表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
DEAD LIFE   作者: をか岡
第2章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

44/50

忍び寄る影

部屋に差し込む朝日で目が覚める。ベッドから下りてガラス張りの窓の前に立つ。正面に建つビルの窓に朝日が反射して部屋の中を照らす。

…平和だな。会社員だった頃はこんなにゆったりと気持ちのいい朝はなかった。

ヒビが消えてから街に平和が訪れた。しかし平和ボケしていられるほどギルドは暇ではなかった。

ヴー

机の上に置いていたスマホが鳴った。スマホを持ち上げて確認すると、ギルドメンバーへの連絡だった。

『モンスターLv4出現。手の空いている者は1階に集合。』

街に侵入したモンスターの駆除の依頼だった。週に数回はこんな事があるのだ。

「はー、こんな朝っぱらから…」


「アンナとリーダーは今回不在だから、この3人で行こう。」

ハユンに変わってイーゼンさんが指揮を執る。

「ハユンさんがいなくても大丈夫なんですか?」

「問題ない。Lv4程度のモンスターなら1人でも十分なくらいだ。」

「ヤマトはまだ戦いに慣れてないから私達から離れないようにね。」

「わかりました。」

車で10分ほど走ると、人々が避難しているのが見えた。

「あそこだ。降りるぞ。」

体長60センチ程の小さめのモンスターが目視できるだけで5匹いた。まるでコウモリのような見た目をしている。

「今回は少ないな。」

「ですね。私1人でやりましょうか?」

そういえばスアンさんの異能だけまだ見た事ないな。どんな異能なんだろう。

「1人でいけるか?」

「もちろん。余裕ですよ。」

余裕のある笑みを浮かべるスアンさんはとてもかっこよかった。

そこら辺の男より頼もしい…ていうか、スアン武器何も持ってないけど大丈夫なのかな?

するとスアンさんの手から黒い靄のようなものがでてきた。

「そういえばヤマトはスアンの異能まだ知らないだろ?」

「はい。初めて見ます。」

「そうか。よく見ておくといい。」

スアンさんを纏う靄は形を成した。

「あれは…剣?」

靄は剣の形になり、目の前のモンスターを真っ二つに切り裂く。そして残りのモンスターも全て一瞬で倒してしまった。

「スアンは闇を操る能力なんだ。」

すごい…1人で全部倒しちゃうなんて。

ピコン


[スキル夜光眼発動 危険を察知]


即座に振り向く。するとモンスターが襲いかかってきていた。

「ヤマト!」

グサッ

俺は右手に持っていたダガーをモンスターの額に差し込んだ。

「危なかった…」

「モンスターが来るってよくわかったな。」

「スキルのおかげです。」

正直ちょっとビビった…このスキル、意外と役に立つな。

「よかった、ドキッとしたよー。」

「まだ1匹残っていたんだな。」

スアンさんの靄は引っ込み、黒い剣は消えた。

「スアン、ヤマト、そろそろ戻るぞ。」

俺達3人で周辺に残党が居ないか確認し、事務所に戻った。建物内はいつもより騒がしい。

コソッとイーゼンさんに耳打ちする。背の高いイーゼンさんは俺の口元に届くように少し屈んだ。

「何かあったんですかね?」

そう言うと近くにいた社員を呼び止める。

「この騒ぎはなんだ?何かあったのか?」

「そ、それがですね。皆さんが街で対応している際にアンナさんが攻撃されたんです。」

「アンナさんが!?大丈夫なんですか?」

この短時間で一体何があったんだ…

「まさか、また奴らか…」

奴ら?誰のことを言ってるんだろう。

「詳しくは私にもわかりませんが、軽い怪我をしただけなので大丈夫みたいですよ。」

「そうか、引き止めて悪かった。ヤマト、スアン。アンナの元へ行こう。」

ピンポーン

「はーい。...あれ?皆さんどうされたんですか?」

「アンナさん大丈夫ですか!?」

「と、とりあえず上がってください。」

珍しくアンナさんに飛びつかないスアンさんに違和感を覚えた。いつもなら真っ先に抱きつくのに。

「アンナ、誰に攻撃されたんだ?」

「反対組織です。」

「反対組織?」

「やっぱりそうかー。ヤマトは知らないよな。反対組織は異能者をよく思ってない一般人の集団のことだよ。」

「たまにこうやって集団で異能者1人を狙って攻撃してくることがあるんです。」

するとずっと黙っていたスアンさんが口を開く。

「アンナ、怪我はない?」

「肩を浅く刺されただけなので大丈夫です。」

刺された!?いくら浅いとはいえ全然大丈夫じゃないだろう…

「不意をつかれたな。これからは気をつけるんだぞ。」

「はい。油断しすぎました。」

なんか2人とも軽くないか?異能者はこのくらいよくある事なのか…?

「ごめんアンナ、私この後用事あるから先に戻るね。」

「わかりました。お気をつけて。」

そう笑顔で見送るアンナさんの顔を、スアンさんは切なげな目で見つめていた。ドアが閉まる音と共にアンナさんの目線は下がり、目の奥には小さな寂しさが見えた。

「そうだ!美味しいお菓子この前買ったのでよかったら一緒に食べましょう!」


「あ、もうこんな時間ですね。」

気がつくと時計の針は17時を越していた。

「ヤマト、そろそろ帰るか。」

「あ...あの!」

アンナさんは顔をほんのり赤らめる。

「どうしたんですか?」

「この後、スアンさんを食事に誘おうと思うんですけど…迷惑だと思いますか?」

俺達は目を合わせて微笑み、頷いた。

「スアンがそんなこと思うわけないだろ?」

「そうですよ!きっと喜びますよ!」

「そうですかね…やっぱり誘ってみます!」

娘の成長を見る父親のようなほのぼのした気持ちになった。


ヴー

「ん?」

スアンは左ポケットに入っていたスマートフォンを取り出した。

『今からご飯行きませんか』

たったそれだけの文に嬉しさを隠しきれない。

「もちろん…い、く…っと」

返事を送るとすぐに既読がついた。

「ふふっ…なにこのスタンプ」

アンナから『やったー!』という文字と共に、クマのイラストが書かれたスタンプが送られてきた。

靄で出来た黒い剣はスアンの腕へと戻っていく。

「待っててね。ハニー」

赤黒く汚れた手や顔を拭きながらスアンはアンナの元へ急いだ。

「服、着替えないと」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ