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74話 治療2

 部屋の隅で転がる男の傍らに膝をつき、男の口元にポーションを流し込む。

 いきなり水分を与えられて男がむせ返る、がお構いなしに続ける。

 意外に容赦しないとか……私って結構鬼畜や。

 

 男たちにはこちらに危害を加えられないよう、持続麻痺の魔法がミザリーによって掛けられている。

 身の安全は保障されているため、菜摘も強気で治療に臨めている。


「菜摘、飲ませきったら、もう一本は身体全体に振りかけるんじゃぞ」

「分かりましたミザリー様」


 お墨付きも貰ったし、遠慮なく次の作業に取り掛かる。


「ググッググッ」

「ウウウウウー」

「ググルゥォ〜グルゥォ」


 何と言ったらいいか、ポーションを与えた男達は一様に身悶える。

 身体中で病魔と闘っているかのように、身体を掻き毟り、呼吸しづらいのか息は荒く、唸り声が響きわたる。


 ノエルはそんな男達を見ても一向に気にせず、丸くなって眠りについた。

 呑気な彼女を見るとやさぐれた気持ちも癒されるってものよ。


「ミザリー様、これはどれくらい掛かるでしょうか」


「さてね……お前さんの造ったポーションが身体に浸透しきってから、徐々に元の状態へと戻ろうとしているのじゃ。体質にもよるだろうが、一晩で治れば御の字じゃろ」


「儂らはただ待つしかないのう」


「何にせよ、一番状態が進行していたのが、此奴らじゃからの。ある程度様子を見て、軽い症状の者達のところへいくぞ」


 ミザリー様の言葉に私は頷いた。

 そうこうしているうちに、先ほどまで聞こえていた唸り声がぴたりと止んでいた。


 菜摘は自分が対応した男に近寄って顔を覗きこむ。

 男は心なしか穏やかな顔つきになっているようだった。

 変形していた身体にも変化があり、腕や背中に生えていた鱗状の突起物等がすっかり無くなっている。


「ミザリー様、大分楽になったように見えます」

「ふむ。ポーションの効果は割と早めに出てきたようじゃな」

「なら、ここをこのままというわけにもいかぬじゃろ、少し病室らしくしてやろうかの」


 ミザリー様はそう言うと、指をパチンと鳴らしてベッドを三台顕現させていた。

 畳まれたシーツらしき物と枕もベットの上に載っている。


「菜摘はそれぞれにシーツを敷いてくれんかの」

「分かりました」


 菜摘がベッドを整えている間、ミザリーは一人ずつ杖を当て浄化魔法を施していく。

 ポーションまみれだった身体もすっかり乾いていた。


「準備が出来ました」

「うむ」


 ミザリーは手前にいる男に手を翳した。

 女性二人でも恐らく持ち上げるのが難しい大柄な男の身体が、フワフワと宙に浮く。

 持ち上げた男を、備えつけのベッドの上へと移動させて行く。

 ゆっくりとその上に下ろし、残り二人も同じように動かして行った。


 あの魔法は便利だな……魔導士ミザリーの力の一端を垣間見た菜摘だった。









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