ルームツアー
「部屋は3階に用意してるから、エレベーターを使ってくれ。」
エレベーターに乗り、ハユンは3階のボタンを押す。
「昇り降りが大変だからなるべく下の階を用意しようと思ったんだが、空いてるのか3階にしかなかったんだ。」
「そうなんですね。俺はそれよりこの広い建物の中で迷子にならないかの方が心配です。」
「もし迷っても近くの人に聞くといいよ。」
3階へ着き、ドアが開く。作業服を着た3人の男性が乗り込んできた。
「ありがとうございます、ハユンさん。」
3人は帽子をとってぺこりとお辞儀をした。改めて実感する。こいつは世界最強なんだと。
エレベーター出て前を見ると、長い廊下に右側にはガラス張りになった窓が並んでいた。外から見たとき見えたのはここだったのかな?陽の光が差し込み、チリひとつ落ちていない真っ白な床を照らしている。
手前から7番目の部屋の前でハユンは足を止めた。ん?ドアノブがついてない…
「ここだよ。どうぞ入って。」
そう言ってハユンは半透明のカードのようなものを、本来ならドアノブがついている場所にかざした。するとピッという音がなると同時にドアが左にスライドした。
「えぇ!何だこのドア!?」
スライド式!?しかもカードキー?こんなの初めて見た!
「スライド式のドアを初めて見たのか?今の時代こういうドアが主流じゃないか?」
キョトンとした顔でハユンは俺を見た。もしかしてこの世界って俺が元いた世界より技術が進んでるのか?
「いっ、いえ…すごく綺麗なドアだなぁと思って…」
「誰も使ってないがしっかり管理していたからな。」
「へぇそうなんですね…」
いやいや、こいつがただ単に金持ちって可能性もあるな。
部屋の中へ入ると16畳ほどの広いリビングが広がっていた。3人座れるほどの大きさのソファーや、大きな液晶テレビが既に用意されていた。
「こんな広い部屋…本当に俺1人が住んでいいんですか?」
「かまわないよ。部屋は十分足りているからね。家具は気に入らない物や欲しい物があったら言ってくれ。」
「いえ、十分すぎるくらいですよ。」
部屋の中も埃が全く落ちていない。こんなに広い建物なのに清掃員さん凄いな。
「そうだ、鍵を渡しておくよ。」
そう言ってさっきのあのカードキーを俺の手の上に乗せた。
「このカードをドアにかざすと鍵が開くから無くさないように。それと開けた後もう一度かざすと閉まるようになってるから戸締りに気をつけるように。なにか聞きたいことはあるかい?」
本当はこのドアの仕組みがすごく気になるけど…
「大丈夫です。無くさないように気をつけます。」
ハユンは満足そうな顔で頷いた。
「それじゃあ私は仕事に戻るからゆっくしててくれ。私が出たあともすぐ鍵を閉めるんだよ。」
「そんな何回も言わなくともわかってますよ。子供じゃないんですから。」
冗談混じりにそういうとハユンはクスッと笑った。
「じゃあまた、何かあったら連絡してくれ。」
そして部屋を出ていった。ハユンの足音が聞こえなくなるのを確認してすぐにカードキーをかざして鍵を閉めた。
ガチャンッ――




