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19 逃げます

「はぁ、はぁ、はぁ。」


私はドレスを掴みながらも、走っていた。


正面はきっと殿下の部下が待機しているだろう。ならば、裏から出るまで。


パトリック殿下はつまり、私のこれまでの悪行に対し償いを受けてもらいたいのだろう。私はリーゼを罰したのに罰を受けない私に対し、内心できっと怒りが満ち溢れているに違いない。


小説の中でも私が死んだ後に殿下がセリーナに対し溺愛の描写が描かれていたもん。まぁ、これはあくまで推測だけれど。


曲がり角を曲がった先にはエバがいた。彼女は私に気づき、ぱぁ!と笑顔を浮かべる。


「ミアお嬢様!先程はありがとうござ」

「ごめんエバ!ついて来て!」

「うぇ!?」


本来であればここでエバを置いていく。だけど…。


相手はパトリック殿下だ。計算高いあの。ここでエバを置いていけば、エバを攫って私を脅してくるかもしれない。


運よくエバがいて助かったわ。


私はエバの手を握りながらも、裏口へと向かう。


「あの。これは、一体、どこへ?」

「いいから、黙ってついてきて!」


想像以上に冷たい声が出てしまった。焦っている…。焦ったってなにも状況はかわりやしない。だけれど、これは私の死に関わるかもしれないのだ。焦らずにはいられない。


今日は私が死ぬ予定の前日…。もし今、殿下に捕まれば断罪からの処刑エンドが来ちゃう…。1度目もそんなに生きられなかったのに2度目は転生して1週間?そんなの嫌っ!


そう思いながらも走っていると、裏口の扉が見えてきた。扉を開けるとなにやら馬車が1台止まっているではないか。


あれって…ムーンストーン宮の馬車!?どうしてここに!?


「姫君〜!やっと掃除が終わってきたのですが…あれ?もうお帰りになられるのですか?」


その人物は他でもない優秀侍女、エミルだった。


「エミル!ナイスタイミングよ!流石ベテラン侍女!急いでムーンストーン宮へ戻るわよ!」

「…え?あ、は、はい!承知致しました!」


エミルはすぐさま馬車を走らせる支度をする。そして、私に手を差し伸べて馬車へと乗せてくれた。


「エバ!」


私は彼女に向かってそう手を伸ばした。彼女が私の手をとろうとした瞬間、突然として馬車の扉が閉まる。


「「!?」」


私とエバが驚いた表情をする。なんとエミルが扉を閉めたのだ。


「ちょっと!エミル?どういう」


その瞬間だった。エミルがエバを気絶させたのだ。彼女は気絶したエミルを軽々しく持ち、近くのベンチに置いた。


私は状況が掴めずに動揺をあらわにしてしまう。


どういうこと?なんで、エミルがエバを気絶させているの?え?あ、えぇ!?


そのときだった。馬車の中から白い煙のようなものが放出され出す。


「こほ…けほけほ。」


私は思わず口元を抑えた。…煙?なんで?まずい…眠気が。


どういうこと?どうしてエミルは私を…まさか!?


エミルは私がムーンストーン宮に入った後にセイントルから侍女として訪れた。だからこそ…


パトリック殿下の命令の元、動いていたのかもしれない。


だんだんと意識が遠のいてしまう。


「たす…けて。陛下…。」


その瞬間、私は完全に意識を失ってしまった。


「…捕獲完了。」



***



「ミア?」


着替えが終わったアルベインはふとなぜかその名を呼んでいた。その様子に思わずロンは首を傾げる。


「どうかされましたか?」

「いや、誰かに名前を呼ばれた気がしてな…。」

「お疲れのようでしたら、疲労に効くというハーブティーでもお飲みになられますか?」

「大丈夫だ。」


陛下は剣を腰にかざすと、窓辺に近づいた。そして、夜空を眺める。


その夜空は今日は曇ってしまっていた。

ちなみに私はロンが好きなので全然出せてないんでキレてます(笑)

この作品を少しでも面白いと感じて頂けると嬉しいです。

あとぜひロンを推してください(笑)

こんな馬鹿な私の作品を19話まで追いかけてくれるなんてほんと感謝しかありません。

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