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21 今までの悪行

「では、君が今までにどんな悪行をしてきたのかを教えてあげようじゃないか。」


すると、彼は騎士からとある封筒を受け取っていた。そして、その封筒の中から資料を取り出す。


「君はグリンフォード家で使用人にも相当なことをしていたようだね。なにやら、気に入らない庭師や侍女を殺していたとか。」

「ち、ちが」


否定しようとしたものの、突如として知らない記憶が襲ってくる。


『ミア様!どうかお許しを…!』

『キャッ!キャアアアア!』


何なの?この叫び。…ミアの記憶?


そういえば、私には転生前のミアの記憶が存在しない。ということは、これはミアの記憶の一部分なのだろうか。


「更に学園では身分差別をしていた。」

「それは…。…っ!」


またもや知らない記憶が私を襲う。


『あなたみたいな下級貴族が私に近づかないで頂戴。あなたみたいな下級貴族の家など、公爵家の一人娘である私ならすぐに潰せるのよ。』

『ひぃ…!』


これがミアの悪行の一部?想像していたよりも過激なんだけど!?


「…それで?それが一体なぜ罰せられなければいけない内容なのです?」


私の言葉に周囲は驚きの声を出していた。


ここで謝っても死ぬだけ。ならせめて…抗わないと。


「使用人を殺したのは、私にとって不都合があったからです。」


言い方を変えてるだけだけど、こっちの方がいいでしょ。


「身分差別は他の方々もしておりますのに、なぜ私だけが言われなければならないのです?」

「私の婚約者であり、次期王妃であるからさ。」

「今の私はアルベイン陛下の妃でありますので。」

「君からの婚約破棄は受け取っていないが?」


その言葉に周囲は騒ぎ始めた。その中の声からは、私が男たらしだとかさすが悪女だとかいう声が聞こえる。


…ぅ。この男…なかなか手強い。


「君のやり方はあまりにも度を超えすぎている。」

「あなたの婚約者という立場上、舐められるわけにはいきませんでしたので。度を超えるのは当然でございますが?」

「正当な判断をできない人間は、度を超えてはならないんだよ。」


なんだかこう聞くと、ミアが悪いみたいじゃない!まぁ、そうなんだけどさぁ。でもそれは私じゃないしさ〜。


「そして君はこの国の希望と称えられる巫女のセリーナに嫌がらせ、虐め、殺害未遂をし、挙句の果て医に殺人計画まで立てていた。」


騎士が証拠を突き出していた。どうやら、ミアが私が転生してくる前に書いていた日記のよう。


おいおい。なんてもん日記に書いてんのよ、ミア!


「これはどう説明してくれるんだい?」

「えーっと…。」


するとまたもや知らない記憶と頭痛が私を襲う。


『ミア様。私のノートに落書きをすることや教科書を隠すのはやめてください。』

『証拠は?』

『…え?』

『証拠もないのに私を疑ったの?決めつけ?うわ、ひっどい。』

『ち、ちがっ。』

『平民風情が随分と生意気な態度を取るのね。』


これはセリーナの声?


『…目障りな女。死ね。』

『きゃあああああああ!!!』


私の脳内で映る映像で、ミアはセリーナを階段から突き落としていた。…これがパトリック殿下が言っていた殺害未遂なのか。確かにこの高さだったら死んでてもおかしくなかったかも。


『凄腕の暗殺者って聞いたわ。セリーナという女を始末して。』


これが殺害計画…いや、殺害依頼って感じね。


「それは…。」

「その沈黙は悪行を認めるって解釈で大丈夫かな?」


パトリック殿下は笑顔で私を見下しながらそう言った。怖いとしか言いようが本当にない。


「最後になるけれど、君の最大の悪行は国家機密を破ったことさ。」

「こっかきみつ…。」


ドクンと心臓の打ちるける音。


『あなたが巫(・)女(・)でありからと、調子に乗りすぎですこと。』


巫女…。どうしていままでセリーナは虐められていた?巫女に虐めでもすれば、神から天罰が下るという伝説はたとえ馬鹿な生徒でも分かる。


ーーだが、それが知っていたかったとしたら?


国家機密で学園卒業までセリーナが巫女ということを隠されていた。だからこそ、みんなは知らずに虐めていた。ただ、ミアの発言により国家秘密がバレてしまった。


このことが国家秘密だったのは、他国から狙われることを防ぐため。だけれど、ミアが一瞬にして台無しにした。国家機密をバラすことは、たとえ公爵家令嬢でも、次期国王の婚約者であったとしても…死罪に値する。


血の気が引くのが分かった。パトリック殿下は私を処刑するカードをすべてそろえてしまったのだ。


もう言い逃れができない…。


「そろそろ認めてくれないかな?私だって、レディ相手にこれ以上のことはしたくないんだよ。」


…この男なら、私を火の中にくくりつけてホオリ投げるとかを平気でやってしまいそうな男だ。これが最後という意味も込めているのだろう。


「…認めます。」


振り絞った声でなんとか言葉に出した。この会場にいた者たちは驚きの声と拍手が上がっている。


私に罪を認めさせた殿下への拍手?それとも処刑まっしぐらの私への拍手?


「かのものを地下牢に連れていけ!」


騎士は殿下の言葉に「「はっ!」」という返事をして、2人ぐらいで私を連行する。


「君の処罰が決まり次第、伝えに行かせる。」


おそらく、私を一時的に地下牢に置いておき、処刑のタイミングがきたら呼ぶつもりなのだろう。今、このタイミングでミアに処刑と言ったら、大騒ぎするに違いないもの。


ま、私はしないけどね。まだ、諦めないから。

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