65話 森の皆にお願い
短くて済みません。
今回も森の皆がやってくれました。
木々や下草等が生え鬱蒼としていた獣道がモーゼの十戒のように綺麗に割れた。
いや。まだ一部残っているところがある……
捗っていない部分をじっと見つめていると、ニョキッと手の様な物が見えた。
手の様なものは、一つだけでなく複数ある。
どうやらどんくさい集団が取り残されているようだ。
その草達は(彼?か彼女か不明)地面に手をつき、自身の身体を引き抜こうとしている。
身体が埋まっている周りの土が固いらしくがっつり埋まっていて抜け出せないみたい。
一生懸命身体を左右に動かしている。そんなに慌てなくてもいいんだぞ!
手を握りしめ奮闘する彼等を見ること数分。
貴重なワンシーンを見れたような気がして、菜摘は息を殺してじっと観察していた。
じたばたしている集団は他の草達との距離が離れてきた。
大分出遅れてるようだから、ここは手助けしてあげた方がいいかな。
菜摘は指先を草達に向けるとそっと風を送り込んだ。
風は草達を取り囲むように流れると周囲の土を掘り起こしていった。
周囲が柔らかくなったのを確認した草達は、すぽんと身体を引き抜く。
一人また一人と仲間達の元へ一目散に駆けて行った。
「おおいいねぇ! 道が広くなった。皆んなありがとうー」
眼前に広がる道は思った以上の仕上がり具合。
感謝の言葉が自然と口をついて出ていた。
「この短時間でよく出来上がりましたね」
クリスも着々と出来上がる様を見ていたから。納得しきりだった。
「そうね。これなら馬達で駆けて行っても平気そうに見えるけど、どうクリス?」
「大丈夫かと思います。行きますか菜摘殿?」
「うん。行こうよクリス」
菜摘達は遅れを取り戻すべく、目的地を目指し拡張された獣道を駆ける。
山道のカーブを曲がるところで後ろを振り返ると、いましがた通ってきた道が、元の小さな獣道へ戻っていくのが見えた。
やっぱり元に戻すよねー帰りもまたお願いするようかな……
手綱を握り返してそんな事を思う菜摘だった。




