モンブラン
その後、毒魔法の検証を進め、ある程度の時間が経過したのち。
「や、やった……!」
トキシックさんが呪文を唱えると、そこには色で毒があるかどうかを示されたものがずらりと並んでいた。
「ようやく、私でも使えるぐらいに調整が完了した……」
「ま、それでも一回300ぐらいは持ってかれるんですけどね……」
「でも、ここまで来たら、皆でローテーションしつつ研究が進められます!」
「こうなれば、個別にやっていっても問題ありませんね……!」
わいわいと研究室内が盛り上がる。
「はぁ、やっとケーキにありつける……」
そんな中、ハイント様はようやく、と言った感じでため息をついた。
「あ、そうですね!皆さんもぜひ食べてください!」
「「「はーい!!!」」」
今日、持ってきたケーキは、モンブランというらしい。
いつも、貴族のパーティで見るような大きな円のケーキを切った物とは違って、これは、一つで完結した食べ物みたいだ。
土台の上にまるで山のように高く茶色いクリームが詰まれ、そのてっぺんには、金色の果物のようなものがちょこんとおかれている。
「や、やっぱりすごいですよね、これ……」
「こんな発想、どこから出てくるんだろう?」
「それじゃ、いただきます」
皆がモンブランの独特な形に感嘆の声を上げているとハイント様はそう言ってパクっと食べ始めた。
僕も、とりあえず一番上にあった果物みたいな何かから食べ始める。
てっきり甘い物かと思っていたのだが、実際は、あまり甘みが無く、口の中に入れると、香ばしい風味のする食べ物だった。
そのまま下のクリームをすくって口に入れる。
クリームからは、先ほど食べた物と同じ味がする。
多分砂糖を使っているのか、さっきのものより甘みが強い。
でも、しつこさは全くなく、次へ次へと食べ進められる。
ある程度クリームを食べていると、クリームの味が変わった。
このクリームで口の中の茶色いクリームの味を塗り替えると、再びあのクリームを食べたくなってくる。
そうやって交互に食べ進めていくと、一番下までたどり着いた。
一番下の土台は、クッキーみたいな生地になっていて、僕はそのまま残ったクリームと一緒に一気に頬張った。
過度に甘いわけでもなく、かといって美味しくないわけじゃない。
最後までパクパクと行ける調和された味だった。
僕が食べ終わって「ふう……」と一息ついた時、ふと、周囲の温かい視線に気づいた。
「……美味しかった?」
ハイント様がそう優しく聞いてくる。
「……はい」
僕は、恥ずかしくなって、そうとしか返せなかった。
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