13 余計な真似は致します
カタカタカタと揺れる馬車が止まった頃、私達は夜会への会場へ到着したのだった。
私より先に降りた陛下は私に手を差し伸べる。私はその手をとって、馬車を降りた。その様子を見て、周囲は唖然としていた。思わず首を傾げてしまう。
「陛下が女性に手を貸すなんて、珍しい…。」
とある貴族の呟きに周囲はザワザワとし始めた。私もその言葉に疑問が浮かぶ。
…え、そうなの?
「今日の夜会はお前が俺の妃になったことの発表も兼ねている。」
「へ〜、そうなんですか…って、ええ!?」
確かに。今まで発表の機会はなかったけど、まさか今夜の夜会でなんて…。まぁ、リーゼの件もあるし、丁度いいか。…いや、いいのか?発表の日にリーゼを挑発するような真似をしても。第一印象最悪じゃない?
「くれぐれも余計な真似はするな。」
「う〜ん?それは、聞けない命令かもです。」
リーゼを挑発する予定があるんだし。
「…。」
陛下は私の発言に歩いていた足をとめた。私も同じように足をとめる。陛下は少しの間、私を見つめていた。そして口を開く。
「俺の命令に背く女はお前で2人目だ。」
へ〜。命令に背く女…ん?待てよ?
私はようやく自分がしてしまった発言を理解した。
「も、申し訳ございません!アルベイン陛下!私ったら、なんてことを…!…あ、あの陛下。ですが、今日の夜会で、余計な真似を一切しないというのはできませんでして…。」
私が恐る恐るにそう言うと、陛下は急に笑い出した。私はその様子に目を見開いてしまう。
今、笑う要素あった!?
「あぁ、分かった。つまりお前はこの夜会で余計な真似をするんだな。」
「そ、それは…どうでしょうか?」
そっぽを向いてそう言った。すると、陛下はチラッと私と少し距離を置いて後ろから歩いてくるエバを見つめる。
「あの女をこの夜会に連れてきた目的となにか関係があるんだろう?」
思わず目を見開いてしまった。…察しが良すぎない?
ニヤリと笑みを浮かべ陛下に向かって言ってやった。
「そうなんですよ。」
段々と歩いていく内にこの夜会の目玉となる会場が目の前の扉の先で行われていた。扉を開ければ、もう夜会の中。
…きっと、リーゼもいるはず。
チラッとエバを見た。エバは私を見るなりに首を縦に動かした。おそらく、もう覚悟を決めたのだろう。
…作戦は言ってあるし、大丈夫なはず。
ギギギィと扉が開く。
さぁ!余計な真似をしていくわよ!




