↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
56/56

ep.56 今日も薬屋を開けます

 朝の光が、カーテンの隙間から差し込んでいた。


 シャーロットが目を覚ますと、二人の部屋の方からもう物音がしていた。イリスの寝台がきしむ音、カリナが戸を開ける音。


 台所に立つと、鍋にはすでに湯が沸いていた。


「先にやっておいた」


 カリナがパンを切り分けながら言う。イリスは椅子に座り、行儀よく待っていた。


 三人分の器を並べ、簡単なスープと、昨日の余りのパンで朝食を済ませる。


 特別なことは何もない、いつもの朝だった。


 食べ終えると、二人はそれぞれの部屋へ戻り、身支度を整えて出てきた。


 カリナは置き薬用の薬を確かめ始め、イリスは棚から木のカップを一つずつ取り出して並べていく。


 シャーロットは裏の畑に出て、朝露の残る薬草を確かめた。


 踏み荒らされた畝も、今ではすっかり元通りになっている。目印をつけたままの一角にも、いつも通り手をかざした。


 店に戻ると、水を張った桶で冷やしておいた小樽を運び込む。


 カリナがその横で、カップの並びを整え直していた。


 軒先のベンチは、朝日を受けてまだ少し湿っていた。


 布で拭いておくと、イリスがさっそく腰かけて足を揺らす。


「今日も、お客さん来るかな」


「来るよ、きっと」


 一通りの準備が終わると、カリナが戸口の前に立ち、看板に手をかけたシャーロットを振り返った。


「シャーロットさん、準備できたよ」


 シャーロットは看板を持ち上げ、軒先の定位置へ立てかけた。


「はい。今日も開店です」


 そう言って、扉を大きく開け放つ。


 朝の風が、店の中へ流れ込んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。