ep.24 少しずつ返したい
イリスの熱がすっかり下がったのは、それから二日後のことだった。
まだ本調子とは言えないが、起き上がって動き回れるくらいには回復している。念のため、シャーロットはもう数日、様子を見ることにした。
その間に、グレアムへ二人のことを伝えた。イリスが元気になるまでは薬屋で休ませ、その先のことは改めて相談することになった。
店へ戻ってからも、カリナは落ち着かない様子だった。妹の隣に座っているだけの時間が、どこか居心地悪そうに見える。
「何か、手伝えることないですか」
三度目にそう聞かれた時、シャーロットは手を止めた。
「無理しなくていいのに」
「無理じゃなくて……。このままだと、ただお世話になるだけになる」
カリナの声には、焦りに似た響きがあった。
「お金は、少しずつでも返したい。だから、何か仕事させてください」
シャーロットはしばらく考えてから、棚を指した。
「じゃあ、この薬草、種類ごとに分けてもらえる? 名前は言うから」
「それだけでいいの?」
「まずはそれだけ」
カリナは真剣な顔で薬草の束を受け取り、シャーロットの説明を聞きながら、慎重に分け始めた。指先はまだぎこちなかったが、間違えるたびにやり直し、最後まで投げ出さなかった。
イリスも寝台の上から様子を見ていたが、じっとしていられなくなったのか、洗った木のカップを布で拭く仕事をもらうと、嬉しそうにそれを始めた。
「わたしも、てつだうから」
「無理しない範囲でね」
「する!」
夕方、分け終えた薬草を棚に並べたカリナが、ようやく肩の力を抜いたように息をついた。
「今日の分は、ちゃんと働いた?」
「うん。十分」
シャーロットが答えると、カリナはわずかに口元を緩めた。まだぎこちなさは残っていたが、さっきまでの張り詰めた表情とは違っていた。




