少女の処遇
どうやら、少女は気づいたら草原に倒れていたらしい。
なんとか道を見つけ、この王都まで歩いてきたはいいが、門番にも冷たくあしらわれ、どうすべきか途方に暮れていたそうだ。
「それは……」
これにはルース兄様も言葉を無くしてしまった。
精々が田舎から王都にやってきた上り者ぐらいにしか考えていなかった少女が、何やら面倒ごとのタネになりそうな人物だったのだ。
「君の出身は?」
「えっと、日本って国です」
「二ホン?やばい、聞いた事が無いな……」
ルース兄様は記憶をひねり出すように頭をつまむ。
「ということは、ここ周辺どころか、この大陸ではない所からの転移魔法か……聞いた事が無い」
「私もよく分かってなくて……」
「……そうだな。よく分からない所に来て一番不安なのは君だろう」
ルース兄様は頭をひねっている。
「あの……」
僕は、ルース兄様に声を掛ける。
「どうした、リック?」
僕は、困った二人の様子を見ながら、僕の考えていることを提案する。
「その……この子を家に置いてあげられませんか……?僕が責任を持ちます」
ルース兄様は一瞬きょとんとしたが、すぐにじっと僕を見る。
「あ、あの……!別にそこまでしてもらう必要は……!」
と少女は言うが、僕の心は決まっている。
「あの雨の日、ルース兄様は僕を助けてくれました。あの日が無かったら、僕は今頃ここどころか、この世にだっていないかもしれません」
「……」
ルース兄様は、黙って僕の話を聞く。
「もちろん、ルース兄様にその恩を返すのはもちろんですが、今度は僕が、誰かを助けたいんです。……僕の力だけじゃ難しいかもしれないですけど……」
僕は、心にあることをなんとか言葉にしてルース兄様に伝える。
ルース兄様は、じっと何かを考えている。
そして、はぁっと息をつくと、
「……分かった。それだけ覚悟があるんだったら、俺は何も言わない」
「……ルース兄様!」
「……君もそれでいいかな?もちろん俺の方でも君の国の事を調べよう」
「あ……その……ありがとう、ございます」
少女は何かを言いたそうだったが、それを飲み込んで感謝の言葉を述べたみたいだった。
「そうだな。この国の事については、リックから聞いてくれ。俺はルース・ラインスト。ラインスト公爵家の嫡男だ」
「え、き、貴族の方でしたか……!?これは失礼を……!」
「いや、気にしなくていい。俺は家の中だったらそういう堅苦しいことは気にしないタイプだ」
「え、そ、そうですか……?」
ルース兄様は、僕に視線を送る。
「あ、僕はリックと言います。少し事情があって、家名は名乗れません。よろしくお願いします」
僕はそう言って少女に手を差し出す。
「?」
少女は、僕の自己紹介を少し不思議に思っているようだが、差し出された手を見て、すぐに同じように手を出す。
「私は、四葉。よろしくお願いします、リック様?」
「呼び捨てで構いませんよ?」
「……じゃあ、リック君、よろしくね」
少女は僕の手を握り、笑った。
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