オーバーワーク
今日は俺1人で留守番になった。ハユンとスアンさんはモンスターの駆除に行っいる。
「あーなんだか前より忙しくなった気がするな。」
そろそろ溜まってる書類仕事終わらせに行くか。
2階にある執務室のドアを開ける。
「あれ?イーゼンさん居たんですね。」
そこには椅子に座ってひたすら資料をめくるイーゼンさんが居た。
「ああ、ヤマトか。リーダーに任された仕事が溜まっててな。」
「俺も手伝います。」
「本当か?ありがとな。じゃあこれ頼む。」
俺達は声を発さず黙々と資料に目を通し、大事なことはメモってサインをしてを繰り返した。
先にこの沈黙を破ったのはイーゼンさんだった。
「そういえばな…アンナを襲った奴ら、全員消えたらしいんだよ。」
思わず紙をめくる手を止めた。
「きっ、消えた!?」
「キンスさんが調査してたんだけど、奴らの身元は特定できたのにいくら探しても居場所が見つからないらしいんだよ。」
「そんなことあるんですか?」
「ま、俺は大体予想つくがな。」
「え?」
イーゼンさんは呆れたような顔で笑みを浮かべていた。
「じゃあ俺は他の仕事があるからそろそろ行くよ。残りよろしくな。」
「あ、はい。行ってらっしゃい。」
ていうか、この量を新人の俺1人に任せるなんて鬼かよ。
山積みになった紙の束を見てため息を吐く。
「…はぁ」
でもこういう事務仕事は得意分野だ。夕方までには終わらせるぞ!
「ヤマトー…えっと、お…おつかれ…」
数時間で一気にやつれた俺の顔を見てイーゼンさんは申し訳なさそうにしていた。
「あは、終わりましたよ…俺凄い…」
俺を励ますかのようにバシバシと背中を叩き、わざとらしく褒める。
「本当、凄いよ!ありがとうな!」
「それじゃ、俺は部屋に戻ります。」
「おう!お疲れ様!!」
久々にずっと同じ体制で座ってたから体のあちこちが痛い…
そうだ、この間買った魔石で体の痛みとかも取り除いたりできるのか?…何個か買っておいたし1つ使ってみるか。
部屋に戻って買った魔石の中で1番小さい水色の魔石を手に取った。ゴツゴツとした不規則の形をしていた。
「確か…少し力を入れて握るんだったか?」
手のひらに置き、ぎゅっと魔石を握る。
パリンッ
手の中で割れた感覚があった。その瞬間、青白い光が体を纏う。
「おお!体の痛みがなくなった!!」
これは使えるな!もっと沢山買っておけばよかった。こんなに便利な物があれば社会人時代もっと楽だったのになー。
次店に寄った時はもっと沢山買っておこう。
ヴーヴー
右ポケットに入れていたスマホのバイブ音が鳴る。画面を見ると思わぬ人物の名前があった。
「もしもし…ヴィンさん?」
「突然すまないな。今時間あるか?」
思いの外丁寧な対応に少し戸惑う。
「大丈夫ですけど、急にどうしたんです?」
「うーん実はな。俺のとこのリーダーがお前に会いたいらしいんだよ。」
「え!?」
あのヴィンさんが性格悪いと言っていた人だよな。そんなの会いたくないに決まってる!
「絶対嫌です!嫌だ!」
「そんなはっきり言うなよ。」
「そもそもなんで俺に会いたがってるんです?」
「そんなの俺も知らねぇよ。とりあえず明日、俺の部下が迎えに行くらしいから昼前には外出てこいよ。」
「え!ちょっと行くなんて言ってな…」
ブチッ
俺の言葉を聞かず、勝手に切られて通話は終わった。
「なんて勝手な人なんだ…!」
そもそもなんで向こうのリーダーは俺のことを知ってるんだ?ニュースにでも映ってたのか?
クソッ、行くなんて言ってないのに…こうなったらブッチしてやる!!




