表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法使いになった俺、ちょっと実家に帰りたい  作者: ぼっち飯


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/32

第30話:一撃必殺

順調に攻略を進めて登った三十八階層、不気味な雰囲気の墓場で俺たちはイビルトレントという木の魔物と対峙していた。根っこを使って普通に動くが移動速度自体はそんなに早くはない。早くないとはいっても他の魔物と比べた場合の話で、大人なら逃げ切れるギリギリくらいの早さではある。


怖いのはたくさんの枝による攻撃だ。すごい勢いで鞭のように繰り出される。当たったら骨が折れるだけでは済まないだろうなぁ。


火が弱点ということなので、少し開けた場所に誘導してから火魔法を打ち込むことにする。トレント系の魔物は何度か倒してきたけれど、イビルトレントは初めてなので俺は後方支援という名の見学だ。皆、連携が取れているから安心して勉強させてもらえる。一応他の魔物に警戒しつつ、フォンゾが魔法を放つタイミングを待つ。


火球(ファイヤボール)。」


いつもの、落ち着いたフォンゾの声と共に作られたテニスボールくらいの大きさの火の玉がイビルトレントの方へ真っすぐ飛んでいく。すごい速さで動き続ける枝に触れることなく、根元の少し上、大人二人で抱え込めるかどうかという大きな幹に着弾した瞬間―!


ドッッッ!!!


閃光に視界が白く染まり、派手な爆発音とほぼ同時に爆風に襲われる。足を踏ん張ろうとしたが全く意味はなく、吹っ飛ばされて何かにぶつかり、それを巻き込んでなす術もなくゴロゴロ転がった。


耳がキーンとしている。俺の鼓膜は無事だろうか。なんとか根性で立ち上がるが、頭がグラグラする。一体何が起きたんだ。

あ、ごめん。ぶつかったのルークだったか。なんかボロボロのルークが槍を杖代わりにヨロヨロと立ち上がる。


呆然とした表情のフォンゾと目が合う。一拍おいて防御壁(バリア)が消えた。先ほどまでイビルトレントが暴れまわっていた場所は陥没し、何かの焦げ跡が残っている。フォンゾが咄嗟に張ったと思われる防御壁(バリア)の範囲がどこだったかわかるほど左右の地面もえぐれていた。


「…!…、…!」


「…、…!」


だめだ、皆の声がよく聞こえない。試しに最近覚えた治療(ヒール)を自分にかけてみる。


「おい!皆無事か!クッソ、音が遠い!」


とりあえずルークも耳が駄目そうだったので治療(ヒール)


「助かった、アラタ。そっちは…さすがオスカー。」


あとのメンバーはオスカーが何とかしたようだ。俺とルーク以外はフォンゾの後ろに退避していたのでそこまでひどい様子ではなさそうだ。でも一体何が起きたんだ?ずっと見ていたけど何もおかしなところは無かったし。フォンゾなら何かわかるかな。そう思いフォンゾの方に顔を向けると、


…消し炭を背景に土下座するフォンゾという珍しいものが目に入った。


「ごめん、こんなに威力が出るとは思いませんでした…。」


「「「はあああああ???!!!」」」


叫ぶ先輩トリオの声にビックリしたが、間髪入れずに爆笑したディヒトの声につられて安心した俺も、笑い声が止まらなくなった。フォンゾもやらかすことがあるのか。


***


「なるほど、じゃあいつもの火球(ファイヤボール)よりも魔力を込めたらあんなことになった、と。ちなみにどれくらいだ?」


「…五倍です。」


「バカ野郎せめて二倍から試せ。」


フォンゾが怒られている。まあ普通に危なかったもんな。


「エデルエデル、これは良い酒の肴です。俺は一生うまい酒が飲めそうです。」


「…やめてやれ。」


なんかもう優しくされた方がツラいかもしれない。こんな大失敗は珍しいようだ。フォンゾがルークに敬語を使っている。あとディヒト、お前はいつまで笑ってるんだ。小学生か。ヴィントはおびえているかと思いきやそうでもない。馬って臆病なんじゃなかったのか、肝の座ったやつだな。


さて、そうこうしているうちにルークの説教は終わりを迎えたらしい。フォンゾはまだしょんぼりしている。ウケる。


「よし、まだ早いが今日はこの辺で少し戻って野営の準備。あれだけとんでもない威力になるのは強みだ。フォンゾ、せっかくだから下の階で火球(ファイヤボール)の練習をしてくれ。」


「あ、それなんだけど他の魔法にも今のやつって使えないのかな。」


皆がこちらを不思議そうに見る。


「大きさはそのままに、魔力量を増やして発動するってこと?」


「そうそう、さすがフォンゾ。そもそも最初は生活魔法の(ファイア)でやってたじゃん。他の属性の初級魔法でさっきみたいなことやってみたらどうなるのかなって。」


「面白そうだな、俺もあのドーン!をやってみたい。」


「うえ…ディヒトはなんか危なそうだな。まあこの下ならほぼ草原だし、他のパーティを巻き込まずに練習できそうだな。せっかくだから全員で検証してみるか。」


全員異議なし!ということで、俺達は道を引き返して爽やかな草原・三十七階層へ足早に戻る。上を目指すパーティの「うわ!なんだこれ!焦げくさっ!」という声を遠くに聞きながら。

少しでも「面白い」「続きが気になる!」と思っていただけましたら、下↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして

【★☆☆☆☆】にしてくださると嬉しいです。なお、

【★★★★★】にしてくださるととても嬉しいです。


応援してくださる方、本当にありがとうございます。

読んでくれている誰かがいるってわかるのは、結構テンション上がります。


ではまた来週土曜日に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ