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44話 査問会1

 アーノルド・ルーベンス侯爵は先日貰った薄緑色のポーションの調査結果から、すぐにいくつか手に入れようとローランへ依頼した。

 いつでも手に入る物と思っていたら、目の前のローランという男は、製作者は捕らわれていて無理だと言う。


「してその彼女しかこのエクストラポーションを作れないと言うのだね?」


「そうです。同じ条件下で同じ様に作ってみましたが、彼女が手がけた方が遥かに効果が高いのです」


「私と彼女の違いがあるとすれば、それこそ加護の力の有無ではないかと……」


 ローランの脳裏には菜摘の実力を確かめるために競った日の光景がよぎっていた。


 その彼女が騎士団に捕縛されるに至った経緯をおおかた聞いたアーノルドは、面識のない娘だがこれはどう考えても解放せねばならぬなと思っていた。


 翌日。予定通りローランは査問会へ出頭するためルーベンス家を出た。


「いってらっしゃいませ」 

「皆さんお世話になりました!」


 見送りに出てきたルーベンス家の使用人達に声をかけられ、こそばゆい思いをしながらもローランは手短に挨拶をした。


「ローランさん。旦那様からこちらをお預かりしています」

「私にですか?……」


 門まで見送りに付いてきた執事からローランは一通の封書を受取った。


「これはどういう意味でしょうかね……」


 歩きながら封書の中を確認したローランは、書かれている内容に首をかしげる。


『ローラン君。君は大船に乗ったつもりでいるといい byアーノルド・ルーベンス』


 封書にはそう走り書きされたカードが一枚入っていた。


「アーノルド様は侯爵様だから権力はお持ちでしょうが……まさかねぇ」


 封書を懐にしまうと騎士団から指定されていた時間に送れないよう道を急いだ。


 ルーベンス家を出てほどなく、道端で王都行きの馬車を運良く見つけると便乗させてもらうローランだった。



−−−−−−−−−−−



「サリュー団長。団長にお会いしたいという方がお見えになっております」


 部屋の中をウロウロしていたクリストファーは、団員から声を掛けられ慌てて席に戻った。


「中へ通してくれ」


 扉の向こうで団員へ「ありがとう」と伝える声が聞こえ、好々爺の様な人物が部屋へ入ってきた。


「貴方は……」


 クリストファーはなぜ貴方がここに?という面持ちで、立ち上がると前に出て一礼した。


「しばらく振りだなクリストファー・サリュー子爵」


「ハッ! ご無沙汰しております。閣下におかれましてはご健勝そうでなによりです」


 そんなクリストファーの姿を見て、閣下と呼ばれた人物は目を細めて微笑む。


「サリュー団長。忙しいところ急に訪ねて済まぬな」


「いえ閣下! 席に座していただけですから、お気遣い無用です」


「ホッホッホッ、クリス君。君と儂の中ではないかそんなに畏まらずともよい。まあそちらに掛けてくれたまえ」


 砕けた口調になった閣下はクリストファーを促すと室内のソファーに腰掛けた。


「さて挨拶はこれぐらいにして本題だ」


 正面に座ったクリストファーに真面目な顔を向け閣下は話を切り出した。


「単刀直入に聞こう、君は査問会に掛けられる娘をどうしようとしているのかね?」


「……閣下。質問の意図がわからないのですが?」


 思いがけない閣下の質問にクリスは内心驚いた。


「ふむ、分かりづらいか。君が捕縛されている者に入れ込んでいると吹聴する者もいてね。君の出方しだいではこちらの対応も考え直すべきか考えているのだよ。私情を挟んでいるのかね?」


「閣下、彼女の事を助けたいと思うのが私情と仰るのならそうです。否定はしません。ただ、私の気持ち以前に今回問題としている件と彼女は全く無関係です。故に私は上に抗議したまでです」


「なるほどそうか……君の気持ちは分かった」


 まっすぐな目で見つめて話すクリストファーに閣下は頷いた。




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