10 あなたへの罰です
「なるほど。そんなことがあったの…。」
リーゼ。あなたやっぱり、命令していたんだ。流石、物語の設定上でも悪女の女だ。やることが本当に悪女っぽい。
そういえば、物語の中で病弱の女の子が姉を殺した愛人を憎んでいたためにセリーナに「あの愛人に鉄槌を下すのを手伝ってほしい。」と頼む話があったよね。だけど、アルベイン陛下が愛人を全員殺害をしたためにその妹とやらはすぐに息を引き取ったのだけど…。
もしかしたら、その病弱の女の子ってエバの妹だったのかもしれない。
同情はする。だけどーー
私は深呼吸をして口を開いた。
「でもそれって、ただあなたが解放されたかっただけのことよね?」
「は?」
たとえそんな過去があったとしても、あのときのエバは自暴自棄になっていた。
「ただあのリーゼ様から解放されたかっただけに、私に嫌がらせをしていただけじゃないの?」
「…あなたには、私の気持ちが分からないわ!」
「仮に私がここで同情の言葉を言っても、「同情するな。」とは、一ミリも思わないわけ?先に言っておくけど、私はあなたじゃない。だからこそ、気持ちは理解してあげられない。…あなたには、罰を与えます。」
私の言葉にエバは息を呑んでいた。きっと、処刑というのを待っているのだろうか?
悪いけど、全然違うから。
「罰として、あなたは主への忠誠を捨てて、私に忠誠を誓いなさい。」
「…へ?」
彼女はアホらしくそう返事をした。そして、声を荒げて言う。
「何を言っておられるのですか!?私はあなたに散々な嫌がらせをしたのですよ!」
「あなたの妹の医療費も払う。だから、文句はないはずでしょう?」
まぁ、私は公爵家の一人娘のミア・グリンフォードなんだもの。へそくりのありかぐらい、知っているから問題はないはず。
「それは…罰になっていないではないですか!」
「私にこき使われるのは、大変な罰でしょう。まぁ、でもリーゼの元にどうしてもいたいっていうなら、それでも構わないわ。」
「わたし…っは!」
彼女は自身の拳を握りしめ、私を真っ直ぐに見据えて口を開いた。
「ミア様に、忠誠を誓います…!」
「っふ。そう言うと思ったわ。じゃあ、まず悪いけどリーゼのこと、詳しく聞かせてもらえないかしら?」
自分でもおかしいと思うぐらい気色悪い笑い声を今、あげていると思う。それぐらい、今は気分がよかった。いや、よくはない。だけど、笑いが止まらなかったのだ。
「ミア、様…?どうかされたのですか?」
3日後の夜会で、私の方に寝返ったエバを見たときのリーゼが楽しみだわ。どんな顔をするんだろう。ムカついた顔?嫉妬?
私にワインをかけたこと、そしてエバをこんなにも傷つけたこと、後悔させてやるわよ。
「エバ。」
「はい?リーゼ様…?」
「あなたを3日後の夜会までにとびきりかわいくさせてあげるから。」
「…は?」
私はこのときにすっかりと忘れてしまったのだ。その夜会が私が死ぬ予定の日の前日であることを。




