表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/76

11話 クリストファーと老女

「ほれっ! 団長殿に敬礼じゃ」


 魔導士団長のクリストファーが、魔導士団隊舎へ赴くと、隊舎の入り口付近で若い団員に向かって、指図をしている老女が見えた。


 老女に指図され、慌ててこちらに向かって敬礼する団員一名。


 クリストファーは、前方にいる老女が誰か分かったらしく、老女に向かって恭しく一礼した後、急ぎ足で彼女の元へ歩いて行った。


 老女は杖をついたままその場を動かず、クリストファーが近づいて来るのを待つ。


「息災であったかの、クリス。今日も相変わらず、其方は麗しいのう!」


 老女は口元をほころばせ、クリスへ賛辞の言葉を述べた。


 クリスは賛辞の言葉に恭しく頭を下げて、

「ローエン卿、お久しぶりでございます。ご健勝そうで何よりでございます」

 と言葉を返した。


 満足気に老女は頷く。わずかに頬が赤らんだ。


「ところで、この様なむさ苦しい所へおでましになられて、何か御用ですか?」

 クリスは老女へ問いかけた。


 老女はクリスへ、もう少し近こう寄れとばかりに手招きをして、クリスが傍らまで寄ると、すかさず彼の腰に抱きついた。よく見れば、ローブ越しにお尻を撫で回している。


「クリス切れじゃ!!」

 悪びれるもせずにそう言い放った。


「ローエン卿。少々お戯れが過ぎますよ」


 クリスはやれやれという顔をして、毎度のことなのか、特段慌てる素振りも見せず、やんわりと老女を自分から引き剥がしていた。


「クリスちゃんはつれないのー。其方のそんな所も儂は好きじゃぞ」


 プクっと膨れ面でそう言いながら、老女は何だか嬉しそうだった。


 そんな二人のやりとりを、いつの間にか集まってきた、魔導師団の団員達が見守っていた。

 入り口で老女に指図されていた団員が、仲間を呼んできたらしい。


「なあ! あの婆さん誰なんだ」

 団員達の中の一人が声を上げる。


「随分、サリュー団長のことを、気に入ってる見たいだが……」

 別の団員の声も聞こえる。


「あの御仁は、よっぽど団長が好きなんですね」


「ケツを撫でられたぞ……」


 二人の関係に興味津々の団員達は、言いたい放題だった。集団が騒ついていると、


「おい。お前達。見せ物じゃないぞ! それに言葉を慎め」


 人だかりの後ろから、団員達を嗜めるように、一人の男がやってきた。


「副団長!」

 誰かの声に、団員達が一斉に振り返る。


「皆、言葉には気をつけろよ。あのお方は、ミザリー・ローエン卿だ」


「名前ぐらいならお前達も知ってるだろ?」


 そう言うと、副団長は皆に向かって、シッシッシと手で追い払う素振りをした。


 クリスの尻を撫で回した痴女『ミザリー・ローエン』は、もうすでに引退した身だったが、凄腕の魔術士として名を馳せた女性だった。

 その功績から爵位と領地をもらい、今は隠遁生活を送っている。


 幼い頃に団長が魔法を師事した師匠だと、副団長は聞いていた。


 副団長が二人の元へ駆けつけると、恒例のやりとりは既に終わったようで、ローエン卿は、クリストファーの腰に手を添え、杖をつきながら、ゆっくりと隊舎の方へ歩いて来た。


 副団長は恭しく一礼して、

「ローエン卿。お会い出来て光栄です。先触れをくだされば、お迎えに上がりましたのに……」

 と言葉をかけた。


「よいよい。儂の気まぐれじゃからのう」


「急にクリスちゃんの顔が見たくなって、寄らせてもろうたわい」

 そう言ってニッと微笑んだ。


 

最後まで読んでいただきましてありがとうございます。修正)魔導師→魔導士に訂正しました。

話を続ける難しさに早くもぶち当たってますが、頑張ります。

「なろう勝手にランキング」に参加しています。

少しでも面白い、次話も読んでみたいと思って頂けたら、下部の広告の下のリンクをクリックしてもらえると嬉しいです

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ