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27話 サリュー家に行こう

 天幕で過ごすのも今日が最後。


 夕食をいただきながら、クリスが今後の事についてどうするのか説明してくれた。

 ざっくりまとめると二点。


 一.偶然襲われたかも知れないが念のため、あと一週間位は保護下に置く。

 二.インフェルノ・ルプスを今後も連れ歩くなら従魔登録する。

 

 王城の魔道士団に私達を連れて行けないのと、従魔登録をしていないノエルを連れ回すのは街中でパニックを引き起こすのだと言われた。


 私とノエルを一緒に保護下に置けそうな場所で考えると、クリスの家が一番妥当だろうということらしい。そういうわけで私は一週間お世話になる。独身男性の家に一週間……えっといいのかな?


 クリスの家は王城のある王都からはかなり離れた場所だそう。ここからはそんなに遠くないらしい。


 ノエルそういう事でクリスの家に行く事になるけどいい? 一緒にきてくれる?

 私は念話でノエルに聞いた。


「うん。どこでも菜摘についてくよ」

 ノエルは快諾してくれた。


 そして翌朝。


 馬車の用意が出来ず申し訳ないと謝られたけど、文句を言える筋合いではない。

 私も馬に乗ってクリス家へ向かうという段取りになった。


 私専用に馬が用意されているわけではないので、当然二人乗りで向かう事になる。

 てっきり部下の誰かと一緒だと思っていたら、クリスの馬に乗ることになった。


「菜摘殿は馬に乗った事があるか?」

 とクリスに聞かれ、私は横に首を振った。 


 クリスはそれを聞くと、失礼すると一言断り私を前からひょいと抱き上げて馬に乗せた。


 スカートを履いているため横座りの恰好だ。私が安定すると、クリスは手綱を取り鐙に左足をかけてヒラリと優雅に跨った。手綱を持つ両手の間に私はすっぽり納まっている。 


 距離が近い! なんだか抱きしめられてるみたいで恥ずかしい……私は内心狼狽えていた。

 クリスは当たり前のように接しているからきっと日常茶飯事なのだろう。モテそうだもねクリスは……


「それでは行こう!」

 クリストファーは後ろに続く魔道士団へ合図を送った。


 ノエルは牛位の大きさになった。豆柴サイズだと長距離を移動するのは疲れるのだとか。ただ、魔道士団の馬たちが一斉に怖がったため、皆からは距離を取ってかなり後ろの方から追いかけてくるようだ。


 それからしばらくの間、クリス以下魔道士団の馬達は並足で道なりに進んで行った。

 牧歌的な風景の中、のんびり行くのも悪くない。

 ほどなくして道が二手に分かれた場所までくると、王城の魔道士団へ戻る団員達は右に逸れて行った。ここからは速歩で行くらしい。

 クリスと私はこのままクリス家を目指す。

 

「菜摘殿どうかされたか?」


 静かにしているのを心配してかクリスが声を掛けた。喋れないから当然なんですけど……

 ただ私は急に彼を意識してしまって顔が赤くなっていた。それを見られたくなくて首を横に振る。


「そうは見えないが……」


 クリスは愛馬の歩みを止めると、手綱を持った片方の手を放し私の顔を覗き込んだ。


「……」 


 何か察してくれたのか、それ以上は何も言わないでいてくれた。私はなぜだか頭を撫でられた。


 それからしばらく道なりに進んで行くと家が見えてきたようで、クリスが私の肩を軽く突っついてきた。


「菜摘殿。あれが私の家です」

 

 指さした方向を見ると、大きな屋敷が建っているのが見えた。

 

 うわぁ大きいーー。クリスってお坊ちゃま? もしかして貴族なのかしら?

 

 クイーツ村の光景しか見たことがない私。貴族にも会ったことがないから単なる想像なのだけど……


 クリス家に到着すると、家人が総出なのか表にずらりと並んで出迎えてくれた。

 目の前までくると更に屋敷が大きく見える。


「坊ちゃまが客人をお連れに……しかも女性のお客様。私共は今とても感激しております」


 一番前の列に並んでいたダンディーな叔父様が、目頭にハンカチを当てて何やら言っている。

 クリスの顔を見上げると、彼は頭を掻きながら苦笑いしていた。


 愛馬から降りたクリスは私にさあおいでという感じで両手を広げた。


 私は鐙に足を掛け降りるつもりでいたが届かず、仕方なしにクリスの両手に飛び込んだ。


 皆に見られている中しょうがないとは言えこれは何の拷問だろうか。

 恥ずかしすぎる……


 私はしばらく顔が赤いままだった。

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