってやるなディヒト。お前と比べたら大体の奴は体力がない。」
「フォンゾも最初はこんな感じでしたね~。ああ、懐かしい。」
「オスカーうるさい。」
「なぜデバフを!」
ぎゃーぎゃーと騒ぐ元気があるのがうらやましい。俺は十五階層までは自分で歩けたのだが、そこからはあきらめてヴィントに乗せてもらっている。正確に言うとヴィントに乗ったディヒトの前に乗せてもらっている状態だ。疲れすぎてもう見た目なんてどうでもいい。心地よい揺れと安定感抜群の背もたれ。最近は簡単なバリアを張れるようになったので、ヴィントに乗っている間はバリアを展開し続けるようにしている。
「っていうかオスカーが治癒師の割に体力あるのって、フォンゾがホイホイかけるデバフのせいなんじゃ…。」
「ええ…最近軽い鈍化が効かないなと思っていたけど、身体能力で何とかしてたってこと?うわキモ…。」
「ねえルーク、状態異常無効みたいなスキルってないの?」
「そういうのを持ってる人もいるけど…。」
「俺にそんな上等なものはない!」
笑いながら胸を張るんじゃないオスカー。ほんとなんでコイツ僧侶の資格とれたんだ。治癒魔法が得意だけど勉強する余裕がなかったから神殿に入って、なんかモテそうだったから治癒師の資格とったあと僧侶の資格も取ったって言ってたな。勉強のできるバカってコイツの事を言うんだろう。
「なるほど…!鍛錬にそんな裏技が…!」
エデルとディヒトはなぜいそいそとデバフをかけてもらいに行くんだ…脳筋野郎共め…。
ちょっと引いた顔で二人に鈍化をかけるフォンゾ。まって俺まだディヒトを背もたれに!
結果、俺まで余波でデバフをかけられた。ぎこちなく動く俺をアンデッドのようだと爆笑するルーク。ルークがあまりにも笑うので帰宅後の飯で復讐してやろうと固く誓った。
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ではまた来週土曜日に。




