ep.40 畑で薬草を育てよう
薬箱の在庫を整理しながら、シャーロットは棚の隙間が目立つことに気づいた。
濃縮ポーションの評判が広がってから、店を訪れる冒険者も増えている。傷薬や熱冷ましに使う薬草まで、自分の畑と、森や道端で摘める分だけでは追いつかなくなってきていた。
「最近、薬草の在庫がなかなか保たない」
グレアムに愚痴をこぼすと、彼は少し考えてから言った。
「畑を余らせてる家、何軒かあるぞ。裏作にでもどうだ」
その話は、思ったより早く形になった。
数日後、畑仕事をしている家の一人が、シャーロットのもとを訪ねてきた。
「薬草って、うちの畑の隅でも育てられるもんかい。今の作物の合間に」
「畑の様子を見せてもらえれば、合いそうなものを選べると思います」
シャーロットは傷薬や熱冷ましによく使う薬草をいくつか挙げた。土の状態や日当たり、水やりの頻度も、分かる範囲で伝えていく。
「この辺りで育つ種類なら、特別に難しい手入れはいりません」
「収穫したら、買い取ってもらえるのか」
「はい。安定して仕入れられるなら、こちらもありがたいです」
話を聞きつけて、別の農家も同じように相談へ来た。
二軒、三軒と、畑の隅に薬草の苗が植えられていく。
魔力を注いで育てる株については、まだ話さなかった。あれは今も、手探りで育てているものだった。
数週間後、畑を回ると、あちこちの畝の端に見慣れた葉が伸び始めていた。
「うまく育ってるといいけど」
独り言をこぼしながら、シャーロットは自分の畑へ戻った。
隅に印をつけた株だけが、ほかより濃い葉を風に揺らしていた。




