2 一か八かで殿方に求婚しました
仮面パーティー。それは、お互いに許した人にのみ、仮面を外してはよいものその関係が生まれるまでの子のパーティーの間、決して仮面を取ってはならない。
なんかやけに人が多いわね。それと妙に重々しいような。
「そこのお嬢さん。こちらで一緒に飲みませんか?」
「結構よ。」
どこかの小太り貴族の誘いをすぐさま断る。
私は今、お相手探しで忙しいのよ。申し訳ないけれど、今はあなたみたいな人に構っている時間はないわ。
そのときだった。やたらと女子たちの奇声が聞こえる。
…何かしら?
振り返ると、そこへいたのは仮面越しでも美形オーラがただよる存在。背も高く、足が長くてスタイルもいい。しかも、格好が高級そう。
「ねぇ、あの人、王子様らしいわ。」
「どこの国の?」
「私、求婚しちゃおっかな〜。」
シャンパングラスを片手に令嬢たちのその会話に耳を傾けた。
王子だって?あの人が?ーーだったら…
私は飲み干したシャンパングラスをテーブルに置き、殿下の後を追った。殿下はバルコニーに着くなり、クルっと私の方へ振り返る。
「俺に何の用だ?」
その冷たい眼差しに思わず圧倒されてしまう。…だけど、私は1週間で死ぬ身!だったら、こんなのにだっておじけないわよ!
私はすばやく、お辞儀を取り自己紹介をした。
「申し遅れました。私はアリスと申します。」
このパーティーでは仮面を取らない限り、実名を発することは禁止。偽名を使わねばならない。ミアは以前からもこのパーティーに参加していたことがあって、アリスと名乗っていた。
「もう一度聞く。俺に何の用だ?」
もう…やるっきゃない!
私は令嬢という立場でありながら、殿下の前で跪く。
「殿下。どうか私と…結婚してくださいませ!」
ヒューっと吹く風の音。沈黙が数秒間。
すると、突然、目の前の男は笑い出したのだ。
…笑った?
「この俺に求婚をするとは、度胸のある令嬢のことだな。」
男は月日に照らされる中、仮面をとった。予想通りの破壊力の美形で思わず見惚れてしまう。
「いいだろう。その求婚、受けてやる。」
私は男の人の言葉にフッと笑みを浮かべた。
よし!これで、死亡フラグ回避目前よ!どこの国の王子か知らないけど、ありがとう!絶対、幸せにするからね!
そのときだった。
「アルベイン陛下!そろそろお時間となられますが…。」
「アルベイン陛下…?」
その名を小説の世界でも聞いたことがある。ミアが死んだ後に出てくる敵国の皇帝。確か我が国に戦争をもたらし、巫女であるセリーナを奪い取ろうとする悪役皇帝。そこで、セリーナとパトリックの愛が深まるエピなんだけど…。
ん?皇帝?
「あの、あなたは…王子じゃないんですか?」
「俺は皇帝だ。」
私はその言葉に言葉を失った。
どこかの王子様と思って求婚した相手がまさか敵国の皇帝だったなんて…。
もう、どうなってんのよ!
「明日、貴様の屋敷へ迎えに行く。」
「あ、はい…。」
私はものすごい人に求婚をしてしまった…。




