少女との対話
少女を馬車に乗せ、急いで家に連れて帰る。
なにやら女の子を背負って駆けこんできた僕を見て、ルース兄様とミケアはギョッとしていたが、命の危険があることを伝えると、とりあえずは家に入れる事を了承してくれた。
僕は、少女を椅子に掛けさせる。
僕は、メイドさんたちに頼んで、少女の食事を用意してもらう。
メイドさんたちは、少女に体に負担がかからないようなスープを持ってきた。
メイドさんたちが、それを少女の目の前に置くと、少女の体がピクリと揺れる。
少女の目がゆっくりと開いていき、目の前のスープに視線が集中する。
「……食べていいですよ」
僕がそう少女に言うと、少女は一目散にスープに手を伸ばし、ゆっくりと飲み込んでいく。
「……おいしい……」
少女はほうっと息をつくと、じっと僕の方を見る。
「あなたが私を助けてくれたんですか?」
少女の問いかけに、僕はうーんと首を傾げた。
「……ここまで運んだのは僕ですけど……家に入れてくれたのはルース兄様ですし、このスープを作ってくれたのはメイドの人たちですから……」
少女はきょとんとした表情を浮かべる。
すると、くすくすと笑いだした。
「それなら、助けてくれたってことでいいんじゃないの……?」
「……確かに、そういう事になりますね……」
少女は僕の受け答えで笑っている。
「じゃあ、ありがとうございます」
少女はゆっくりと立ち上がると、僕にきれいに一礼する。
「あ、いえいえ。放っておけなかっただけですので……」
僕がそう言うと、少女は再びフフッと笑う。
すると、部屋の扉が開く。
少女はびっくりした様子で扉の方に顔を向けた。
そこには笑顔を浮かべたルース兄様が。
「どうやら、元気になったみたいだな?」
その言葉に少女はニコリとほほ笑む。
「ええ。おかげさまで動けるようになりました。ありがとうございます」
ルース兄様は少女がぺこりと頭を下げ終わると、その表情をがらりと変える。
「で、申し訳ないが、先の話をしよう。この家は宿屋ではないし、そういうサービスを行ってもいないんだ。流石に死にかけの人間を見捨てるような人間ではないが、他人をずっとこの家で住まわせるようなこともできない」
「そ、そんな、ルース兄様!」
その話を聞くと、少女ははぁ、とため息をついた。
「それもそうですね。ですが、少しだけ問題がありましてね……」
「なんだい?」
少女は手持無沙汰に自分の髪をいじる。
「その……気づいたら、ここにいて、一体ここがどこか分かっていないんです……」
「……え?」
ルース兄様は、きょとんとした表情を浮かべた。
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