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12話 神々の根回し

 数週間前、自宅の小屋に繋がった空間を、亮介が確認していた頃、思いもよらないところで事件は起こっていた。



「ククノチ兄様。()()はまずいのではないですか?」


 一柱の女神が、眉間に皺を寄せながら、目の前でうなだれている男神に言葉をかけていた。


「カヤノ。仕方ないではないか、あれが最善策だったのだ!」


 男神は頭を抱えながら、半ば投げやりに言う。


「そういう事にしておきますわ」

 

 女神は、目の前の()()を凝視しながら、しかたなしに呟く。


 およそ生物の目では認識出来ない、歪んだ空間がそこにはあった。地上から伸びてどこかの異界につながっている。


「ククリ様に事情を話して、まずは先方へ謝罪をいたしましょう」


「そっそうであるな!すぐに参ろう」


 早目の対処が必要だと思った女神は、そう兄神へ進言した。

 

 うっかり、よそ様(異界神の領域)の空間と、自世界の一部を繋げてしまった男神。

 領域侵犯は戦争にもなりかねない事案だ。二柱の神は問題の解決に、調停を得意とするククリ神の元へ急ぎ向かった。

 

 二柱の神から相談を受けたククリ神は、すぐさま行動した。彼の説得は功を奏し、最悪の事態だけは避けることが出来たのであった。

ククノチ神には、主神から大きな雷が落とされたのは、言うまでもない。


ーーところ変わってククノチ神が繋げてしまった異界ーー




「アムルダート様! 地球神より『贈答品』が届きました」


「うむ」


 異界の主神アムルダートの元へ、お詫びの意味も兼ねた『贈答品』が山のように届いていた。それらを詰め込んだ荷車を押して下位神が大広間へ入ってきた。


「随分と気を遣われたものよ」


 荷車の量を見たアムルダート神は、苦笑いの表情を浮かべていたが、

「おお、儂のリクエストもちゃんとあるのう」

 目あての品を見つけると頬が緩んだ。


 貰った分くらいの仕事はせねばなるまいな……。

 

 アムルダート神は、広間にいた下位神達を眼前に集めると話し出した。


「皆もすでに知っておると思うが、向こうの世界と一部空間が繋がった。その空間は無理に破壊すれば、双方に影響を与えるやも知れん。よって現状維持という事に決まった。決して破壊してはならぬぞ! しかと肝に銘じよ」


 一同の顔を見ながら念を押した。さらに確認するように、

「すでにあの空間を出入りしている人間がおると聞いたが、間違いないな?」

 と手前の下位神へ問いかけた。問われた下位神は、そのように聞いていますと言って頷いた。


向こう(異世界)の人間に、こちらで勝手に死なれては困まる。どうすれば良いか分かっておるな?」


「死なないよう見守るという事でしょうか?」

 先ほどとは別の下位神が答える。


「うむ。いずれ自身を守る力をつけてもらわねばならぬがな」


 じゃがそれは、おいおい考えるとしよう……アムルダート神は保留にした。


「それまでは、常に傍らで人間を守るものを与よ!」


 アムルダート神は、円柱形の台座に嵌った大きな水晶球を指差した。


「見よ。ちょうど良いのがおるぞ」


 いくつも浮かび上がる映像の中から一つを選ぶと、水晶球に一頭の仔犬が映し出された。

 美味しいそうに四角い白い物にかぶり付いている。


「これはこれは」


「ちょうど良いですな!」


「なんとまあ良さそうですね。あれなら適任ですな」


 下位神達は主神の指さした生き物を見ると口々に賛成の意を表した。


「私が手配してまいりましょう」

 下位神の一柱は主神へそう告げ、全身が光に包まれた瞬間、その場から掻き消えていった。


 下位神が消えた先を見つめながら、アムルダート神は、


「あとは、そうじゃな。この世界にいる間は若い方が何かと動きやすいじゃろう。十歳位戻してやればよいか」


 そう言いながら、水晶球に映る二人の人間。菜摘と亮介へ向かって手をかざした。


ーーーーーーー


 ククリ神の元から帰ってきた二柱の神は安堵していた。


「ククノチ兄様。何とか丸く収まって良かったですわね」


「ああ。さすがククリ様だな」

ククノチ神は、頭のたんこぶをさすりながら、女神へ返事をする。


「兄様、聞くところによる、人の子が往き来しているそうですね」


「そうなのだ。空間は壊せないからな、他言せぬよう人の子らに術は掛けておるが……」

 ククノチは言い淀んだ。


「なあカヤノ。儂は人の子が往き来しないようにした方がいいのか?」


「そんなことを悩んでらしたのですか?」


 女神は何を今さらという顔をしながら、


「私達が加護を与えればよろしいのでは?」


「加護を?」

 ククノチはカヤノの真意が掴めず困惑する。


「ええ。無理に止めなくても、加護を与えればいいのです」


「人の子らの一喜一憂の様を見るのも楽しいものですよ!私は先ほど付与しましたので、兄様もお願いしますね!」

 草の女神カヤノヒメはいたずらぽく微笑った。

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