ep.28 四本を一本にできませんか
閉店後、シャーロットは調合台に鍋を置き、魔力ポーションの残り数本を注いだ。
単純に量を減らせば、濃くなるはずだ。そう考えて、弱火にかけながら少しずつ煮詰めていく。
湯気とともに、独特の薬草臭が部屋いっぱいに広がった。もともと苦い匂いが、煮詰まるほどに強く鼻を刺す。
「これは、ちょっと……」
顔をしかめながらも、量が四分の一ほどになるまで火にかけ続けた。
冷ましてから匙で一口すくい、恐る恐る口に含む。
次の瞬間、思わず匙を取り落としそうになった。
「うっ……にが……」
えぐみと苦味が一気に舌へ押し寄せる。普段の魔力ポーションとは比べ物にならない不味さだった。喉の奥まで、しばらく苦さが残っている。
水を何杯も飲んで、ようやく口の中が落ち着いた。
「量を減らすだけじゃ、駄目なんだ」
煮詰めた液を見つめながら、シャーロットはため息をついた。
余計な雑味まで、一緒に濃くなっている。少なくとも、このままでは誰にも出せない。
翌日の閉店後も、比率を変えて何度か試してみた。
時間を短くしても、火加減を変えても、結果はさほど変わらない。飲めたものではない代物ができあがるだけだった。
失敗した瓶が、調合台の隅に並んでいく。
「じゃあ、どうすればいいんだろう」
腕を組んで考え込んでも、すぐに答えが出るわけではなかった。
翌朝、シャーロットは店の裏に広がる小さな薬草畑を眺めた。
いつも同じように育てているだけの、見慣れた薬草だった。




