招集
リビングへ戻り大開口窓から景色を眺める。天井が高いから3階からでも結構高いな。1階はこの部屋よりもっと天井が高かったから。
新生活の始まりに胸が高鳴る。
そうだ!この間獲得したスキル使ってみよう。ぼんやりとする遠くの建物を見つめ、頭の中で唱える。
[スキル使用中]
すると眼が光出した。そして先程までぼやけていた遠くの建物ははっきりと見え、集中するとさらに奥まで建物が透けて見える。
「すごい、はっきり見える!」
初めての光景にはしゃいでいると、玄関の方から足音が聞こえた。
ピンポーン
インターホンが鳴った。モニターを見るとそこにはアンナさんが紙袋をぎゅっと抱えて立っていた。早歩きで玄関へ向かい、鍵を開ける。
「アンナさん!びっくりしました。どうかしましたか?」
「あの、これ良かったらどうぞ。」
そう言うとアンナさんは紙袋の中から包装紙に包まれた箱を取り出して差し出した。
「これは…?」
「有名なお菓子屋さんのチョコレートです。ここのチョコレートとっても美味しいので是非ヤマトさんにもと思って。」
「いいんですか?」
「はい。昨日たまたまお店の前を通りかかったので買っておいたんです。さっき渡し忘れてしまったので。」
そういえばさっき会った時も同じ紙袋を持ってた気がするな。
「ありがとうございます。後で頂きますね。」
アンナさんは満足そうな顔で笑っている。
「あの、ヤマトさん…」
何故か少し頬を赤らめて恥ずかしそうな顔をしていた。
「はい、どうしました?」
少し間をあけて口を開いた。
「ヤマトさんって…スアンさんと仲がいいんですか?」
俺がスアンさんと?そりゃあ何度か送り迎えしてもらってたけど…
「スアンさんは俺の送り迎えをしてくれていただけですよ。」
そう言うとアンナさんは目をキラキラさせた。
「それがどうかしたんですか?」
「あっ、いえ!、なんでもありません!それでは失礼します!!」
それだけ言い残してそそくさと去っていった。
なんだったんだ…?
ポコン
『本日13時に会議室集合』
昨夜、アンナさんが来た後、ギルドメンバーのグループチャットに招待されていた。そのグループチャットへメッセージが届いていた。
全員会議室集合ってことはお仕事かな?遅れないように少し早めに行こうかな。
…早く来すぎたかな?スマホの時計を見ると、12時28分と表示されている。
なんだか落ち着かなくて早く来ちゃったな。
ドアの前に立ち、2回ノックをする。…声が聞こえない。誰いないのかな?ドアを開け、中へ入る。
「よかった、誰もいない。」
「そこで何してるんだ?」
背後から声が聞こえ、驚いて肩が跳ねる。
「びっくりした…!」
振り返るとイーゼンさんが真後ろから覗き込んでいた。
「こんなに早く来るなんて、気合い十分だな。」
ニヤリと笑いながら、嫌味ったらしく言った。
「イーゼンさんこそ、どうしてこんなに早く?」
イーゼンさんは部屋の中へ入り、反対側の椅子に座った。
「今日は仕事が早く終わって集合時間まで時間があったから部屋に戻ろうとしたらヤマトくんが見えて、時間間違えたのかと思ったから教えてやろうと来たんだ。」
「なんか落ち着かなくて、早く来ただけですよ。」
「そうか。もう少ししたら皆来るだろうから、座ってていいよ。」
イーゼンさんの正面に座り、沈黙の中メンバーを待つ。




