ep.30 濃すぎて飲めません
魔力を注ぎ続けて三週間ほど経った頃、目印をつけた薬草は、ほかの株よりも葉の色が濃く、茎もしっかりしていた。
「これ、収穫していいのかな」
慎重に株元から刈り取り、いつもの手順で調合する。
刻んで、水に浸し、決まった分量で煮出す。見た目は普段と大きく変わらなかった。
出来上がった液を、いつも通りの分量で小瓶に詰める。
魔力ポーションとして、まずは自分で試してみることにした。
一口飲んだ瞬間、シャーロットは思わずむせた。
「なにこれ……」
普段の苦味とは比べ物にならない。
舌の奥まで刺すようなえぐみがあり、喉を通ったあとも苦さが残った。
その一方で、飲んだ直後から魔力が身体の内側へ満ちていく。いつものポーションよりも、明らかに早い。
けれど、これでは商品にならない。
シャーロットは小瓶の中身を覗き込んだ。
「量、間違えたかな」
水の分量を増やして作り直してみたが、それでも普段のポーションより強い刺激が残る。
魔力を注いで育てたことで、薬草の力だけでなく、雑味やえぐみまで濃くなったらしい。
腕を組み、しばらく瓶を見つめる。
あとは、この強さを残したまま、どう飲みやすくするかだった。
調合の手順を変えるべきか。それとも、別の下処理が必要なのか。
答えはすぐには出なかった。
シャーロットは残った薬草をもう一株、丁寧に刈り取った。




