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64話 それ獣道だから

「この辺から真っすぐ進めば早く行けるよ!」


 ノエルが自信満々で案内してくれたのは、雑草ぼうぼうのいわゆる獣道だった。


 恐らく身体の小さい動物達が使っていると思われる細い小道……


 その道の入口へたどり着くのも結構大変だったよ。

 本来の街道から逸れていると言う事は、当然のように整地されてないわけで……

 

 デコボコ道をよじ登るように進まなくてはいけなくて、躊躇う馬達に「怖くないからね」と声を掛けつつ手綱を引いた。


「ノエルーこれどう見ても行けないでしょ!」


 菜摘は、あまりの狭さについ声を荒げる。


「ルーシーが上から確認したから大丈夫だよ」


 菜摘の荒ぶる態度もなんのその。ノエルは特に気にも留めずにそう言うと、近くの枝に止まり羽繕いをするルーシーに目くばせした。


「ルーシー。お前から見てこの道はどうなんだ?」


 クリスは自分の使い魔に確認をとる。


「はい主。この道を前方に向かって進めば山向こうの本道に突き当たります。最短距離で進めると確信いたします」


「よく分かった。ありがとうルーシー」


クリスはルーシーの能力を微塵も疑っていない。使い魔の言葉を全面的に信じた。


「菜摘殿。私に土魔法の才があれば良かったのですが、ここは彼等が見つけた道を進んでみましょう」


「クリスは話のわかるやつだねー。それに比べて菜摘はひどいよ」


 ノエルが少しむくれている。


「ともかく行ってみましょう。最短距離であれば遅れを少しでも取り戻せますから」


 クリスが若干気落ちしながらも、最善策を提案してくれていると感じた菜摘は、これ以上ごねるのも良くないなと思い直した。


「そっそうね。時間は有限だものね。いざとなれば道を広げてもらえばいいからね?」


 疑問形な返事になってしまったが、一行は取りあえず向かうということを決めた。


「しょうがないか……。ほらノエル機嫌直して」


 菜摘はノエルの傍らに膝をつくと頭を撫でた。ついでに全身も撫でてやる。


 撫でられると何故かノエルも機嫌が良くなってくるのが不思議だ。


「ノエル。悪いんだけどまた離れて後ろから付いてきてね」


「うん分かったよ」


 ノエルは林の中を大きく遠回りをして集団の後ろへ走って行った。ちゃんと気遣い出来るよい仔である。

 

 先頭はクリス。続いて菜摘。かなり離れてノエルという順番で一列になり獣道を進む。


 クリスは剣を手に、目の前に垂れ下がる木々を薙ぎ払って行く。


 下草は動物達が踏み固めているから、道らしきものが出来上がっているが、それより上の雑草は自然のままだ。


 人間が通るにはあまりにも邪魔なんだなこれが。

 

 クリスが薙ぎ払った後に続くため、普通に歩くよりも時間は大分掛かっていた。


 カポッカポッカポッと、馬の背に揺られることおよそ数十分。


 数歩いたところで、菜摘は馬を停めてフーっと息を吐いた。


「無理。とてもじゃないけどこれは無理だわー」


「クリスごめんなさい。少し停まってもらえる?」


 一か八かノエルも言ってた森の皆にお願いしてみて道を広げてもらおう。


 クリスと場所を替り前に出た菜摘は、日本式神頼みを試みることにした。


 自慢することじゃないけどは信仰心はまるでない。

 大晦日や正月だって進んで神社仏閣方面に行ったためしがないし……。


 でも日本古来からある自然崇拝や八百万の神々。

 あらゆるものに神は宿っている的な考えは嫌いでない。


 手綱を握った状態で両手を顔の前で合わせる。出鱈目だろうときっと想いは届くはず。

 

 合わせた掌をこすり合わせながら、『森の皆にお願いがあります。この狭い道を人が二人位並んで通れる幅に広げてください。お願いします』


最後にお辞儀で締めくくった。



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